2023.10.27

メッキパイプの亜鉛付着量はどう調べる?!算出に使われる試験方法について。

私たちは鉄鋼に亜鉛メッキを施すことで、錆に強いメッキパイプを製造しています。しかし、メッキパイプに亜鉛がどこまでシッカリと付着できているのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、溶融亜鉛メッキの付着量を算出する試験方法について解説した上で、当社が実施している対応内容をご紹介します。ぜひご参考にしていただければ幸いです。

溶融亜鉛メッキ付着量を算出する試験方法の概要

一般的に溶融​​亜鉛メッキの付着量は、鋼材の”試験片”を用意して必要な作業を行い、その質量を比較する”直接法”と”間接法”の2種類と磁力式測定装置を用いて製品のめっき皮膜厚さを測定する"磁力式厚さ試験"がありますので、次項で詳しく解説します。

”直接法”とは?

[JP][Blog]直接法2023.03.29

亜鉛メッキを施す前に”試験片”の質量を計測しておき、亜鉛メッキ後に再び”試験片”の質量を計測することによって、増えた質量分から亜鉛メッキの付着量を算出する方法です。

”試験片”は、次のいずれかの方法で採取します。

  • 素材をそのまま試験片とする。 
  • 製品を代表する素材から”試験片”を切り取る。 
  • 素材から”試験片”を切り取ることができな場合は、同一材料から試料を採取して”試験片”とする。 

なお、”直接法”は測定対象物のサイズが大きかったり、重量が重すぎたりすると測定精度が低くなってしまい、正確な亜鉛付着量が算出できないという弱みを持ちます。その為、サイズがある程度小さいものの測定に向いています。

”直接法”の作業および計算方法

”試験片”はまず酸と水で洗浄し、乾燥させた後に亜鉛メッキを施します。このとき、質量が1kg未満であれば0.01gまで、1kg以上の場合は0.1gまで質量を計っておきます。

メッキ後は再び質量を計り、増えた質量分を”試験片”の表面積で割った数値を亜鉛メッキ付着量とします。

”間接法”とは?

[JP][Blog]間接法

亜鉛メッキを施した”試験片”の質量を計測した後、塩酸によって亜鉛メッキを除去し、再び”試験片”の質量を計測することによって、減った質量分から亜鉛メッキ付着量を計算する方法です。

”試験片”の採取方法自体は”直接法”と同じですが、”間接法”の場合は、亜鉛付着量測定の精度を高める為に、”試験片”の大きさの基準がJIS規格によって定められています。具体的には、両端からそれぞれ10mmの部分を除いた任意の位置から長さ約60mmの管状の”試験片”を1個採取するルールとなっています。

試験液は、JIS K 8847に規定された試薬の”ヘキサメチレンテトラミン”という物質を塩酸に溶かして、塩酸と同量の水で薄めたものを使います。安全の為に用量を厳守し、取扱いに十分な注意が必要です。

”間接法”の作業および計算方法

亜鉛メッキを除去する前に、”試験片”の質量を測っておきます。”直接法”と同じで、”試験片”が1kg未満であれば0.01gまで、1kg以上の場合は0.1gまでです。

試験液については、”試験片”の亜鉛メッキ部分の表面積100㎟あたり最少10㎖になるように量を決めておきます。

”試験片”を試験液に浸して亜鉛メッキ皮膜を完全に除去した後、シッカリと試験液を洗い流して乾燥させ、再び質量を計ります。

亜鉛メッキ付着量を計算する数式は、以下のとおりです。なお、計算結果は整数とすることになっています。

亜鉛メッキ付着量[g/㎡] = (メッキ除去前の質量[g] − メッキ除去後の質量[g]  ) / メッキ部分の表面積[㎟]  × 10の6乗

"磁力式厚さ試験"とは?

"磁力式厚さ試験"とは、磁力式測定装置を用いて製品のめっき皮膜厚さを測定し、その皮膜厚さから換算によって付着量を求める付着量試験です。一般事項は、JIS H 8501の12.(磁力式試験方法)によって定められています。

亜鉛メッキ付着量の亜鉛メッキ皮膜への換算

溶融亜鉛メッキに関わるJIS規格では膜厚がベースとなっていることから、亜鉛メッキ付着量を膜厚に換算する必要があります。計算式は以下のとおりです。

膜厚[μm] = 亜鉛メッキ付着量[g/㎡] ÷ 7.2(亜鉛メッキ皮膜の亜鉛の密度[g/㎤])

当社で行っている試験方法は”間接法”

パイプ画像-PZPPZ

当社では、メッキパイプの亜鉛付着量は”間接法”を用いて試験を行っています。理由としては、当社でメッキパイプを製造する際は素材である鋼板のパイプ成形と亜鉛メッキを連続で行う独自製法を採用していることから、メッキ前のサンプルを採取する事が難しい為です。

耐久性に大きな強みを持つメッキパイプ”パーフェクトポストジンク(PPZ)/ポストジンク(PZ)”は、メッキされた”試験片”の質量を内面/外面それぞれで測定した後、塩酸でメッキ皮膜を溶解除去して再び質量を計り、その減量から付着量を求めています。

なお、“電線管”については社内確認の為に”間接法”で溶融亜鉛メッキ付着量を検査する他に、JIS規格で規定されている”硫酸銅試験”と呼ばれる溶融亜鉛メッキの均一性を検査する試験も行っています。

まとめ

今回は、当社が溶融亜鉛メッキを施しているメッキパイプの亜鉛付着量を算出する試験方法について詳しくご紹介しました。

当社では、お客さまに安全/安心してお使いいただける高品質なメッキパイプをお届けする為、製造工程においてこのような試験をシッカリと実施しております。

品質の良いメッキパイプが欲しいという方がいらっしゃいましたら、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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最後まで読んでいただき感謝申し上げます。引続き皆さまの"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りますので、今後とも宜しくお願いいたします。ありがとうございました。

 


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