世界全体がウィズコロナに大きくシフトし停滞していた経済の回復に多くの期待が寄せられる足元ですが、そのペースはワクチン接種率が高い先進国と低い発展途上国では大きな隔たりがあり、その様な背景から様々な資源の価格が高騰しインフレが長期化する懸念も膨らんでいます。
そういった環境の中で亜鉛地金の価格が足元で歴史的なレベルに高騰しており、今後はドブメッキ等の亜鉛メッキにかかる費用も更に高くなっていく事が想定されます。
そこで今回は亜鉛地金の価格が高騰している背景と、インラインメッキ鋼管メーカーである私たちの視点で、メッキにかかるコストをポストジンク/パーフェクトポストジンクで抑える方法をご紹介します。
亜鉛地金の価格高騰の背景
新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした景気後退から急速に回復したエネルギーの需要に供給が追いつけておらず、さらに火力発電所で発電時に発生する二酸化炭素のコスト負担も価格に転嫁している状況から、世界的に電力コストが大幅に上昇しています。
亜鉛は電解製錬法により亜鉛地金を製造した場合、非鉄金属の中でアルミニウムに次いで電力を消費する金属です。電解製錬法により製造される亜鉛地金1t あたり3,200~3,500kWhの電力を要します。2円/kWhの電気料金が値上げになると、亜鉛地金は1t あたり6,400円〜7,000円のコストアップとなります。
情報元:独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源情報1411-04-vol.44:亜鉛の需給動向等
この"エネルギー価格の高騰"が背景になり、欧州内の亜鉛地金を製造している3精錬所では、通常の操業ができない状況のため、亜鉛を50%減産する発表を行うなど、大手メーカーが大幅な亜鉛地金の減産を打ち出しており、このような状況から亜鉛地金の価格は高騰しています。
亜鉛メッキ加工にかかるコストを抑える方法
亜鉛メッキ加工にかかるコストを抑える方法として私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクや先メッキ鋼管等のメッキ鋼管を材料として使用する事が考えられます。

これらのメッキ鋼管はドブメッキと比べて、合金層が薄く防錆性能に有効な純亜鉛層の割合が多いという特徴があります。以下の図でもドブメッキは”純亜鉛層”より”合金層”が厚くなっているのに対し、パーフェクトポストジンクは”合金層”より”純亜鉛層”が厚くなっていることが分かります。

つまり、ポストジンク/パーフェクトポストジンクや先メッキ鋼管等は、少ない亜鉛の量でドブメッキと同等の防錆性能を再現できる為、ドブメッキと比べて亜鉛地金の価格上昇の影響を軽減できると考えます。
更に私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクであれば、外面がドブメッキと同様にパイプ全周に均一なメッキが施されているため、先メッキ鋼管のように外面溶射部から錆びるといった事がありません。更に必要に応じてメッキ厚を調整する事も可能ですので、用途/ニーズに応じてコストを抑える事が可能になります。
そしてポストジンクの内面は水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”へ切替えが始まっており、パーフェクトポストジンクの内面は先メッキ鋼管と同様の仕様になっています。パイプの内面に要求される耐久性も用途/ニーズに応じて様々ですので、経済性のみならず品質や環境性能を踏まえた最適解をお客さま/お取引先さまと一緒に模索させていただきたいと考えています。
ポストジンク/パーフェクトポストジンクについて更に知りたいという方は、以下のリンクより製品詳細をご確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。
リンク:大和鋼管工業株式会社HP 製品詳細
まとめ
今回は亜鉛地金の価格が高騰している背景と、インラインメッキ鋼管メーカーである私たちの視点で、ポストジンク/パーフェクトポストジンクによってメッキにかかるコストを抑える方法をご紹介しました。
冒頭でご説明した通り、様々な資源の価格が高騰しインフレが長期化する懸念が膨らんでいますので、少ない資源で必要に応じた性能を引き出す事に着目することが大切だと考えていますし、この取組は正に足元で大きな影響を経済に及ぼす様になった地球環境保護の取組みにも繋がっていきます。
もし黒管+ドブメッキの鋼管から私たちのポストジンク/パーフェクトポストジンクに切り替えを検討される方がいらっしゃいましたら、以下のリンク先の通常在庫一覧表をご確認の上で見積もりフォームでお問い合わせをいただければ幸いです。