近年、職場での”熱中症”による死亡者数が増加傾向にあることを受け、厚生労働省は2025年(令和07年)03月12日に労働安全衛生規則の改正方針を固めました。
今回は、改正省令の具体的な内容を解説すると共に、私たち大和鋼管の方針及び職場ですぐに実践できる”熱中症対策”をご紹介しますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。
6月から企業の熱中症対策が罰則付きで義務化
今回の労働安全衛生規則の改正は、”熱中症”の重篤化による死亡災害を防ぐ為の対策を事業者に義務付けるもので、2025年(令和07年)06月01日から施行されます。具体的な改正内容は、以下の通りです。
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省令改正の背景
背景には、職場における”熱中症”による死亡災害増加への危機感があります。
厚生労働省によれば”熱中症”による死亡者は、2022年(令和04年)には30人、2023年(令和05年)は31人と、2年連続で30人以上の方が熱中症で亡くなっており、2024年(令和06年)もそれを上回るペースであるといいます。
そして死亡に至った原因のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れによるものだと指摘しています。
2025年(令和07年)05月01日から09月30日までは、”熱中症”の予防や対策の徹底を図ることを目的に”STOP!熱中症 クールワークキャンペーン”も実施され、国が如何に熱中症に対して危機感を抱いているかがうかがえます。
参照:STOP!熱中症 クールワークキャンペーン (厚生労働省)
近年の日本は、”災害級の暑さ”といわれる程に夏の酷暑が問題となっています。働く人の命を守る為に、現場における”熱中症対策”の整備は急務です。個人に対策を任せるのではなく、組織として従業員を守るアクションを起こす事が必要です。
すぐにできる職場の熱中症対策例とは?
ここでは、職場ですぐに実践できる”熱中症対策”をご紹介します。職場の環境や予算等によって最適な対策は異なりますが、まずはできることから始めていきましょう。
厚生労働省は、熱中症対策事例を以下の6つのカテゴリに分類しています。
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それぞれの項目について、導入しやすい具体例をご紹介します。
作業環境管理
- 作業現場ごとの暑さ指数(WBGT)の実測する。
- 暑さ指数(WBGT)の表示/通知する。
- スポットクーラー・ミストシャワー・ミスト扇風機・業務用扇風機等の涼しくなる設備や、簡易屋根や仮設テント等による日陰や遮光ネット・グリーンカーテン等による涼しくなる施設の設置する。
- 冷房のある休憩室・プレハブ休憩所・仮設小屋・スポットクーラー付きビニールハウス・移動休憩車・シャワー場等の休憩場所を整備する。
作業管理
- WBGT値が高い場合、休憩時間の調整や作業内容の変更を行う。
- 一人ではなく複数人で作業させる。
- 経口補水液・塩飴・氷・冷水機・製氷機・保冷剤・体温計・血圧計等の熱中症対策グッズを常備する。
- 空調服・タレ付き帽子・作業着用ファン・熱中症アラーム等の暑さ対策保護具の着用する。
- 水分及び塩分の定期的な摂取を呼びかけ、摂取を記録する。
- 責任者による定期的なパトロール及び作業者の体調確認を行う。
健康管理
- 健康診断結果に基づいて作業員を配置する。
- 朝礼で健康状態の確認を実施する。
- 体調に関するチェックシートの活用する。
- 体温計や血圧計を設置する。
労働衛生教育
- 熱中症の危険性や予防法、発症時の対策等を周知するポスターの掲示する。
- ガイドラインやマニュアル、チェックリストの作成する。
- 定期的な研修を実施する。
- 救命講習を受講する。
救急措置
- 病院/診療所等の所在地及び連絡先を把握する。
- 緊急連絡網の作成/周知する。
- 涼しい場所で身体の冷却、水分及び塩分の摂取、上長への速やかな報告・相談、救急隊の要請又は医師の診察等の救急処置を共有する。
- 躊躇なく救急車を呼ぶ事を許可する。
- 当日夜に本人にその後の経過を確認する。
管理体制の整備
- 責任体制を確立する。
- 経営者や管理者が熱中症予防管理者研修等を受講する。
- 責任者が一定時間おきに職場をパトロールする。
- 体調不良を申告しやすい雰囲気及び関係性を構築する。
- 熱中症対策を試験・本格導入する。
大和鋼管の取り組み
私たち大和鋼管工業では、以下のような対策を行っています。
- 暑さ指数 (WBGT)の実測
- 朝礼時の体調確認
- 水と塩飴の配布
- 空調服の支給
- スポットクーラーの設置
- 緊急時の連絡網を整備
実際に対策を導入したところ、導入後、現場の社員からメリットを実感する声が届いています。
「水と塩飴のセット支給で、個人のドリンク代が削減されて経済的に助かった。」
「スポットクーラーで体を冷やすことで、作業のパフォーマンスが上がった。」
「工業用扇風機と併せて使用することで、より効率的に冷却できている。」
一定の効果がある一方で、見えてきた課題もあります。
「空調服は重く、着ると動きにくくなる。」
「スポットクーラーがある場所で留まって行う作業ではないので、クーラーに当たる時間が少ない。」
「工場内だけではなく休憩スペースも暑いため、改善のニーズがある。」
「作業場や作業内容によっては交代する人がいないので、連続作業せざるを得ない状況。」
私たちの今後の方針として、スポットクーラー数の拡充、空調服の検討、緊急時の対応/連絡先の周知の強化等を行い、熱中症に対してより安全/安心な職場環境づくりに努めてまいります。
単管パイプで作れる日陰のある休憩所
作業現場によっては、日陰になる場所がないというケースもあるかもしれません。”単管パイプ”と日除けネットを使えば、日差しを遮る休憩場所を作る事ができます。
実際に、当社の本社工場敷地内に”単管パイプ”を使って”サンシェード兼棚”をDIYしました。作り方や気づきについて以下の記事で詳しくレポートしておりますので、ぜひこちらもご参照ください。
ブログ:”単管パイプ”によるDIYで暑さ対策!!”サンシェード兼棚”を作ってみました。
まとめ
今回は、熱中症に関して厚生労働省が予定している省令改正及び職場における具体的な熱中症対策についてお伝えしました。
夏の暑さが年々厳しくなる日本において、熱中症対策は必要不可欠です。今回の記事を参考に、熱中症を防ぎ、安全な夏をお過ごしください。
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