2024.09.11

どうすれば潜在意識で動いている際にも、不安全な行動を回避できるか?

大和鋼管の中村です。2024年07月30日(火)の重大労災を踏まえ、我々は更に最も厳しい現実を直視する規律を更新し、日々、“0災害の追求”に取り組んでいますが、前回のブログでもお伝えしたとおり、その取り組みは未だ道半ばです。

その様な状況ではありますが、今回は個人の“自己管理”としての課題として、「どうすれば潜在意識で動いている際にも、不安全な行動を回避できるか?」について、我々の見解や取り組みをご紹介できればと思います。

今回の労災が発生し、私が安全ブログ”の一時休止の案内をした際に、長年お付合いさせていただいている経験豊富な先輩経営者の方が、わざわざご心配と励ましのメールをくださいました。製造業を営んでいらっしゃる方です。

そのメールの中で特に印象深かったのは、「人間は頭でわかっていても、しばしば迂闊な行動をとってしまうもの」、「私自身も工場で怪我をした時なんかは、“なんでこんなことしてしまったんやろ”、と後で理解できない場合が殆ど」という率直なコメントをいただいたことでした。

私自身が実際に、事故を起こした当人と事故後、やっと話ができた際に確認すると、本人は労災につながった作業が“二人作業”と決められている事、自身にとって慣れない作業である事を十分に認識しながらも、「“なんとなく”大丈夫だと思って動いてしまった」との発言がありました。正に、先輩経営者の方からいただいたコメントと符合していました。

「なるほど、これはかなりの難題だ」と私も正直、次の一手が浮かびませんでした。

つまり、いくら安全に関する教育や指導及び注意喚起を行なっても、人が“なんとなく“不安全な行動をとってしまうのであれば、結局は防ぎようがない訳です。

そんな悶々とした気持ちで、重大労災後初めての“安全の日”である08月20日の朝を迎えました。この日は、私自身がお盆休み明けに初めて本社でラジオ体操・朝礼に参加する機会だったのですが、正直なところ、私は更に困惑し苛立ちました。

なぜなら、重大労災後初めての“安全の日”であるにも関わらず、私の目にはラジオ体操は何時も通りなにも代わり映えがなく、重大労災に関する言及も、担当者が月末の安全衛生会議にて詳しい説明を行なうとの発言のみに留まっていたからです。

その後、工場巡視の際に、自身の心情を仲間に吐露し協議しているうちに、「明日のラジオ体操は自身が前に立ってみよう」との考えがふと頭に浮かびました。

チョッと突拍子もないかもしれませんが、それはこんな考えからです。

そもそも我々がラジオ体操をする目的は二つ。一つは、一人ひとりがキッチリ決められた動きを毎朝行う事で、自身の体のコンディションを確認する、もう一つは、仲間の体のコンディションを確認し、毎日の“0災害の追求”に繋げる事です。その為に上司は基本、毎日部下の後ろに立って、一人ひとりの動きを確認する事になっています。

しかし、この取り組みを本当に毎日、シッカリできているのか?

それは正直、疑わしい訳です。ラジオ体操は毎日やる事なので、放っておくと自ずと“なんとなく”取り組んでしまう状態に陥ります。本来行なうべき自身の体を存分に動かしてコンディションをチェックする事や、仲間の動きを確認することが、自ずと“おざなり”になってしまっているのです。

翌日の朝、私は前に立ってラジオ体操の目的を改めて確認し、皆と一緒にラジオ体操をしたのですが、効果はテキメンでした。皆の動きは明らかに普段よりも良くなっていました。

問題はその後です。如何にこの状態を継続できるかが問われます。

この取り組みはその後、製造を管掌し基本的に毎日現場にいる山崎専務執行役員が引き継ぎ、創意工夫で如何に予定調和を打破し、一人ひとりが”なんとなく”ではなく、“キッチリ”とラジオ体操で体を動かすべく続いています。

そして必要十分とは言えませんが、「どうすれば潜在意識で動いている際にも、不安全な行動を回避できるか?」の答えにも、少なくとも近づいているとの認識です。

“潜在意識で動いている際にも、不安全な行動を回避する”には、先ずは顕在意識で“キッチリ”安全で正しい行動を実践/反復/定着させる事です。

つまり人が“潜在意識”で起こす行動は、それ迄に“顕在意識”で実践/反復/定着した行動に相関すると考えた訳です。

さらに、“なんとなく”であっても必ず、不安全な行動を回避できる習慣/社風/文化に昇華させていく原動力は、飽くまでも我々一人ひとりの意思と行動です。またそれを引出すために、如何に手を替え品を替えてリード/マネージを行うかも、我々一人ひとりの意思と行動次第です。

製造現場だけでなく営業の前線も間接部門も、日々の取り組みのなかで“真っ当、前向き”に正しい事を断行し実践/反復/定着させる事。それを気負いなく自然に“なんとなく”でも実現できる様にするには、“0災害の追求”への具体的な行動を以下のチェックを互いに繰り返し、習慣/社風/文化にしていくことが、我々が取組むべきチャレンジだと考えています。

“0災害”を達成する為のチェックポイント

  • “0災害”に取組むチームの一員であることを自覚し、仲間と共に“0災害”を達成していく価値/可能性を、いつも積極的に表現しているか?
  • “0災害”を達成して行く取組みのなかで、常に効果が高いと思われる業務を優先しているか?
  • 自らの“0災害”を達成していく取組みについて、仲間と頻繁に話し、上司や部下にしっかり報告/連絡/相談しているか?
  • “0災害”の達成に関わる仲間の誰に対しても、やる気をなくさせるような発言や行動を抑止/回避できているか?

このブログでは、可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有しながら、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂き、一緒に“0災害の追求”の更新に挑み、行動していきたいと考えています。

是非我々の今回の重大労災後の対応や、“0災害の追求”の取り組みについて、ご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡ください。

本件に関するご質問/ご提案/リクエストはこちら

最後までお読み頂き感謝申し上げます。これからも“0災害の追求”に関わる、“為になり、役に立つ”情報を皆さんに共有して参りたいと思いますので、引続き宜しくお願い致します。ありがとうございました。ご安全に。

 

大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎


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