私たちの関連会社でベトナムにある"Daiwa Lance Internatinal (DLI)"では、"サーミックランス"という製品を製造しています。
"サーミックランス"とは、比較的小径のパイプでありながら、その内側にワイヤーや更に小径のパイプを挿入し酸素を吹き込む事で、最高3,000℃~4,000℃もの高温を発生させ、厚くて大きな鉄スクラップを切断することができる特殊な消耗品です。
建築物の解体やスクラップ及び耐熱性の高い金属塊等を素早く切断したい場合には、"サーミックランス"を使用し高温で対象物を溶かしながら切断する”溶断”が有効です。
"DLI"の"サーミックランス"を使用していただいているお客さまは世界中にいらっいますが、その多くの方々が、"サーミックランス"の安全性と有効性を高く評価してくださっています。
しかし、"サーミックランス"を使用した”溶断”では、金属を溶かす為に高温を発生させる為、どうしても作業者には危険が伴なってしまいます。
そこで今回のブログでは、この"サーミックランス"を安全かつ効果的に使用していただくための3つのステップをご紹介します。
DLIの概要
"DLI"は大和鋼管の関連会社で、1996年にベトナムのホーチミン市に設立され、1997年より"ランスパイプ"の製造・販売を開始しました。
現在は"ランスパイプ"の他にも配管用炭素鋼鋼管 (SGP)や一般構造用炭素鋼鋼管 (STK)、一般機械構造用炭素鋼鋼管 (STKM)などを製造しており、
また"DLI"で製造される製品は、ISO 9001: 2015 品質マネジメントシステムのみならず、 ISO 14001: 2015 環境マネジメントシステムの認定を受け、品質のみならず環境にも配慮した操業を行っています。
私たち大和鋼管でも”グループ製品販売部”が、"DLI"の製造する"サーミックランス"を始めとした"ランスパイプ"を仕入れ、日本国内で販売する事業を行っています。
"サーミックランス"とは?
"サーミックランス"とは、鉄鋼業界では”黒管”と呼ばれる一般炭素鋼鋼管の内部に、ワイヤーや内管として更に小径の一般炭素鋼鋼管が入っている"ランスパイプ"の一種です。
地域や業界によって様々な呼称があり、"サーマルランス"や"オキシジェンランス"や"バーニングバー"もしくは"ファイアーランス"と呼ばれることもあります。
"サーミックランス"は、ワイヤーや内管で鋼管の内部を満たし酸素を送り込む事で、鉄(Fe)と酸素(O2)の燃焼反応を促進し、その反応熱により3,000℃~4,000℃の超高温を発生させる事が可能となっています。
"サーミックランス"は、スクラップヤード及び工事現場等で、大きなスクラップの塊を切断する場合や、製鉄の現場で発生する不純物の固まりである”スラグ”の清掃時等に主に使用されています。
また"サーミックランス"は、ワイヤーと内管を組み合わせた"Tタイプ"という仕様の製品と、ワイヤーのみで内管のない"Wタイプ"の2種類があります。
2つのタイプの特徴を以下の表にまとめましたので、ご参照ください。
サーミックランス TタイプとWタイプの比較
種類 | 断面図 | 特徴 | 最適な素材 |
---|---|---|---|
Tタイプ | ![]() |
真っ直ぐな炎を生成し素早く材料を切断/穴を開ける事が可能 |
炭素鋼、スラグ、銅、アルミニウム、真鍮など |
Wタイプ | ![]() |
Tタイプよりも高温で広い炎を発生させる事が可能 | ステンレス鋼、ニッケル、コンクリート、天然石など |
ステップ 1: 保護具を着用する
ここからは、"サーミックランス"を安全かつ効果的に使用していただくための3つのステップをご紹介します。
最初のポイントは、処理中に作業者を守るために必要な保護具をきちんと準備することです。
作業者が作業を行う際には、極めて高温のスクラップ切断箇所との自身との距離が近くなるため、適切に保護具を着用することが非常に重要です。
ステップ 2: 操作機器を準備する
必要な保護具の着用が完了したら、次は”溶断”に必要な設備を準備します。
酸素レギュレーターと酸素ホースが正常な状態であるかをチェックする為に、酸素流量と圧力レベルが正常の範囲にあるかを確認します。
酸素流量と圧力レベルが以上な場合には"サーミックランス"のポテンシャルをフルに発揮する事ができません。
ステップ 3: 点火し材料を溶断する
このステップは、3つのポイントの中で最も重要です。
ホルダーのセットアップと"サーミックランス"の接続及び作業時の正しい姿勢等を、以下に写真付きで順を追って確認していきます。
ステップ | 現物/現場の様子 |
ホルダーをセットアップする。 | ![]() |
サーミックランスをホルダーに接続する。 | ![]() |
酸素パイプをホルダーに接続する。 | ![]() |
アセチレントーチを使用して一方の端を真っ赤に加熱し、酸素の吹き込みを開始する。 | ![]() |
【コントロールする位置】 安全な距離を保ち、サーミックランスを約60度の角度に保つ。 |
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[ルーチンとしての追加ステップ] 切断を継続する場合に、次のサーミックランスに接続する。 |
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まとめ
今回は、"サーミックランス"を安全かつ効果的に使用していただくための3つのステップをご紹介しました。
スクラップヤード及び工事現場及び製鉄の現場等で、必要条件を満たして"サーミックランス"を安全に使用することは、作業者を事故や災害から守る事のみならず、作業の効率化によりコスト削減につながります。
DLIの"サーミックランス"の見積やサンプルが欲しい方がいらっしゃ
最後までお読みいただき感謝申し上げます。
これからも皆さまの"為になり、役に立つ"情報を様々な角度から提供して参りますので、引続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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