近年は世界中で環境問題への関心が高まっており、企業規模に関わらず"温室効果ガスの排出量削減"が強く求められています。鉄鋼製品に関わる事業者の皆様にとっても、もはや"脱炭素"は今後避けて通れない経営課題の一つと言えるでしょう。
そこで重要になるのが、"GHGプロトコル"における"Scope2 (スコープツー)"への理解です。
しかし、いざ取り組もうとしてみると、「そもそも"Scope2"って何?」、「事業者として具体的に何をすればイイの?」と、足踏みをしてしまうケースが少なくありません。
そこで本ブログでは、"Scope2"の解説を全3回に渡ってお届けします。
第一回目の今回は、基礎知識としての"GHGプロトコル"に沿って、"Scope2"を分かりやすく解説しますので、本記事が皆さまが"脱炭素化"に取り組む上での第一歩になれば幸いです。
なお、"Scope1"(自社での直接排出)については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも併せてぜひご覧ください。
関連ブログ: 温室効果ガス削減にはどう取り組む?!企業として知っておきたい"GHGプロトコル"と"Scope1"の算定方法について。
"Scope2"とは他社から供給された"電気"や"熱"
![[JP]電球](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E9%9B%BB%E7%90%83.jpg?width=500&height=375&name=%5BJP%5D%E9%9B%BB%E7%90%83.jpg)
まず"GHGプロトコル"に於いて"Scope2"とは、他社から供給された電気、熱、蒸気のエネルギー使用に伴って間接的に排出される"温室効果ガス(GHG)"を指します。
よりシンプルに言い換えれば、"Scope2"とはズバリ、電力会社から買った電気を使ったことによるCO₂の排出量と考えていただければ概ね間違いありません。
なぜ自分たちが使った電気なのに"間接的な排出"なのか
ここで、「自社の工場やオフィスで電気を使っているのに、なぜ"間接的"と言うのだろうか?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そこで、"GHGプロトコル"に於いて自社による直接的な排出である"Scope1"と比較して考えてみましょう。
"Scope1"(直接排出)
例えば、自社工場で燃料を燃やしたり、社用車でガソリンを燃やして走ったりする場合です。これらは自分たちが直接CO₂を出しているので、"Scope1"となります。
"Scope2"(間接排出)
自社のコンセントから電気を使っている時、その場ではCO₂は出ていません。
しかし、日本で60%以上の発電量を担う火力発電所では電気を作るために燃料を燃やしてCO₂が排出されます。つまり発電所で代わりにCO₂を出してもらって、作られた電気を私たちが使っている訳です。
これが、"Scope2"が"間接的な排出"と呼ばれる理由です。
鋼管メーカーである私たちもですが、工場で稼働させる機械設備、オフィスの照明、冷房や暖房、パソコンの電源等、電力会社から請求書が届くエネルギー使用の殆どが、この"Scope2"に該当します。
現在の国際ルールでは、自社で燃料を燃やすことだけでなく、他所で作ってもらったエネルギーの使用にも責任を持つことが求められている訳です。
"Scope2"の計算方法
"Scope2"を削減したいと考えた場合、まずは自分たちの会社がどれくらい"Scope2"を出しているのかを知る必要があります。"Scope2"を算出する為の計算式は、非常にシンプルな掛け算です。
"Scope2"排出量 = "活動量" × "排出係数(排出原単位)"
それぞれの言葉の意味を解説します。
"活動量"
どれくらい電気を使ったのか?を意味します。これは、皆様のお手元にある"電気料金の明細書 (請求書)"を見れば分かります。 明細書に記載されている"使用電力量(kWh)"が、そのまま"活動量"になります。
"排出係数 (排出原単位)"
その電気はどれくらい"温室効果ガス"を出すのか?を意味します。より正確に言えば、1kWhの電気を作るのに、どれくらいの"温室効果ガス"が出たかを表す数値です。
この数値は、契約している電力会社やメニューによって異なります。
一般的に石炭火力発電等の比率が高い電気は"排出係数"が高くなり、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの比率が高い電気は"排出係数"が低くなります。
事業者別排出係数一覧は、環境省のWebサイトで公開されています。また電力会社の公式サイト等でも公表されています。
参考:環境省_算定方法・排出係数一覧
2つの計算方法
実は、"Scope2"の算出には、"ロケーション基準"および"マーケット基準"という2種類の方法があります。2つの違いは、適用する"排出係数"が異なるという点です。
"ロケーション基準"は、その地域(日本や電力管内)の平均的な"排出係数"を使い、"マーケット基準"では自社が契約している電力プラン個別の"排出係数"を使います。
国際基準の"GHGプロトコル"では、両方とも計算して報告する事を求めていますが、この"排出係数(排出原単位)"周りに関するお話は、次回以降のブログ記事で更に詳しく解説します。
"Scope2"を削減する方法
![[JP]発電](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E7%99%BA%E9%9B%BB.jpg?width=500&height=334&name=%5BJP%5D%E7%99%BA%E9%9B%BB.jpg)
前述した通り、"Scope2"は"活動量"と"排出係数"の掛け算により導き出されます。
つまり、"Scope2"を削減したければ、これらのどちらかもしくは両方の値を小さくすることです。具体的には、以下のアプローチが考えられます。
"活動量"を減らす
電気の使用量そのものを減らす方法です。 いわゆる"省エネ"活動がこれに当たります。
電源をこまめに切る等して電気のムダを減らしたり、省エネ性能の高い最新機種に入れ替えるといった方法が考えられます。CO₂削減だけでなく、電気代の削減にもつながるメリットがあります。
"排出係数"を減らす
よりCO₂を出さないクリーンな電気を選ぶ方法です。 電気の使用量が変わらなくても、係数が小さくなれば排出量の値も減るという訳です。
再生可能エネルギー由来の電力プランに切り替えたり、太陽光パネルを設置して自家発電したり、"非化石証書"や"J-クレジット"等を購入するといった手段が考えられます。
まとめ
今回は"Scope2"の解説シリーズの基礎知識編をお伝えしました。
とどのつまり"Scope2"は、他社から供給されたエネルギーの使用に伴うCO₂排出であり、具体的に削減する方法は、"省エネ"もしくは"再エネ"の活用ということになります。
"温室効果ガス"の排出量の算定は、"温室効果ガスの排出量削減"に向けた取組の第一歩です。
「なんとなく難しそう」と思っていた方も、まずは手元の電気料金明細を見て、「これに係数を掛ければ計算できる」とイメージすることから始めてみてはいかがでしょうか?
次回は、"Scope2"削減の具体的なアプローチの一つである"排出係数"に焦点を当て、より深掘りすると共に、私たち大和鋼管の取り組み事例もご紹介します。ぜひご期待ください。
今回のブログが、皆様の"温室効果ガス削減"の取り組みのヒントとなれば幸いです。
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