亜鉛価格や人件費が高騰する環境下で、「耐食性が必要だけど、亜鉛メッキ+塗装はコストが高い・・・」、「塗装と亜鉛メッキはどっちがいいの???」と悩まれている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
もちろん耐食性が上がるのは良いことですが、経済性の観点や環境負荷の軽減がより重要になっている中で、如何にムリ/ムダ/ムラを省き目的にあった最適の選択をすることがより大切だと私たちは考えております。
そこで今回は塗装と亜鉛メッキのメリット/デメリットを整理整頓し、使用する用途や環境をふまえ目的にあった表面処理の方法を選択することについて取上げたいと思います。
塗装と亜鉛メッキの違いとは?
塗装と亜鉛メッキはどちらも表面処理の一種で、違いが最も顕著に出るのは、表面に傷がついた時の”耐食性”です。その点を踏まえて塗装と亜鉛メッキそれぞれのメリット/デメリットについて考えられる点を下記に記載してみました。
塗装
メリット- 乾燥すると対象物の表面に丈夫な塗装皮膜を形成し、対象物が紫外線/雨/塩水等から腐食されるのを防ぎます。
- 対象物に色/ツヤ/滑らかさ等をもたらすことで外観を美しく見せたりすることが可能です。また模様や立体的なテクスチャー仕上げ等を施すことで、周囲環境との調和を促したり快適な空間を作ったりします。
- 対象物の表面に特別な機能を持った塗料を塗ることで、対象物の付加価値を高めることができます。例えば、耐熱性/耐油性/防火性/電気絶縁性/導電性/電波吸収性/耐薬品性/防虫性/防カビ性/防汚性/防水性/防音性/蛍光・夜光性など、様々な付加価値を付与することが可能です。
- 太陽光の紫外線と熱や雨風により、塗料に使用されている樹脂が破壊されることで、劣化しやすくなります。特に太陽光に当たりやすい環境下では劣化の進行が速くなります。
- 劣化の症状であるひび割れや剥離によって鉄地が外に晒されることで鉄が腐食し、赤サビの原因になります。
- 製造工程に於いて、地球規模で排出削減への取組みが進められている”揮発性有機化合物VOC”を発生させてしまう場合があります。
亜鉛メッキ
メリット- 鉄製品や部品に亜鉛を析出させることによって、表面に素材の金属と金属結合をした防錆効果が非常に高い亜鉛皮膜を形成することで鋼材をサビや腐食から防ぎます。
- 表面に傷がついて材質の鉄が露出してしまった場合でも、露出した部分に亜鉛が溶け出し再度鉄を覆う”犠牲防食作用”というサビを防ぐ働きをします。
- 亜鉛メッキの工程には様々な設備を必要とするため大掛かりな投資が必要で、ご自身で行うことが困難です。
- 素材によって亜鉛メッキを施すのが難しい場合があります。
- 亜鉛メッキが剥がれてしまったら、常温で補修することはできません。再度亜鉛メッキを行う必要があります。
亜鉛メッキ製品の上に塗装をする場合の注意点
亜鉛メッキの上に塗装を施すことで、亜鉛メッキのみと比べ約2倍ほど耐食性をあげることができる為、より耐食性を求める環境下では十分に効果を発揮することが考えられます。
一方で鉄素地と同じ要領で亜鉛メッキ上に塗装をすると、亜鉛と塗料成分が反応して塗膜剥離などを起こすことがある為、亜鉛メッキと相性が良く密着性がある塗料を選ぶ必要があります。
亜鉛メッキ製品への塗装の例は以下の表になりますので、ご参考いただければ幸いです。
目的や用途に合わせて使い分けが重要
亜鉛メッキへ塗装を施すことで耐食性が上がり、鋼材をより長く安心してご利用する事が可能になりますが、コストがかさんでしまったり地球環境負荷への配慮も必要になるので、使用する用途・環境や目的にあった表面処理を選ぶことが重要です。
そこでどのような場合に亜鉛メッキや塗装を行うべきなのか、私たちなりに考察してみましたので、参考にしていただければ幸いです。
- 兎に角コストを下げたい場合
兎に角コストを下げたかったりあまり耐久性が求められないなら、必要最低限の耐食性を担保すべく亜鉛メッキ加工を行わずに塗装のみを行う事が望ましいと思われます。特に溶接加工を行なった構造物場合は、亜鉛メッキ加工を施すとコストがかさむので、耐久性へのニーズに応じた対応が必要です。 - 製品が傷つき易い環境で使用する場合
塗装は亜鉛メッキとは異なり、”犠牲防食作用”という腐食を防ぐ働きがありません。その為、製品が傷つき易い環境では、塗装よりも亜鉛メッキを施す方が品質を長く保つ為に有効であると考えます。 - 特に耐用年数が求められる用途の場合
亜鉛メッキの上に塗装を施すことで、亜鉛メッキのみと比べ約2倍の耐食性を発揮できます。また、”犠牲防食作用”の効果も期待できる為、コストはかかりますが、耐用年数が求められる用途には最も有効であると考えます。 - 温度や湿度の差が激しい環境で使用される場合
塗料は劣化していくと、温度や湿度の差に対応できず、ひび割れや剥離が発生しやすくなります。ひび割れや剥離が発生して湿気や水が塗膜の下に入ると、塗料の膨れやめくれの原因となります。その為、冷凍庫に使用される場合の運搬用ロールボックスパレット等は、亜鉛メッキのみが妥当であると考えます。
まとめ
今回は塗装と亜鉛メッキのそれぞれのメリット/デメリットおよび、使用する用途や環境、目的にあった表面処理の選択肢についてご紹介いたしました。
そういった中でもし亜鉛メッキ+塗装を検討している方で、「メッキ鋼管に塗装をしたいけどうまく塗れない」、「塗料は何がいいのかわからない」等、お悩みがございましたら、以前ブログ記事でご紹介していますので、ご参考いただければ幸いです。
ブログ記事:鉄パイプの塗装には全周メッキがオススメ!!“ポストジンク/パーフェクトポストジンク”の塗装優位性。
ブログ記事:単管パイプへの塗装はどうする?!全周メッキの塗装優位性について。
当社のポストジンク/パーフェクトポストジンクはその内外面仕様のバリエーションや加工性/塗装性/環境性等に優れているので、使用する用途や環境及び目的に応じて最適解をご提供する事が可能だと考えております。
サンプルのご要望やご相談・質問等が御座いましたら、お気軽に下記ご相談フォームよりご連絡ください。以上、宜しくいお願い申し上げます。ありがとうございました。
- タグ:
- 構造用メッキ鋼管