2023.07.26

単管パイプを海中や海上で使用する際の注意点は?!サビが進むメカニズムとその対策について。

”単管パイプ”はその価格や普及度合いから世間に大変広く行き渡っている資材で、とても厳しい防錆性能を問われる養殖筏や海上の建設工事等の用途で海の中でも使用されています。

単管パイプ.海

しかし、海中や海上で”単管パイプ”を使用する場合にはどのようにサビによる腐食が発生し進行していくのか、また更なる耐久性を求めるならどの様な対策を講じれば良いか分からないという方も多くいらっしゃるのと思います。

そこで今回は、海中や海上で”単管パイプ”を使用した場合に、サビが発生し腐食が進むメカニズムやその速度及び使用される環境からの影響と、私たちメッキパイプメーカーの視点で防錆性能を向上させるアイデアをご紹介します。

海水はなぜ錆び易いのか?

海の中や海の上で”単管パイプ”を使用すると、真水と比べて"錆び易い"とイメージする方は多くいらっしゃると思いますが、その具体的なメカニズムはご存知でしょうか?

実は塩分が含まれる海水は真水と比べて電気を通し易く、”単管パイプ”の主たる素材である鉄にサビを発生させる”酸化”と呼ばれる化学反応が早く進行するようになることがその理由です。

 

[JP][Blog]海中サビ

海中の腐食速度

日本溶融亜鉛鍍金協会で行われた試験結果によると、海中での標準的な溶融亜鉛メッキの平均腐食速度は、1年経過に相当する浸漬初期では,100~150g/m2/年、その後は腐食生成物による影響で腐食速度は減少し、5年間海水浸漬された平均腐食速度は徐々に下がって54.1g/m2/年になるとされています。

期間 腐食速度[g/m2/年]
1年 108.5
2年 85.8
3年 72.3
5年 54.1

この数字を元に亜鉛メッキの付着量毎に推定される耐用年数を計算しますと以下のになります。

亜鉛付着量g/m2 推定耐用年数(年)
600 10.0
800 13.3
1000 16.6

※亜鉛付着量の90%が5年浸漬の平均腐食速度で腐食された時の寿命として算出しています。

引用:日本鉱業協会_鉛亜鉛需要開発センター_溶融亜鉛めっきの海水中での耐食性

海上は海中よりもさらに錆び易い

更に下記の図のように潮の満ち引きによって海面上にでてくる”干満帯”もしくは”タイダル・ゾーン”や、波等によるしぶきのかかる”飛沫帯”もしくは”スプラッシュ・ゾーン”と呼ばれる資材の部位は、海中よりも空気に触れ酸素の供給量が多くなる為に腐食速度は海中よりも早くなり、1,000g/m2/年になることもあると言われています。

つまり一般的に普及している”単管パイプ”のメッキの付着量は100g/m2〜550g/m2なので、海中はまだしも海上で使用する際には錆びによる腐食が極めて急速に進む可能性が高い事を配慮し、製品寿命や構造物の耐久性を考える必要性がでてくる訳です。

B.[JP][Blog]タイダル・ゾーン

 

[JP][Blog]スプラッシュ・ゾーン

海中や海上で単管パイプを使用する場合のサビ対策について

サビは金属の表面から発生するため、海水や酸素が”単管パイプ”に直接触れないよう表面を覆ってしまう事が有効です。そこで海中や海上で”単管パイプ”を使用する際も、塗料を用いて塗装をする事が、手軽に行えるサビ対策になりうると私たちは考えています。

[JP][Blog]塗装された単管パイプ

一方で内面に関しては、長さの長い”単管パイプ”は中までしっかり塗装する事が難しいです。その為、長いノズルを使用したり、塗装し易い短い長さの単管パイプを組み合わせて使用する事や、キャップをして内面の保護を行う等の工夫が考えられます。

また、単管パイプと外径や強度は異なりますが、当社には"スーパーカラー"という内外面にポリエステルでコーティングが施された農業用ビニールハウスに使われる巻取り軸を念頭に開発された特別なパイプもあります。

現状スーパーカラーのサイズラインアップは、φ19.1 x 1.2 とφ22.2 x 1.2の2サイズですが、使用上の強度を満たすならそのまま海中や海上で活躍できる可能性もありますし、またニーズに応じて”単管パイプ”やその他のサイズへの展開も検討できる認識です。

スーパーカラーについてご興味のある方は以下のブログを参考にしてください。

リンク:大和鋼管ブログ_スーパーカラーはビニールハウスの巻取り軸にオススメ!!その高い防錆力の理由とは。

ポストジンク/パーフェクトポストジンクは塗装し易い

私たちが販売している”単管パイプ”は全て”ポストジンク”か”パーフェクトポストジンクです。

単管パイプとしても活躍している私たちの”ポストジンク”や”パーフェクトポストジンク” は、極めて塗装がしやすく美しい塗装の仕上がりを実現可能なメッキパイプで、そのポイントは”全周メッキ”にあります。

先メッキの”単管パイプ”はメッキ鋼板をパイプに状に丸めて溶接したあとに、溶接部に金属溶射をしており、その部分が浮き出た状態で塗装されます。

[JP][Blog]断面図

一方で”ポストジンク”及び”パーフェクトポストジンク”は、当社独自の”全周メッキ”の技術によって帯状の鉄をパイプ状に丸め溶接した後に外面を高純度溶融亜鉛で全周を均一にメッキを施す“後メッキ”です。

したがって、溶接部にもその他の外面と同様に均一な亜鉛メッキが施されている為、自ずと塗装がしやすく滑らかで美しい仕上がりが可能になる訳です。

上記詳細については、過去のブログにて紹介させていただいていますので、下記のリンクからご参考いただければ幸いです。

リンク:大和鋼管ブログ_鉄パイプの塗装には全周メッキがオススメ!!“ポストジンク/パーフェクトポストジンク”の塗装優位性。

まとめ

今回は、海の中や海の上で単管パイプを使用する場合に注意すべきサビが発生するメカニズムやその速度及び使用環境からの影響を踏まえ、塗装等により腐食の発生/進行を遅らせる対策や工夫ついてご紹介しました。

海中や海上に限らず、海岸地帯では雨風に塩分が含まれる為、”単管パイプ”は錆び易い環境です。そのような環境でも塗装を施す事で”単管パイプ”が長持ちすると考えられますので、お困りの方は是非試してみてください。

もし、私たちの”単管パイプ”にご興味のある方がいらっしゃいましたら、以下の見積フォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。

新規CTA

また、当社のスーパーカラーについて、「こういった用途の実績はあるか?」や「こういった用途でも使えるの?」及び「こういったサイズが欲しい!」といったご相談があれば、以下のお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

お問合せはこちら︎

最後までお読みいただき感謝申し上げます。当社では引き続き、皆さまの"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 

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