業界に入ったばかりの方もそうでない方でも、時々"鉄パイプ"についての基本的なことを、「何故なんだろう?」と思ったり、「よく解ってないけど、今更聞けない…」と感じたこともあるのではないでしょうか?
そこで今回は、"鉄パイプ"の基本的な疑問について、
そもそも"鉄パイプ"ってどんなもの?
"鉄パイプとは"鋼管"、つまり言葉のとおり鋼 (はがね)の管 (くだ)のことで、主に鉄で作られている筒状の物体であり、中が空洞になっています。
一般的に私たちは、これらを全て"鉄パイプ"と呼んでいますが、実は"チューブ"と"パイプ"の二つの種類があり、"JIS規格"では使い道によってその呼び名が定められています。
まず、"チューブ (Tube)"は、建物や機械の骨組みなどを作るときに使われる管で、強さや作りの精度が求められます。"一般構造用炭素鋼鋼管"や"機械構造用炭素鋼鋼管"などがこれにあたります。
一方で、"パイプ (Pipe)"は、水や空気などの流体を運ぶための管で、液体やガスが漏れないような構造が重視されます。"配管用炭素鋼鋼管"や"水道用亜鉛めっき鋼管"などが代表的です。
"鉄パイプ"の材料となる鉄の成分とは?
"鉄パイプ"の材料となる"鉄"は、炭素含有量によって"純鉄"と"鋼"に分けられており、一般的に"鉄"と呼ばれるものの多くは"鋼"を指しています。
"純鉄"は、炭素がほとんど含まれておらず柔らかくて強度が低い特徴がある一方で、"鋼"は、"鉄"に炭素を加えることで”硬度”や”粘り強さ”を向上させた”合金”で、"炭素鋼"とも呼ばれます。
従って"鋼"の主成分は"鉄(Fe)"ですが、その他に"炭素 (C)"、"ケイ素 (Si)"、"マンガン (Mn)"、"リン (P)"、"硫黄 (S)"などの元素が混在しています。
図:鋼の成分
"鉄パイプ"の作り方は?
"鉄パイプ"には、主にビレットと呼ばれる丸い鋼の塊から押し出して作る"シームレス鋼管"と、金属の板を丸めて溶接する"溶接鋼管"の2種類があります。
シームレス鋼管の製造工程
- 準備:素材である"ビレット"を"鋼管"に整形する準備として、芯まで高温になるように加熱します。
- 穿孔:熱した"ビレット"を、2本の傾斜した"ロール"の間で回転させながら押し出し、円錐状の工具を突き刺して"ビレット"の中心部に空洞が開けることで、肉厚の粗い"素管"が形成されます。
- 延伸/圧延:"素管"をさらにロールで延伸や圧延し、"鋼管"の外径や肉厚を所定の寸法に仕上げます。
図:シームレス製造工程
溶接鋼管の製造工程
- 準備:"鋼帯"を"ロール"で徐々に曲げ、円形の筒状に成形します。
- 溶接:筒状になった"鋼帯"の継ぎ目部分を、高周波電流で発熱させ、高圧で押しつけて"溶接"します。
- サイジング/切断:溶接後の"鋼管"の外径や肉厚を所定の寸法に調整し、必要な長さに切断します。
図:溶接鋼管の製造工程
さらに、電縫鋼管のメッキ方法には、"ドブメッキ"、"先メッキ"、"インラインメッキ"の3種類があります。
ドブメッキ
"ドブメッキ"は、パイプを製造してからメッキを行う方法です。
先メッキ
"先メッキ"は、メッキしてある材料を使用してパイプを製造する方法です。
インラインメッキ
"インラインメッキ"とは、鋼管を製造しながら同時にメッキを行う方法です。当社では、独自の製造工程"ダイワZプロセス"を採用し、高品質なメッキ鋼管を効率的に製造しています。
"鉄パイプ"の用途は?
"鉄パイプ"は、たとえば工事現場の足場管やビル・住宅の配管、工場の機械の部品、農業用ハウスの骨組み、水道管やガス管、道路標識の支柱など、私たちの身の回りのさまざまな場所で使われています。
そして前述のとおり、工事現場の足場管、農業用ハウスの骨組みや道路標識の支柱などは、"JIS(日本工業規格)"でいうところの"チューブ(Tube)"にあたり、ビル・住宅の配管や水道管・ガス管などは"パイプ(Pipe)"にあたります。
まとめ
今回は、"鉄パイプ"の基本的な知識について、
他にも"鋼管"に関する疑問などがありましたら、
最後までお読みいただき心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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