大和鋼管の中村です。2024年07月30日(火)の重大労災を踏まえ、我々は更に最も厳しい現実を直視する規律を更新し、日々、“0災害の追求”に取り組んでいますが、前回のブログでもお伝えしたとおり、その取り組みはまだまだ道半ばです。
その様な状況ではありますが、今回は組織の“全体性への感性”に関する課題として、「個人の資質及び経験/知見を踏まえ、如何に適時・適切に“安全教育”を実施できるか?」について、我々の見解や取り組みをご紹介できればと思います。
今回の労災が発生した後に、漸く本人と遣取りできた様子を先週の”安全ブログ”でも共有させて貰いましたが、その際に私自身がとても驚いたのは、本人の極めて前向きで明るい性格と素直な人柄でした。
面談に先立ち、彼が今年6月まで出向していた会社の社長さんと今回の労災の発生した経緯・状況に関して話した際にも、本人がとても前向きで思い切りのイイ性格である事が話題になりました。また、その点が場合によっては今回の様な労災が発生する要因の一つになり得る事にも話が及びました。
これらの対話を経て私が改めて実感したのは、”0災害の追求”には、仲間一人ひとりの性格や行動パターン及び経験/知見を踏まえた、個別の対応や工夫が必要だという点です。
先ず大いに反省すべき点は、経験や知見はさておき、私自身が本人の資質をシッカリ把握できていなかったことです。
今迄も彼がとても前向きで積極的な性格であることは、私なりに理解できていたのですが、これだけの大きな事故で本人が傷付き、大きな痛みを感じているにも関わらずとても明るく朗らかで、また発生した労災に関しても他人や会社を責める事がなく今後の安全対策にも積極的である事は、私自身の今迄の認識や想像を超えていました。
多くの場合、その人の強みは、欠点や弱みと表裏の関係にあります。
前向きで積極的な仲間は、一緒にいて多いに楽しいですし、とても頼り甲斐がある一方で、積極的過ぎて不安全な行動をとってしまう事もありうるのだと想像しました。しかし、それを事前に防ぐ為に日々指摘をすることは、その人の良いところを抑えることにつながるので、中々徹底しづらいのです。
一方で、本人がそれ迄に積上げてきた経験や知見を踏まえて、安全に関する教育を行うことは大いに有効だと再認識しました。
改めて考えてみると、本人はこの6月迄は2年半の間、社外に出向していましたので、大和鋼管の現場からは離れていました。去年の11月に発生した労災に関しても聞いてはいるものの、その場で働いていた仲間とは体験した恐怖感や、今でも感じている緊張感は異なる訳です。
また出向先の会社では比較的サイズの小さいパイプを製造しているので、設備の大きさやそれに伴う危険度が異なると共に、当社の様に450℃以上の熱で溶解されているメッキ炉は存在しません。当社の現場に比べると、ライン全体としての状況の把握や、仲間との意思疎通は圧倒的にしやすい状態です。
違った環境で経験を積み、意気揚々と当社に戻ってきた彼には、改めてその環境の差を、シッカリ現場/現物/現実+三位一体で実感して貰うことが”0災害の追求”と意味では必要だったと、今では思います。しかし、結果的にはその様な取り組みはできておらず、現場でのOJTを中心に、本人を慣れない新しい環境に招き入れてしまっていました。
此等の点を振り返って改めて、「個人の資質及び経験/知見を踏まえ、如何に適時・適切に“安全教育”を実施できるか?」との問いを考えると、私自身としては以下の様な改善策に辿り着きました。
まず”個人の資質及び経験/知見を踏まえる”という意味では、人事/総務を担当する管理部と現場安全と操業最適化に取り組んでいる安全・操業最適部で、それぞれ別途面談を行なった上で持場の選定やその前の安全教育・研修を行う必要があると思います。
特に本人の仕事に対する姿勢や思考・行動のパターンを客観的に把握するには、組織横断的に多くの人財と接する部門と日々本人と接する部門とで、複眼的に検証することが有効だと感じています。
そして上記のプロセスを経て持場を確定させた上で、その現場・現物・現実に関連する”危険体感研修”を実施すると共に、実際の持場に於いて一つひとつ”絶対禁止事項”を指差確認し、質疑応答を経てOJTに移行することが必要且つ有効だと考えています。
そして更に大事なのは、上記のことを行なった後のフォローです。
特に前回の”安全ブログ”で紹介したとおり、如何に「潜在意識で動いている際にも、どうすれば不安全な行動を回避できるか?」との問いを繰り返し、”顕在意識”でシッカリ安全で正しい行動を実践/反復/定着できているのかを、習慣化に必要な30日〜45日を目処に現場/現物/現実で確認していければ、”個人の資質及び経験/知見を踏まえた、適時・適切な安全教育”を全うできるのではと考えています。
このブログでは、可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有しながら、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂き、一緒に“0災害の追求”の更新に挑み、行動していきたいと考えています。
是非我々の今回の重大労災後の対応や、“0災害の追求”の取り組みについて、ご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡ください。
最後までお読み頂き感謝申し上げます。これからも“0災害の追求”に関わる、“為になり、役に立つ”情報を皆さんに共有して参りたいと思いますので、引続き宜しくお願い致します。ありがとうございました。ご安全に。
大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎