2021.03.31

腐食速度がポイント!?酸化しやすい亜鉛が鉄をサビから守るメカニズム。

私たちの身近にあるメッキパイプは、鉄よりも酸素と結びつき易い亜鉛が鉄地を守る事で、耐用年数を伸ばしています。

ここで「亜鉛が鉄より酸素と結びつき易いなら、亜鉛メッキはすぐなくなってしまうのではないか?」と疑問を生じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

確かに、亜鉛は鉄よりも酸素と結びつき易いのですが、10〜25倍の耐食性があるため、亜鉛の腐食速度は鉄よりも遅く、メッキパイプは耐用年数が長くなります。

今回は、鉄の耐食性についての試験結果と亜鉛メッキの耐食性について比較しご紹介します。

鉄の腐食速度の試験結果

先ずは、鉄の腐食速度を調べる為に、内面に亜鉛メッキを施していない外径31.8mm x 板厚1.6mmのパイプを半割りにした試験体に、複合サイクル試験を行いました。

複合サイクル試験と暴露試験は、以下の表に示す相関性があります。

[JP][Blog]サイクル試験対応表

上記のサイクル試験と暴露試験の相関性を使って田園地帯を例に、試験結果を整理しました。

[JP][Blog]肉厚減少試験結果

田園地帯に於ける鉄の腐食速度は平均すると、およそ0.014[㎜/年]という結果になりました。

亜鉛の腐食速度

亜鉛の腐食速度は、一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会HPに掲載されています。

リンク:一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会HP_溶融亜鉛めっきの耐食性

[JP][Blog]亜鉛の腐食速度

田園地帯の亜鉛の腐食速度に亜鉛の密度を7.2[g/㎤]として単位を換算すると、以下の計算式になります。

亜鉛の腐食速度[㎜/年] = 亜鉛の腐食速度 4.4[g/㎡/年] ➗亜鉛の密度 7.2[g/㎤] = 0.0006[㎜/年]

鉄と亜鉛の腐食速度の比較

上記の試験結果と計算結果により鉄の腐食速度はおよそ0.014[㎜/年]、亜鉛の腐食速度はおよそ0.0006[㎜/年]ですので、0.014÷0.0006=23.3333となり、亜鉛よりも腐食速度がおよそ20倍速いことが分かりました。

これは亜鉛が空気中の酸素と反応した場合に酸化皮膜と呼ばれる緻密な薄膜を表面に形成し、この酸化皮膜が耐食性に優れている為、亜鉛の腐食速度が鉄よりも遅くなるメカニズムが働いているからです。

まとめ

今回は鉄と亜鉛の腐食速度を具体的な数値で比較する事で、亜鉛メッキの耐食性の高さを詳らかにしてみました。

もしパイプを使って製品を製造しているお客さまで、製品の耐用年数を向上したい、耐用年数に応じてメッキのコストを最適化したい等の悩みがありましたら、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談下さい。宜しくお願い致します。ありがとうございました。

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