2025年02月11日にアメリカのトランプ大統領は、
そして、この”トランプ関税”が、日本の鉄鋼市況にどのような影響があるのか、不安に思われている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、
トランプ関税とは?
”トランプ関税”とは、”米国第一主義”の理念に基づき外国製品すべてに10%以上の関税を課す取組の総称で、アメリカの貿易赤字を縮小すると同時に、米国内の産業発展を支援しようとする政策です。
関税の税率は特定の品目よって異なりますが、現時点では"鉄鋼・アルミニウム製品"と"自動車"には25%の追加課税が課さることが発表されていれます。
しかし、”トランプ関税”が課される事で、アメリカの一般消費者は、安価な輸入製品を入手する事が難しくなり負担が増え、国内産業が海外製品よりも低い価格で製品を提供できない限り、その負担が継続する等の懸念もあります。
日本国内の鉄鋼相場に与える影響について考察
”トランプ関税”が日本の鉄鋼市況に与える影響を、我々なりにザックリ3つの観点で考察しましたので紹介させていただきます。
①鉄スクラップ価格の上昇
アメリカは、2023年には年間約1,700万トンの”鉄スクラップ”を輸出しており、世界市場に大きな影響を与える世界最大の”鉄スクラップ輸出国”です。
”トランプ関税”の導入により、アメリカ国内に安価な輸入鋼材の流通量が減少すると、アメリカ国内の鋼材生産は増加する事が見込まれ、その結果としてアメリカの鉄鋼メーカーは生産拡大のために”鉄スクラップ”の需要が高まり、アメリカ国内のスクラップ価格が上昇します。
さらに、アメリカ国内のスクラップ価格が上昇するだけでなく、世界最大の輸出国であるアメリカからの”鉄スクラップ”の供給も減少することで、世界市場でも”鉄スクラップ”の価格上昇が引き起こされる可能性があります。
つまり、”トランプ関税”はアメリカ国内の鉄スクラップ需要と価格の上昇を招き、その影響が世界市場にも波及して”鉄スクラップ”の価格高騰を引き起こすことが想定される訳です。
②日本国内の産業向け鉄鋼需要の減少
日本の自動車産業は、年間約150万台以上の自動車をアメリカに輸出しており、最大の輸出先です。
”トランプ関税”の導入により、日本からアメリカへ輸出する自動車の台数が少なる事が予想されるため、日本の自動車産業の生産台数の減少が見込まれます。
日本の自動車メーカーは、”トランプ関税”を回避するため、アメリカ現地で生産の拡大を余儀なくされる可能性があり、日本国内の自動車産業では、工場稼働率の低下や雇用減少が懸念されます。
さらに、関連するエンジン/トランスミッション/電子部品などの部品メーカーの受注も減少も見込まれ、影響はサプライチェーン全体へ広がります。
③輸入鋼材の価格下落
アメリカは世界最大の鉄鋼製品輸入国であり、2023年の輸入額は約455億8,100万米ドルに達しました。
”トランプ関税”の導入によりアメリカの鉄鋼製品の輸入量が少なくなると、これまで鉄鋼製品をアメリカに輸出していた各国は、値段を下げて販売して在庫を減らさなければならなくなり、世界的に鋼材価格が下落する恐れがあります。
まとめ
今回は”トランプ関税”が、日本国内の鉄鋼市況に与える影響を、3つの観点
①〜③の観点からの影響を鑑みると、日本国内の鉄鋼相場に与える影響は、スクラップを中心に上がる要素が想定されますが、自動車産業や輸入鋼材の影響では下がる要素もあり、チグハグな見解が並んでいると気付かれると思います。
つまり、日本国内でもスクラップ価格が上昇したり、安い輸入鋼材がスポットで輸入されるといった動きが断続的に起こるという不透明な状況が想定される訳ですが、此等の変動は米国の中間選挙が実施される2年後に向かって、当面は継続する可能性が高いと考えられます。
従って我々としては、足元の変動に一喜一憂することなく、先々の大きな流れを見極めた上で、必要なタイミングで必要な対応を行い、自らが柔軟且つ身軽に動ける状態にしておく事が肝心だと感じています。
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