荷役作業における安全確保は大きな課題であり、トラックドライバーの労働災害の実に6割以上が、荷役作業中に発生しています。
荷卸し作業には常に危険が伴います。たとえば、クレーン操作時は重量物を運搬しているため、重大事故につながる危険性があります。またパイプなどを梱包するフープと呼ばれるパイプを結束している帯鉄(おびてつ)は、取り扱い方を誤ると大きな怪我の原因になります。
参考:陸上貨物運送事業労働災害防止協会 令和3年における労働災害発生状況(確定)
安全/安心に荷役作業を行うためには、作業中に気をつけるのはもちろんのこと、あらかじめ必要な知識をもとに準備や心構えをしておくことが大切です。
そこで今回は荷卸しに伴うクレーン操作時の注意点や、パイプを結束している帯鉄の安全な外し方・取扱い方等の安全対策についてをわかりやすくご紹介させていただきます。ぜひ参考にしてください。
クレーン作業前に確認すべきこと
先ず安全確保の為に作業は必ず2人以上で行います。作業者は作業着やヘルメットなど、必ず作業に適した装備を身につけるようにしてください。
実際の操作に入る前に、必ず作業内容と作業手順および合図を確認しましょう。同時に、運転通路上に障害物はないか、クレーン機材の状態に問題はないか等、作業環境の安全性をあらかじめチェックすることも必要です。
万が一落下や荷崩れが起きたときに備え、避難場所も確保しておきましょう。
クレーン操作時の注意事項
クレーン操作時の注意事項は以下の9個になります。ぜひご参考いただき、安全管理のチェックリストとしてもご活用いただければ幸いです。
- 資材は必ず横引きや斜めづりを避け、正しいバランスになる様にフックをセットする。
- 操作者は、落下の可能性を鑑み、つり荷の進行方向前方や荷振れ方向から外れている安全なポジションに立って操作をする。
- クレーンの操作者は転倒防止のため、足元への注意をしっかりする。
- 人の頭上を運搬することのないよう、周りの作業者への合図や声かけを行う。
- 衝撃によるつり荷の落下防止のため、ストッパーへの衝突を避ける。
- 荷崩れ事故防止のため、不安定な場所への荷降ろしを避ける。
- 作業区切りごとに電源を切る。
- 作業途中で異常を感じたときは、必ず作業をストップする。
- つり荷を降ろした後も、クレーンのフックを移動させ終えるまでは気を抜かない。
「クレーンには安全装置がついているから大丈夫なのでは?」と思われるかもしれませんが、絶対の安全性は存在しないため、装置を過信しないことが大切です。機械の安全装置と人の注意が相互に機能することで、事故のリスクを減らしていくことが可能になる訳です。
安全な玉掛け作業や積込みの方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
ブログ記事:ヘェ〜、効果絶大!!!パイプの凹みを減らす吊り天秤の活用。
ブログ記事:単管パイプを積込むコツは?!予備知識で確保する安全/安心で効率的な作業について。
安全に資材を運び終えたら、梱包の帯鉄を解いて製品使用の準備を始めることになります。この帯鉄を解く際にも注意が必要となるため、次の項目で解説します。
パイプの帯鉄の安全な切り方/外し方とは
帯鉄とはベーリングフープとも呼ばれる金属製の結束バンドのことです。パイプや木材/亜鉛などの原材料等を梱包するときに使われており、当社のパイプは帯鉄で括った状態でお客さまにお送りしています。
帯鉄は金属製かつ重量材を梱包できるだけあって、手で簡単に外せるようなものではありません。荷卸し作業で帯鉄を外すときには、以下の点について注意が必要です。
- 切断には帯鉄カッターが必要
- スプリングバックによる事故を防止する
- 解けた資材の落下や荷崩れに注意
それぞれについて詳しく解説します。
切断には帯鉄カッターが必要
帯鉄を切る場合は、帯鉄カッターと呼ばれるハサミを使用して切断をする方法が一般的です。帯鉄カッターは巨大なペンチにも似た工具で、硬い帯鉄も簡単に切ることができます。
なお、帯鉄を廃棄するときにも帯鉄カッターは役立ちます。廃棄予定の帯鉄を箱などに入れて一時保管するとき、長い状態のままにしておくと、箱からはみ出した帯鉄で手や足を傷つける可能性があります。そのため、帯鉄カッターで短くカットしておくことをおすすめします。
スプリングバックによる事故を防止する
スプリングパックとは、簡単にいえば鋼材などの材料に力を与えて曲げたとき、力を緩めると、元の形に戻ろうとする現象のことです。
帯鉄は資材を安全に梱包する役割を持つことから、強い張力、つまりかなり引っ張られた状態となっています。この状態で帯鉄カッターで切断すると、切れた帯鉄が弾けて勢いよく跳ね上がり、作業者の顔に直撃して怪我をしてしまう危険があります。
安全に切断作業をするために、作業者の顔の方向へスプリングバックする側の帯鉄を必ず手で抑えるようにしてください。
解けた資材の落下や荷崩れに注意
帯鉄を切断するときは、他に抑えがなければ資材がそのまま崩れ落ちてくるため、下敷きにならないように注意する必要があります。
具体的には、作業するときの立ち位置に気をつけるということです。結束されている資材に対して正面に立つのではなく、資材が崩れてくる方向を避けて位置取りをしてください。
帯鉄でまとめられている資材は、単管パイプなど重量があるものが大半です。1本1本の重さは数kgでも、量が集まれば、当然ながら数十〜数百kgの重さになります。
正しいポジションに立って作業することで、資材の下敷きによる事故を防げます。何を使ってどんな作業をするかだけでなく、どこで作業するかについても留意しましょう。
まとめ
今回は安全/安心に荷役作業を行うためのクレーン操作時の注意事項や、帯鉄の外し方・取り扱い方についてお伝えしました。
クレーン操作時の注意点を確認し着実に実践/反復/定着させることで、死傷事故を未然に防ぐことができます。つり荷の状態や足元、周囲の人々に注意を払う必要があります。基本事項をおろそかにせず、確実に実行していきましょう。
また帯鉄を切るときは、切った反動で帯が顔に当たらないように手で抑え、正しい位置で切ることによって、安全に梱包を解くことができます。
荷役作業はさまざまな危険を孕み、ふとした拍子に事故が起こる可能性があります。作業は必ず2人以上で行い、周りの安全をよく確認するようにしてください。特に作業に慣れていない場合は、より一層の注意を払っていただくようお願いいたします。
クレーンの操作や帯鉄を外す作業、工具の取り扱い方法などについて、何かご不明点やご不安なことがございましたら、私たちが可能な限りのアドバイスをいたしますので、以下のお問い合せフォームよりお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも安全/安心/健康について為になりお役立つ情報を発信して参りますので、引続き宜しくお願い申し上げます。
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