先日お客様より”なんで単管パイプの外径って45mmや50mmではなく、48.6mmっていうキリの悪い数字なの?是非教えて欲しいです”という様なご質問とリクエストをいただきました。
このような要望は私にとっては初めてで大変嬉しく思うと共に、たしかに単管パイプが何故わざわざ48.6mmなどいう端数のある数字なのかは私自身もすごく疑問に思い、お客様の期待にお応えできればと調べてみましたのでご紹介します。

単管パイプの規格とは
単管パイプの直径自体は"JIS規格"(日本産業規格)のJIS G 3444によって、48.6mmと定められています。

肉厚はもともと2.4mmが主流でしたが、当社の製品である軽量単管パイプ"スーパーライト700"をきっかけに肉厚1.8mmの単管パイプが出回るようになり、現在では2.4mmと1.8mmの2種類が流通しています。
当社の軽量単管パイプ"スーパーライト700"について詳しく知りたいという方は、以下のページよりカタログをダウンロードしていただけます。
![[JP][CTA][Blog]スーパーライト700](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/cta/%5BJP%5D%5BCTA%5D%5BBlog%5D%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88700.png?width=4138&height=1512&name=%5BJP%5D%5BCTA%5D%5BBlog%5D%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88700.png)
単管パイプの外径48.6mmなのか?
調べた結果、実はこの単管パイプの外径が48.6mmという数字になるポイントはインチとメートルという2つの異なる長さを測る単位に関係がある事が分かりました。
確かに普段何気なく使っている単管パイプの外径である48.6mmという数字は日本はメートル法がスタンダードのためメートル表記で書かれていますが、そもそもJIS規格のベースはインチ表記になっています。
鋼管とインチ表記の歴史
そもそも鋼管も、鋼管を造る技術も当初アメリカから輸入されて来たもので、当然その寸法にもアメリカで使われているインチが採用されていた訳です。
しかし、インチ表記というのが明治時代にメートル法を採用した日本人にはあまり馴染みがなかった為、メートル表記を後から作ったんですね。
つまり先に存在していた鋼管のサイズは”インチ”が基準で、後からわかりやすくするためにインチ表記を”メートル表記”に変えたので、結果として端数のある数字が多く使われる様になったのです。
JIS規格における鋼管の呼称サイズ
そのため、JIS規格では”A呼称”と”B呼称”という呼び径が定められており、どちらも外径を示すのですが、”A呼称ではメートル”を、”B呼称ではインチ”を基準にしています。
実際の表を以下に掲載しましたので、参考にしていただければ幸いです。

参考文献:金属管_管の太さの表し方(円管)_Wikipedia
鉄鋼技術の発展で外径はそのままに、肉厚が薄く
ここで一件落着かと思いきや、更にややこしいのは外径355.6mm以下のパイプでは”外径の寸法に基づく規格の数字と呼称が一致しない”という事が分かりました。
どういう事かと言うと、例えば上記の表で25Aの鋼管は1Bでインチという俗称があるので外径が1インチつまり25.4mmかと思いきや、表にある通りこの鋼管の外径は34.0mmなので規格の数字と呼称が一致しないのです。
一体どうしてこんな事になっているのでしょうか?
その理由はまた歴史の話になってしまうのですが、鋼管の規格は元々は内径を基準にして英国で定められた鋳鉄管の規格に由来しており、鋳鉄管は流体を中に通すパイプなので内径を基準に寸法の規格/呼称が定められた後に、鋼管の規格/呼称もそのやり方に従って決められたからの様です。
つまり、当初インチ管と呼ばれる1Bの鋼管は昔は内径が1インチである25.4mmで外径は34.0mm、つまり肉厚は外径と内径の差である8.6mmの半分の4.3mmもあったと考えられます。その後、鉄の性能は技術革新で肉厚が薄くても強度が保てる様になったのですが、今度は外径の寸法を規格として残し肉厚を薄くしたので、呼称では当初の内径の寸法の25A及び1Bが残り、実際の規格の寸法は当初の外径の寸法の34.0mmが残るという事態になった様です。
では何故、外径の寸法を規格として残し肉厚を薄くしたのか?
それについては内径を固定してしまうと肉厚で外径が変わるため、鋼管にネジを切ったりする加工の為の機械の寸法を変えたり、鋼管を取り付ける金具の寸法を変えたり、色々と経済的にも不都合な事が発生するので、外径の寸法を規格として残し肉厚を薄くしたと考えられます。
まとめ
まとめると、外径が48.6mmという様に半端な数字になっている謎はインチ表記をメートル表記に変えたから、一方でそこから新たに発生した”外径が48.6mmの鋼管が1インチの1.5倍である38.1mmの外径で無いのにインチ半と呼ばれる謎への答えは、”内径を基準に寸法の規格/呼称が定められた後に、外径の寸法を規格として残し肉厚を薄くしたことに起因する”様です。以下、ウェブで此等の背景を分析/解説しているサイトがありますのでご参照ください。
参考文献:[工業]配管の呼び径_オールトの雲
いかがでしたか?何だか謎が謎を呼ぶとてもミステリアスな展開ですが、規格や呼称の背景や理由には、国をまたぐ事によって生じる基準の変化や、技術革新によって生じる不都合を解消等がある事がわかると、人類が苦労や工夫を重ねながら進歩して来た事を確認できて、何だかしみじみと先人の苦労や努力に感謝したい気持ちになりました。
今回のように「〇〇がわからなくて調べて紹介してほしい!」等のリクエストがありましたら、ご遠慮無く担当営業または以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。