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”サーミックランス”でコストダウン?!その具体的な用途と活用方法について詳しく解説。

作成者: Trung|2024.09.10
解体や工事の現場で大きなスクラップやコンクリート/レンガの塊を溶断したり、さまざまな製造現場において金属を融解させる場合には、安全確保の意味でも生産性の観点でも作業効率を高める事が求められます。
 
”ランスパイプ”は、その様な際に大いに能力を発揮する製品ですが、「どのような”ランスパイプ”を使用すれば作業効率を上げられるか分からない?」や「”ランスパイプ”使い分けるのが面倒でいつも同じ製品を使っている」というお客さまもいらっしゃるのではないでしょうか?
 
そこで今回は、3,000℃~4,000℃の超高温を発生する事ができるDaiwa Lance International (DLI)の提供する”サーミックランス”の具体的な使用用途を詳しくご紹介いたします。 
 

DLIの概要

"DLI"は大和鋼管の関連会社で、1996年にベトナムのホーチミン市に設立され、1997年より"ランスパイプ"の製造・販売を開始しました。

現在は"ランスパイプ"の他にも配管用炭素鋼鋼管 (SGP)や一般構造用炭素鋼鋼管 (STK)、一般機械構造用炭素鋼鋼管 (STKM)などを製造しており、世界 約50ヶ国にある250社以上の会社と取引を行っています。

また"DLI"で製造される製品は、ISO 9001: 2015 品質マネジメントシステムのみならず、 ISO 14001: 2015 環境マネジメントシステムの認定を受け、品質のみならず環境にも配慮した操業を行っています。

私たち大和鋼管でも”グループ製品販売部”が、"DLI"の製造する"サーミックランス"を始めとした"ランスパイプ"を仕入れ、日本国内で販売する事業を行っています。

サーミックランスとは?

"サーミックランス"とは、鉄鋼業界では”黒管”と呼ばれる一般炭素鋼鋼管の内部に、ワイヤーや内管として更に小径の一般炭素鋼鋼管が入っている"ランスパイプ"の一種です。

地域や業界によって様々な呼称があり、"サーマルランス"や"オキシジェンランス"や"バーニングバー"もしくは"ファイアーランス"と呼ばれることもあります。

"サーミックランス"は、ワイヤーや内管で鋼管の内部を満たし酸素を送り込む事で、鉄(Fe)と酸素(O2)の燃焼反応を促進し、その反応熱により3,000℃~4,000℃の超高温を発生させる仕組になっています。

"サーミックランス"は、スクラップヤード及び工事現場等で、大きなスクラップの塊を切断する場合や、製鉄や金属を精製する現場で発生する不純物の固まりである”スラグ”の清掃時等に主に使用されています。

また"サーミックランス"は、ワイヤーと内管を組み合わせた"Tタイプ"という仕様の製品と、ワイヤーのみで内管のない"Wタイプ"の2種類があります。

2つのタイプの特徴を以下の表にまとめましたので、ご参照ください。

サーミックランス TタイプとWタイプの比較

種類 断面図 特徴 最適な素材
Tタイプ

真っ直ぐな炎を生成し素早く材料を切断/穴を開ける事が可能

炭素鋼、スラグ、銅、アルミニウム、真鍮など
Wタイプ Tタイプよりも高温で広い炎を発生させる事が可能 ステンレス鋼、ニッケル、コンクリート、天然石などの融点が高い素材

 

サーミックランスの用途①:大きな構造物の解体

建物や船舶などの大きな構造物を解体する場合には、刃が通らない程大きな塊を切断しなければならないシーンが多く、高い温度で材料を溶解させながら切断する"溶断"が有効だと私たちは考えています。

また、これらの構造物を解体してスクラップや廃棄処理を行う場合は、溶断する長さや回数がとても多くなるので、素早く溶断する事ができる”サーミックランス”は、作業効率の向上やトータルコストの削減に貢献します。

サーミックランスの用途②:スラグの除去

高炉や製鋼プロセスで副産物として発生する”スラグ”は、製鉄所のコンベアベルトや機械などの設備に悪影響を与えメンテナンス費用の増大や操業停止の原因の一つになります。

また、”スラグ”の融点は、鉄の場合だと 1,780 ℃ であるため、固化した”スラグ”を効率よく加熱して除去することは非常に困難です。

3,000℃~4,000℃の超高温を生み出す”サーミックランス”を使用する事で、工場のデッキ/作業床/取鍋炉/ミキサー車/鋳造設備等にしつこく残っている凝固スラグを確実に処理する事が可能です。

サーミックランスの用途③:出銑口詰まりの解消

製鉄プロセスに於いて、溶解された鉄である”製銑”が流れ出る"出銑口"は、”製銑”が外気に触れて急激に温度が下がるため詰まり易く、製鉄現場の生産性を妨げてしまいます。

”サーミックランス”は、点火後も強力な炎を維持することができるので、”出銑口”を塞がり難くする事が可能なので、"出銑口"の詰まりの解消に必要な時間と労力を節約します。

まとめ

今回は、3,000℃~4,000℃の超高温を発生する事ができるDLI製の"サーミックランス"を、具体的な使用用途に応じてご紹介いたしました。

更に作業効率や処理時間の短縮を実現するには、ワイヤーと内管を組み合わせた"Tタイプ"という仕様の製品と、ワイヤーのみで内管のない"Wタイプ"の2種類の”サーミックランス”を、使用目的や素材に合わせて適切に選択する事がポイントです。

DLIのサンプルを欲しい方や実際に"サーミックランス"の見積をとってみたい方がいらっしゃいましたら、以下のフォームよりお気軽に相談ください。

 

最後までお読みいただき感謝申し上げます。

これからも皆さまの"為になり、役に立つ"情報を様々な角度から提供して参りますので、引続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。