水素還元製鉄

"水素還元製鉄"とは、現在高炉で主に使用されている石炭を蒸し焼きにした”コークス”に含まれる”炭素”の代わりに、”水素”を用いて鉄鉱石を還元し銑鉄を生産する製鉄のプロセスです。

”酸化鉄”である鉄鉱石を”水素”で還元する事で作られる鉄は、以下の記載のとおり”二酸化炭素”を発生させないので、”CO₂排出量”を実質ゼロと見なす事ができます。

Fe2O3(鉄鉱石/酸化鉄) +  6H2(水素) → 2Fe(鉄) + 3H2O(水)

しかし、"水素還元製鉄"を安定的に運用する為には、下記のような技術面や社会インフラの面で多くの課題が存在します。

  • ”水素”による還元反応は吸熱性の化学反応である為、炉の温度が下がってしまい銑鉄を精製する効率が悪くなる。
  • 爆発性を有する”水素ガス”を、大量に安全性を担保して加熱をする技術が現在では確立されておらず、技術開発の難易度が高い。
  • 従来の製法では、石炭と鉄鉱石が物理的に高炉内の通気性を維持する役割を担っているが、個体である石炭を気体である”水素”に置き換えることで、通気性が悪化し炉内の燃焼効率が悪くなってしまう。
  • ”水素ガス”は地球上に殆ど自然の状態では存在しないので人為的に作る必要があるが、”水素”を大量に生成し供給する産業及び社会基盤が未整備である。
  • これ迄は”水素ガス”の生成にも化石燃料がされており、その工程で”二酸化炭素”が発生してしまう為、カーボンフリーで大量の”水素”を生成方法が必要になる。
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