ひも付き

鋼材が作られる時点ですでに販売先・納入先が決まっている取引を鉄鋼業界では"ひも付き"と呼びます。自動車産業や造船業界などの大量の鋼材を扱う需要家や流通業者などが採用する取引形態です。ひも付きでは、鉄鋼メーカーと最終ユーザーが直接価格交渉を行います。国内高炉メーカーの取引の7~8割は"ひも付き"案件だと言われています。

[JP][Blog]ひも付き図

 

一方で"ひも付き"以外の取引で、問屋や特約店等の鉄鋼流通業を生業とする会社が"鉄鋼メーカーやその直系商社から鋼材を仕入れ、顧客の要望に応じて在庫を販売する取引は"店売り"と呼ばれます。

"ひも付き"取引のはじまりは、統制経済が行われていた時代まで遡ります。統制経済下では、鉄鋼は割当証明書によって販売されていました。証明書を提出して出荷を受け、現品はその証明書提出の需要家に配給されたので、数量・価格ともメーカー→問屋→需要家と一貫してひも付けされていました。戦後、価格統制が撤廃(1950年)され自由価格制に移行しましたが、主要メーカーは戦前販売カルテル時代に行っていた"先物契約"と"建値販売制"を復活させました。

証明書の必要はなくなりましたが、メーカーは大口または特定需要家に直送することになっているため、先物契約の際にこれら需要家の申込み書をとることとなりました。これによって需要家の申込みは、問屋や特約店を通じてメーカーに連係されることになりました。これがひも付き契約で、現在いわれている"ひも付き"取引のはじまりです。

参考文献:一般社団法人日本鉄鋼連盟_鉄鋼の一口知識_「ひも付き」取引のはじまり

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