2024.07.03

白管を使って品質向上とコスト削減を両立?!黒管とのメリット・デメリットの比較と加工時の注意点のご紹介。

鋼管を手配する際に必ず押さえておきたい仕様の一つは、メッキの有無です。もし現在メッキのない"黒管"を使用して最終製品を製造している場合、メッキを施してある”白管”に置き換える事によって、最終製品の耐食性/耐久性を上げたり、その製作に至る迄の工程を省いてコストを削減する事が可能です。

しかし、”黒管”と”白管”は生産・流通量や製品の加工性が異なる為、それぞれの特徴を十分に理解した上で置き換えを判断しなければなりません。

そこで今回は、メッキパイプメーカーである私たちの目線で”黒管”と”白管”の特徴を比較した上で、置き換えに際して配慮すべきポイントをご紹介します。

”白管”を活用して最終製品の耐食性/耐久性を上げると共にコストを削減する一助にして貰えれば幸いです。

黒管と白管は、そもそもどちらが多いのか?

鉄鋼連盟が公表している"2023年における普通鋼の鋼管の生産統計"によると、"普通鋼の鋼管"の生産量は約380万㌧で、そのうち継目無鋼管・溶鍛接鋼管・冷けん鋼管をメッキが施されていない"黒管"に分類すると約343万㌧、めっき鋼管つまり”白管”は約37万㌧となっており、”黒管”と”白管”の比率は9:1で、日本で生産されている鋼管の大多数は黒管である事が分かります。

2023年における普通鋼の鋼管の生産統計

[JP]白管黒管の生産量

参考:一般社団法人日本鉄鋼連盟_生産統計/時系列

黒管の特徴

[JP]黒管

前述の通り日本で生産される鋼管の多くは”黒管”なので生産・流通量が多く、様々なサイズや管種がプロの方であれば鋼材店から入手し易いとういうメリットがあります。

また同じ管種である場合には、当然メッキが施されていない”黒管”は”白管”に比較して安価です。

さらに”黒管”は刃物による切断や穴あけ等の一次加工も容易で、レーザーやプラズマを用いた一次加工や溶接等の高温を伴う加工も問題なく実施する事ができ、塗装する場合も脱脂などの下処理すれば問題ありません。

一方で、”黒管”はメッキが施されていないため錆び易いというデメリットがあります。

白管の特徴

[JP]パイプ画像-PZPPZ

 

 

 

 

”白管”は”黒管”と比較して流通量が少ないですが製品としての完成度が高いので、"単管パイプ"や"農芸用鋼管"といった管種に関しては、ホームセンターやECサイトで販売されているケースもあり、”単管パイプ”の様に一般の方でも比較的入手がし易い製品も存在します。

さらに”白管”は”黒管”と比較して、メッキが施されているので錆びにくい事が最大のメリットとして挙げられます。

一方で、”白管”はレーザーやプラズマを使用した一次加工では、高温になるため人体に有害な酸化亜鉛ヒュームが発生したり、部分的にめっきが無くなってしまうので対策が必要です。

つまり”白管”に溶接を行う場合には、酸化亜鉛ヒュームの発生だけでなく、ブローホール・ピットとも呼ばれる気孔欠陥 やスパッタが発生するので、その対策を行う必要があります。

また、”白管”の表面はメッキが施されて滑らかになり、”黒管”に比較して摩擦力が小さくなっているので、表面の摩擦力で結合するような高力ボルト等を使用する事ができない場合があります。

黒管と白管の比較まとめ

黒管と白管の特徴をまとめると以下の表になります。

  黒管 白管
生産・流通量 生産・流通量が多く様々な用途に加工し活用されているので、プロの方であれば鋼材専門店で入手し易い 生産・流通量は少ないが製品の完成度が高いので、一般の方でもホームセンター等で入手が可能な製品もある
価格 同じ管種の白管と比較して安い 同じ管種の黒管と比較して高い
加工性 熔接等の加工で高温になっても亜鉛のヒュームは発生しないので対策が不要 熔接等の加工で高温になると亜鉛のヒュームが発生するので対策が必要
耐蝕性 錆び易い 錆びにくい
表面状態 表面が滑らかでなく摩擦力が大きい

表面が滑らかなので摩擦力が小さい

黒管を白管に置き換える際のポイント

この様に”黒管”を”白管”で置き換える際に注意すべきポイントは、特に熔接等の高温を伴う処理での加工性です。

前述の通り”白管”を加工する場合には様々な対策が必要となりますが、正しい溶接の材料や保護具を使用する事で溶接加工を行う事が可能です。過去に作成したブログで”白管”を溶接する場合の注意点をまとめたブログがありますので、よろしければご参照ください。

大和鋼管ブログ:メッキ鋼管の溶接をしたいんだけど・・・。その難しさと作業上の注意点について。

まとめ

今回は、メッキパイプメーカーである私たちの目線で”黒管”と”白管”の特徴を比較し、”白管”を活用して耐食性/耐久性を上げると共にコストを削減する際に加工性に注意が必要なことをご紹介しました。

現在、”黒管”を使用している業者さまも、正しい材料や保護具を使用する事で”白管”を活用すれば、品質を向上しコストを下げることが可能です。

当社のメッキパイプにご興味のある方やより詳細に加工性の課題を克服する方法が知りたい方がいらっしゃいましたら、以下のフォームよりお気軽にご相談ください。ありがとうございました。

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