2024.01.31

"人を責めずに、仕組みを責める"原則について。

大和鋼管中村です。

人は必ずミスを起こし、そして起こしたミスを隠したがります。コレは人間としてはごく自然な反応なので、"0災害の追求"という取組みにおいて避けて通れない課題です。

当然ながら"0災害"を実現するには、発生しうるミスや発生したミスを少しでも多く見つけ、可能な限りの策を講じて、次のミスを起こさない/起こさせない、また大きなミスに繋げさせない事が必要になります。

一方で"0災害の追求"の過程では、ミスを起こす度に一人ひとりが罪の意識を持つ事で、ミスに繋がる行為自体の抑止には繋がりますが、放っておくと罪の意識が自ずと増幅されてしまい、ミス自体を恐れて生産性が下がったり、ミス自体を隠したりする様になります。

そこで我々が徹底してきた取組みの一つが、"人を責めずに、仕組みを責める"原則です。

我々は確認できたヒヤリハットや発生してしまった労災・事故に対しては、常に当事者である"人"ではなく、事象が起こった"現場"の環境や、起こした設備や道具の"現物"、そして"現実"として行った動作や作業のやり方を詳らかにし、改善する事を徹底してきました。

つまり改善の対象は常に、作業を行う"人"ではなく、作業自体の"仕組み"が対象になる訳です。

具体的には、改善の対象が"現場"や"現物"の場合は、色を塗って識別する、柵やカバー等を作製して危険エリアに入ったり触れたりしづらくする、台やステップを設けて作業をしやすくする、場合によってはセンサーやランプ等をつけて光や音で危険を察知できる様にする、などの対策を講じています。

そして対象が人の動作や作業の"現実"である場合は、叩き台としての作業者の具体的なやり方を示した"手順"と、その"手順"を実践しながら比較/検討し、ムリ/ムダ/ムラを無くすべく精査/調整した標準”の中身を改善する事で、"現場"や"現物"の対策と併せてミスを起こさない/起こさせない"仕組み"を構築する訳です。

我々は此等の"現場/現物/現実"を踏まえた"仕組み"の改善を、一回目の死亡事故後に始めた毎月20日の"安全の日"で重点的に実施すると共に、それらの取組みの内容を毎月最終週の金曜日に行う"安全衛生会議"において全社に発表/共有し、"0災害の追求"を行っていました。

この様に"人を責めずに、仕組みを責める"原則を徹底してきたにもかかわらず、二度目の死亡事故は起きました。それは何故なのか?

私自身は"人を責めずに、仕組みを責める"原則は機能し、有効だったと思っています。そして今回の事故に関しても"人を責めずに、仕組みを責める"原則が機能したからこそ、その背景や理由が詳らかになり、具体的な改善に繋がっていると実感しています。

しかしその一方で、事故後に開始し今も継続している危険箇所のリストアップは、2024年01月31日現在では589箇所と一週間前から6箇所減ったものの、現場/現物/現実に細分化した対処が必要な項目は903になり6項目増えています。

つまり、ミスが起きて仲間が傷つくかもしれなかったコレだけ多くの危険箇所と対処項目を、二度目の事故を起こさずに炙り出す"仕組み"を、結果的に我々は築けていなかった訳です。

現時点で私自身の中では、事故後に更新された"0災害の追求"の"仕組み"を、事故前に実現しうる術があったかどうかはわかりません。

しかし、今迄我々が取り組んできた0災害の追求”と、事故を踏まえて"最も厳しい事実を直視する規律"を更新し取り組んでいる"0災害の追求"を皆さんと共有し一緒に考え続ける事で、少しでもこれから発生しうる事故/労災を減らし、"0災害の追求の仕組み"をお互いに進化させ続けていければと考えています。

このブログでは引続き可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有させて頂いた上で、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂きながら、一緒に"0災害の追求"に挑み行動して參りたいと思います。

何かご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡頂ければ幸いです。これからのご支援/ご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎

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