大和鋼管の中村です。前回の“安全ブログ”でもお伝えしたとおり、2024年07月30日(火)の重大労災を踏まえ、我々は日々最も厳しい現実を直視する規律を更新し、日々、“0災害の追求”に取り組んでいます。その取組はまだまだ道半ばながらも、最近では漸く幾つか改善への手掛かりは見えてきた様に感じています。
その様な状況の中で今回は、組織の“全体性への感性”に関する課題として、「多くの安全への課題に対し、如何に優先順位を見極め、必要十分な“現場・現物”の対応を実現できるか?」について、私自身の見解や当社の取組をご紹介できればと思います。
今回の労災が発生した後に我々が最も気にした事の一つは、事故の発生した現場/現物/現実が、絶対禁止事項を含む“更新し続ける安全最優先”の対象項目に入っているかという事でした。
何故なら昨年の労災以降に我々は兎に角、“0災害の追求”という“進化し続ける目的”に対して、如何に“ヌケモレ”なく危険な環境や箇所である“現場”、危ない設備や機械である“現物”、そして不安全な行為としての“現実”を洗い出すかという事に心血を注いできたからです。
そして直ぐにわかったのですが、今回事故が発生した二号ラインの帯炉という“現場”は、“リスクレベル2”に相当する“致命傷を負う/法律を破るかもしれないリスク”として認識されており、キッチリと改善対象に含まれていました。
加えてこの“現場”の”リスクレベル2”という評価の妥当性も気になりましたが、発生した労災は正に“致命傷を負う/法律を破るかもしれないリスク”に相当しており、この点でも我々の取組は基本的には遜色がなかったとの見解に至りました。
では何故、事故は起こってしまったのか?
その点では幾つか複雑な事情が絡んでいました。先ずこの設備は生産性の面で改善の余地があったため、設備の仕様を今後に見直す予定であり、”現物”としての物理的な改善について既に検討が進んでいました。
また当社には四つの亜鉛を溶解している“炉”がありますが、その中で転落のリスクが否めないとの認識から、必ず二人で作業する事を義務付けて周知徹底していました。”現場”として危険箇所である認識が作業する仲間には十分に浸透していると判断し、何れ行われる物理的な改善迄は、そのまま操業するとの判断をしていました。
しかし、この判断にはもう一歩、踏み込む余地がありました。
改善に取組んでいてくれた担当者は、当初に提示された懸念を把握して“二人作業”での対策を講じたのですが、その取組が“必要十分か?”に関しては、明示的に現場で作業する仲間に現場/現物/現実を踏まえて直接的に詳細な確認はできていませんでした。
そして事故後の労働基準監督署からの指摘には、この現場に関しては転落を阻止する物理的な対策を講じる事、作業手順をより具体的に安全を確保できる内容にする事、その指導・教育を着実に行う事が指摘されており、此等の点は我々としても今回の事故の防止に有効だったと認識しています。
ではどうすれば安全対策の担当者は、此等の点を踏まえ現場・現物への対策を事前に講じ、労災の発生を回避しえたのでしょうか?
私が思うにはその鍵となるのは二つ。以前に“安全ブログ”でも紹介した“1/2の責任”、つまり“担当”でなくても果たすべき“責任”を如何に周囲が全うできていたかという点と、如何に“最も知識と経験のある仲間とパートナー及び決裁者”との意思疎通を充実できていたかという点だったと考えています。
先ず“1/2の責任”に関しては、もし、“0災害の追求”を安全対策の担当者が飽くまでもその取組みをリード/マネージする役割を担っていると認識し、一緒に働く我々一人ひとりがこの現場に関心を持ち、日々の業務の中でその安全性について気になる点があれば質問/提案/リクエストができていたら、この安全対策の担当者の負担は軽減されるとともにより充実した安全対策が講じられていた可能性が十分にあります。
更にその上で、この現場や設備に関し“最も知識と経験のある仲間とパートナー及び決裁者”と、具体的な安全対策の中身について情報共有や意見交換といった形で意思疎通が充実できていれば、おそらくこの現場への対策は、もう一歩踏込んで実施できていたのではと感じています。
我々は常に“人を責めずに、仕組を責める”原則の元で、発生した事故の対策に取組んでいましたが、それだけでは不十分でした。
二度と同様の事故を起こさない為に我々に必要なのは、何時でも何処でも操業に携わる仲間一人ひとりに、極めて自然に”真っ当、前向き”な“0災害の追求”を実践/反復/定着させ、当社の“文化”や“社風”に昇華する事だと考えています。
その為にも繰り返しにはなりますが、以下のチェックポイントを日々活用し、“0災害の追求”に取組んでいければと思います。
“0災害”を達成する為のチェックポイント
このブログでは、可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有しながら、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂き、一緒に“0災害の追求”の更新に挑み、行動していきたいと考えています。
是非我々の今回の重大労災後の対応や、“0災害の追求”の取り組みについて、ご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡ください。
最後までお読み頂き感謝申し上げます。これからも“0災害の追求”に関わる、“為になり、役に立つ”情報を皆さんに共有して参りたいと思いますので、引続き宜しくお願い致します。ありがとうございました。ご安全に。
大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎