梅雨の時期になると、メッキパイプの表面に白いチョークのような粉がいつもに増して目立つとの声が、多く聞かれます。この白い粉こそが “白サビ” と呼ばれるものですが、季節柄、白サビ対策に頭を痛めている方も多いのではないでしょうか。
そこで、以前のブログ記事で紹介した”白サビ発生のメカニズム”に引き続いて、今回は、白サビの原因と特徴を正しく理解しながら、”白サビ”への対策や落とし方について説明したいと思います。(以前のブログ記事のリンク先は下記を参照ください。)
ブログ:白サビって何?!発生のメカニズムと見掛け程悪くない耐食性への影響。
白サビの意外な正体! 上手に付き合うには?
“白サビ” とは、鉄地にメッキした亜鉛が空気中の“酸素”と“水”に反応し錆びてできたものです。塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3 ・ 3Zn(OH)2 )や酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、亜鉛メッキ表面に形成され嵩張った状態となった亜鉛酸化物のことを指します。(図1参照)
図1. 白サビ発生のメカニズムと正体
実は、意外なことに、この”白サビ”による亜鉛メッキ皮膜の消耗は極わずかで、メッキ膜厚にして1μm以下。耐用年数に問題を生じることはほとんどありません。さらにこの”白サビ”は”赤サビ”と違って、鉄を腐食から守る作用があり、鉄の”赤サビ”の進行を遅らせてくれるといった驚きの効果もあるのです。
とは言え、わずかですが亜鉛メッキ皮膜の消耗は確実に起こっているので、”白サビ”を長期的に放置したままにしておくと、鉄地まで影響を及ぼし”赤サビ”の発生につながります。また見かけを気にするお客さまや一般のお客さまが多いDIY等の用途を考えると、外観に”白サビ”がないに越したことはありません。以上の理由から、普段から”白サビ対策”を徹底し、できてしまった”白サビ”は正しく対処することが大切です。
白サビ対策のヒケツとは?
それでは、当社で実践している”白サビ対策”を紹介したいと思います。要は、メッキパイプの大敵である、水や湿気を如何にして取り除いていくかがポイントです。
①屋外保管のポイント
- メッキパイプの結束を解いて、パイプ間の水はけや風通しをよくする。(図2参照)
- 地面との隙間をあけ、水はけや風通しをよくする。(図2参照)
- 雨天時はメッキパイプに直接シートが接触しないよう完全にシートで覆い、雨に濡れないようにする。
晴天になったら速やかにシートを外す。
図2. 屋外保管の例
②屋内保管のポイント
- 台木の片方を高くし、水はけをよくする。(図3左参照)
※パイプのバランスが崩れないよう安全面にご注意ください! - パイプの間にロープを入れ隙間をつくり、水はけや風通しをよくする。(図3右参照)
- 扇風機や空調機を使い、屋内の風通しをよくする。
図3. 屋内保管の例
③保管場所
- 酸・アルカリ・塩化ナトリウム(食塩)・塩化カルシウム(融雪剤)などの近くに置かない。
④汚れたときの対処方法
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海水や農薬等が付いた場合は、直ぐに水洗いし風通しのよいところで乾かす。
白サビの落とし方とは?
次に、”白サビ”の落とし方を説明したいと思います。要は、白サビの進行具合に合わせて対処するのがポイントです。
①初期段階
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メッキパイプを乾燥させ保管環境を改善します。改善された環境で保管することで、徐々に”白サビ”の発生部下層にも緻密で安定した保護皮膜が形成され、外見上、通常部との差が目立たなくなります。
②初期段階を過ぎてしまったら
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ワイヤーブラシやサンドペーパー等で軽く擦った後、ジンクリッチペイントで補修塗装をします。
まとめ
”白サビ”の原因と特徴を正しく理解しながら、”白サビ対策”と落とし方について、当社の実践例も交えながら紹介させて頂きました。
梅雨の長雨は、メッキパイプにとっても悩ましい反面、私達の生命の源となる恵みの雨をもたらしてくれる大切なものです。自然に寄り添い、工夫をしながら、この季節を上手に乗り切っていければと思います。
”白サビ”についてお悩みやご相談等がありましたら、お気軽に下記フォームよりご連絡頂ければ幸いです。最後までお読み頂き感謝申し上げます。今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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