”単管パイプ”で、果樹棚や倉庫などの大型構造物を制作する業者さまは、施工現場等で”単管パイプ”を切断して、適切な長さに揃える場合があります。
その様な場合で、数十本単位のまとまった”単管パイプ”を切断する際には、”パイプカッター”よりも”チップソー”などの切断機を使用す
しかし、”チップソー”を使用すると"切り粉"が発生し、
そこで今回は、"切り粉"による”もらいサビ”の検証実験を行った上でその結果を説明し、適切な対処方法をご紹介します。
チップソーでは、なぜ切り粉が出るのか?
”チップソー”とは、”超硬チップ”が溶接された円盤状の金属ブレードを高速で回転させ、”メッキパイプ”を摩擦と剪断(せんだん)の力で切断する機械です。
”超硬チップ”が新しく健全な状態の場合には"切り粉"が殆ど出ませんが、繰り返し使用して”超硬チップ”が摩耗している状態では"切り粉"の発生が多くなります。
切断時に切り粉が発生している様子
切断後に切り粉が内面に溜まった様子
もらいサビとは?
”もらいサビ”とは、メッキされてサビていない部材が、他のサビている部分からの影響を受け、その結果サビてしまう現象のことを言います。
足場用の”単管パイプ”や農業用ビニールハウスに使われる”メッキパイプ”自体ではなく、他の鉄が表面に付着し後ににサビが発生したり、既にサビている鉄に密着している部分から、サビが進行してしまいます。
その為、すぐに対応をすれば難を逃れられるのですが、放っておくと下記写真の様にメッキ鋼管自体の”赤サビ”に発展してしまいますので、気をつけましょう。
もらいサビの検証
”チップソー”で発生した"切り粉"をそのまま放置した場合に、どのような効果が現れるかを検証するために、実験を行いました。具体的な検証実験は、”チップソー”で切断した際に発生した"切り粉"を"メッキパイプ”の隙間に置いた試験体を、屋内と屋外でそれぞれに保管し、"切り粉"が赤サビになる過程と”メッキパイプ”への影響を観察する方法にしました。
日時 | 屋内 |
屋外 |
02月26日週 |
|
|
03月05日週 |
|
|
03月12日週 | ![]() |
|
03月19日週 | ![]() |
|
03月26日週 | ![]()
|
|
04月02日週 |
|
|
04月09日週 | ![]()
|
|
04月16日週 |
![]() |
|
結果として屋内保管した”試験体には大きな変化が見られませんでしたが、屋外保管した試験体は、雨風の直接的な受けた影響もあり、およそ実験開始から2週間程で"切り粉"の赤サビが確認されました。
更に実験7週目には、屋外保管した試験体の一部に"切り粉"によるもらいサビで、メッキ部分も赤茶色に色付いている箇所も確認されました。
そこで"切り粉"による”もらいサビ”が、どの程度まで進行しているかを調べる為に、実際に屋外に保管した試験体を開束してみた様子が下の写真のとおりです。
更に開束した試験体の表面に付着した"切り粉"をウェスで拭き取り、メッキパイプ表面がどの程度もらいサビの影響を受けているかを観察してみました。
このように僅か7週間という期間でも、”もらいサビ”により”メッキパイプ”の表面に一旦影響が出てしまうと、簡単に拭いたり擦ったりしただけではサビの影響は取れず、メッキパイプの美観を損ね、耐食性にも影響が出てしまうことが確認できました。
当社での対処方法のご紹介
当社は、少量の切断加工には”チップソー”を使用して切断を行っています。
切断後、丁寧にバリを取り除いた後は、"エアーブロー"で空気を吹きつけてパイプ内外の"切り粉"やゴミや不純物を取り除いています。
”メッキパイプ”が長い場合には、パイプ内部に溜まった"切り粉"を取り除く事が難しいので、空気を吹き付ける時間を長くしたり、パイプの両側に空気を吹き付ける事で、"切り粉"を完全に除去しています。
さらに、空気を吹きつけ、"切り粉"などの異物を完全に除去した上で、管端を"ジンキー"という亜鉛メッキ塗料で補修することで、錆の発生を防いでいます。
まとめ
今回は、”チップソー”等によって発生する"切り粉"からの”もらいサビ”について実証実験を行い、その結果を説明した上で適切な対処方法をご紹介しました。
”メッキパイプ”を”チップソー”などの切断機を使用して切断する場合には、正しく使用して安全を担保した状況で利用していただければ幸いです。
当社では、皆さまの"為になるお役立ち"情報をブログやメルマガの形で発信しております。
内容に関するご意見やご感想及びご質問やリクエスト等がございましたら、以下のページからぜひ奮ってご連絡をいただければ幸いです。
最後までお読みいただき感謝申し上げます。引続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
- タグ:
- 話題/トピックス