2021年12月20日に溶融亜鉛めっきに関する”JIS H 8641や”溶融亜鉛めっき試験方法に関する”JIS H 0401”といった私たちの事業に大きく関わるJIS規格が改正されました。
亜鉛メッキ製品を取扱う方々にとって”JIS H 8641”の"HDZ"という表記は長年慣れ親しんでいた規格名称だったと思いますが、改正後は"HDZT"に変更されることとなりました。
今回は溶融亜鉛めっきに関するJIS規格であるJIS H 8641の改正されたポイントを確認した上で、今後の私たちの対応についてご紹介させていただきます。
JIS規格の改正内容と前後の比較
これまでに溶融亜鉛めっき関するJIS規格”JIS H 8641”では、”単位面積あたりに何グラムの亜鉛が付着しているか”である”亜鉛付着量”を基準としていましたが、改正後は”表面にどのくらいの厚さの亜鉛が付着しているか”である”亜鉛メッキの膜厚”が基準となります。
さらに改正前はHDZ + 付着量を表す記号や数字で規格が分類されていましたが、2021年12月20日の改正後は、HDZT +膜厚を表す数字で規格が分類されるようになります。改正後と改正前の対応する規格をまとめると以下の表になります。
※平均めっき膜厚の平均値から算出
上記の表から"HDZT 35"と"HDZ 35"は品質の異なる規格を指し、改正後は混乱する事が予想されるので、正しく理解することが必要です。
膜厚から付着量への換算について
これまでは電磁膜厚計を用いて膜厚試験を行って得られる亜鉛メッキ膜厚[μm]を以下の計算式で亜鉛付着量[g/㎡]に換算する必要がありましたが、溶融亜鉛めっき試験方法に関する”JIS H 0401”の改正後は亜鉛付着量に換算する必要がなくなります。
亜鉛付着量[g/㎡] = 膜厚[μm] × 7.2(亜鉛の密度[g/㎤])
しかし、改正後は膜厚がベースとなる為、直接法や間接法の付着量試験で得らる亜鉛付着量[g/㎡]は、以下の計算式を用いて、亜鉛付着量[g/㎡]を膜厚[μm]に換算する必要があります。
膜厚[μm] = 亜鉛付着量[g/㎡] ➗ 7.2(亜鉛の密度[g/㎤])
JIS規格改正の背景
今回、JIS規格の内容が改正された背景は、①ISO 1461:2009に於いて亜鉛メッキの要求品質特性を膜厚を基準とし膜厚計によって測定する方法を主としている事や②技術の進歩によって膜厚計の測定精度が向上し簡単に精度の高いデータが得られるようになった事が挙げられます。
さらに特注で製造された大型の亜鉛メッキ製品等は直接法や間接法による検査が難しい事や均一性を証明する事が困難でしたが、非破壊試験である電磁膜厚計を用いた膜厚試験であれば簡単に実施できることなどから、市場のニーズに合わせたJIS規格の改正だと私は考えます。
JIS規格改正を踏まえた私たちの対応
私たちのポストジンクやパーフェクトポストジンクは独自の製造方法と品質管理で生産しているため、溶融亜鉛めっきに関するJIS規格”JIS H 8641”の改正によって生産方法や品質管理が影響を受けることはありません。
しかし既存の販促物や製品資料にはこれらの改正前のJIS規格と社内規格の比較等を行っているため、順次販促物の更新を行っていく予定です。
まとめ
今回は改正された溶融亜鉛めっきのJIS規格”JIS H 8641”の変更内容を確認すると共に、今後の私たちの対応についてご紹介させていただきました。
今回溶融亜鉛めっきのJIS規格”JIS H 8641”は2021年12月20日に改正されましたが、2022年12月19日までは以前の規格を適用してもよいとなっていますので、順次対応を進め、更新された販促物を都度ご案内していきたいと考えています。
私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクを活用していていただいている商社様や特約店様で、今回のJIS規格改正について取引先様へ製品説明が必要な場合には、販売支援を行いますのでお気軽に以下のフォームからお問合せください。
また、既にドブメッキのパイプを使用している方々で"環境性や経済性に優れるメッキパイプ"に興味がある方がいらっしゃいましたら、以下のページより製品資料をご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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