2022/06/14には1ドル135円台に突入し、20年ぶりの円安レベルが国内の様々な物価上昇に拍車をかけていますが、円安という市場は輸出を行う業者にとっては価格競争力という面で有利に働く場合が多く、海外への販路を拡大させるチャンスでもあります。
しかし、輸出する製品に関しては様々な規制が関係しており、特に環境規制に厳しいヨーロッパではRoHS2指令という電気・電子機器中に使用される材料について厳しい環境規制が
今回は、このRoHS指令について解説し、メッキパイプメーカーの視点で亜鉛メッキ製品に関する注意点と私たちの環境に優しいポストジンク/パーフェクトポストジンクについてご紹介させていただきます。
RoHS指令(RoHS2指令)とは?
RoHS(ローズ)指令とは、”Restriction of Hazardous Substances”の頭文字をとった略で、有害物質使用制限指令とも呼ばれ、電気・電子機器中において特定の危険物質の使用を制限する指令の事を言います。 2003年02月13日に交付され、2006年07月01日に施行されました。 RoHS2指令制定以降は、指令を遵守している販売製品には"CEマーク"の表示が義務づけられています。
RoHS2指令で使用制限されている10の有害物質と適合基準については下記になります。
表 RoHSで規制される禁止物質一覧
ここでメッキ製品に関してRoHS指令では、メッキ層は切削によって機械的分離が可能である均質部材のため、メッキ製品の母材とは別にメッキ層は個別に禁止物質の規制濃度をクリアしなければなりません。
また、メッキ層の表面に化成処理やコーティングを施す場合も同様に、皮膜に含有される禁止物質を測定し規制濃度をクリアする必要があります。
※一部、RoHS適用除外される真鍮などの金属材料もあります。
溶融亜鉛メッキの製品で特に気をつけたい物質〜鉛・カドミウム〜
メッキパイプに限らず溶融亜鉛メッキの製品で特に気をつけたい禁止物質は、鉛とカドミウムです。
溶融亜鉛メッキを施す場合は、亜鉛の地金を釜で高温に熱して融解させる訳ですが、現在の技術では亜鉛地金を精錬する際に鉛やカドミウムを完全に取り除くことは困難である為、使用する亜鉛地金によっては、メッキ製品のメッキ層に鉛やカドミウムが多く含まれる場合があります。
また、上述した通りメッキ層は母材とは別に禁止物質の規制濃度をクリアしなければならなず、その規制値は質量当たりの濃度[wt%]であるため、亜鉛付着量や膜厚ではなく亜鉛メッキを施す為に使用する素材の成分やプロセスが重要となります。
日本産業規格(JIS規格)では、JIS H2107によって以下表の様に亜鉛/鉛/カドミウム等の金属成分の含有率毎に亜鉛地金の品質が規格化されています。
表 JIS H2107による亜鉛地金の種類[%]
種類 | Zn | Pb | Cd | Fe | Sn | Cu | Al |
最純亜鉛地金 | 99.995以上 | 0.003以下 | 0.002以下 | 0.002以下 | 0.001以下 | 0.001以下 | 0.001以下 |
特種亜鉛地金 | 99.990以上 | 0.003以下 | 0.003以下 | 0.003以下 | 0.001以下 | 0.002以下 | 0.002以下 |
普通亜鉛地金 | 99.97以上 | 0.02以下 | 0.005以下 | 0.01以下 | 0.001以下 | 0.002以下 | 0.010以下 |
蒸留亜鉛地金特種 | 99.7以上 | 0.3以下 | 0.01以下 | 0.02以下 | - | - | - |
蒸留亜鉛地金1種 | 98.5以上 | 1.3以下 | 0.2以下 | 0.025以下 | - | - | - |
蒸留亜鉛地金2種 | 98.0以上 | 1.8以下 | 0.5以下 | 0.1以下 | - | - | - |
メッキ製品の表面に六価クロムが含まれる場合もある。
亜鉛メッキを施した後に、更なる耐食性を与えるために"クロメート処理"が行われる場合があります。
このクロメート処理に使用されるクロムが六価クロムの場合は、生成される皮膜に六価クロムが含まれますので、RoHS指令に非適合となります。
この六価クロムは、非常に強い酸化能力を持っており、皮膚や粘膜に付着した状態で放置をすると皮膚炎や腫瘍を発症したり、多量に体内に吸入すれば肺癌/肝臓障害/貧血/大腸癌/胃癌などの原因にも繋がります。
また、極めて強い毒性を持っており、代表的な六価クロムの二クロム酸カリウムの致死量は、約0.5〜1グラムと言われています。
実際に六価クロムで重大な公害が発生した事例が過去にあり、クロムを扱う工場の労働者の1割が鼻中隔穿孔や肺癌の健康被害の犠牲者になったり、クロム鉱さいの投棄により生物や植物が生息できない環境下にしてしまった土壌汚染問題がありました。
RoHS指令にも適合するポストジンク/パーフェクトポストジンク
私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクは、溶融亜鉛メッキの工程で"最純亜鉛"を使用し、鉛・カドミウムフリーを実現しました。
また2005年よりポストジンク/パーフェクトポストジンクの亜鉛メッキ表面に塗布しているコーティングからクロムを完全撤廃し、ノンクロム化も実現しました。
当社独自の防錆力の高いクロムフリーコーティングを塗布する事で、樹脂系透明保護皮膜を形成し、美しいポストジンク/パーフェクトポストジンクの銀白色の輝きを長時間保つと同時に、格段に安全/安心/健康に使用できる製品になっています。
まとめ
今回はこのRoHS指令について解説し、メッキパイプメーカーの視点で亜鉛メッキ製品に関する注意点と私たちの環境に優しいポストジンク/パーフェクトポストジンクについてご紹介しました。
私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクは鉛・カドミウム・
また、欧州へ輸出する電気・電子機器のみならず、全ての製品から人体に有害な物質を撤廃することはSDGs3-9"2030年までに、有害な化学物質や大気・水・土壌の汚染が原因で起こる死亡や病気を大きく減らす"取組にも繋がりますので、今後は地球規模で加速していく事が考えられます。
ポストジンク/パーフェクトポストジンクを購入していただいた業者さまには、これらの非含有証明書を発行
電気・電子機器の材料でメッキパイプを使用している製造メーカーの方や納入業者さまの中で、私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクに興味を持った業者さまがいらっしゃいましたら
足元で私たちは、インフレや環境規制の強化等様々な状況の変化やチャレンジに直面していますが、今後とも引続き少しでも皆さまの為になり役に立てる様に積極的な情報発信を進めて参りたいと思います。何かご質問やご要望等が御座いましたらご遠慮なくいただければ幸いです。引続き宜しくお願い申し上げます。
最後まで読んでいただき感謝申し上げます。
- タグ:
- 構造用メッキ鋼管