2025.10.01

鋼管のJIS規格改正で何が変わる?!"注文者によって提示される情報"に関する箇条の追加について詳しく解説。

2025年04月21日に、当社が製造/販売を行っている一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G3444)、機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)、一般構造用角形鋼管(JIS G3466)のJIS規格が改正されました。

今回改正された内容は様々ですが、新たに「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられ、注文者は発注書に"種類の記号"や"製管方法及び仕上げ方法"及び"寸法"を明記する事が義務付けられるようになりました。

今回のブログでは、「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられた内容や背景について詳しく解説します。今後の取引の参考にして貰えれば幸いです。

「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられた背景

今回対象となったJIS規格の改正で、「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられた背景には、注文者が製造業者や中間業者に製品を発注する段階で、製品に対する事項が明確でなくトラブルに陥るケースが発生していたと考えられます。
 

また、一般構造用炭素鋼鋼管、機械構造用炭素鋼鋼管、一般構造用角形鋼管(JIS G3466)の他にも、同時期に改正された機械構造用合金鋼鋼管(JIS G 3441)や自動車構造用熱間圧延鋼板及び鋼帯(JIS G 3113)にも「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられているため、今後は他の鋼材についてもJISが改正される度に、同様の箇条が追加されていく事を私たちは想定しています。

「注文者によって提示される情報」について解説

今回JIS規格が改正されたことにより、対象となる鋼管の注文者は、規格に規定する事項を適切に指定するために、注文時に少なくとも次の事項を製造業者、加工業者又は中間業者に提示する事が必要です。

a) 種類の記号
b) 製管方法及び仕上げ方法
c) 寸法
 
それぞれの事項について詳しく解説いたします。

種類の記号とは?

"種類の記号"とは、各JIS規格で定められる管の種類を表した記号です。

一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G3444)、機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)、一般構造用角形鋼管(JIS G3466)のそれぞれの種類の記号は以下の通りです。

 一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G3444)

種類の記号
STK290
STK400
STK490
STK500
STK540

 

 機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)

種類の記号
STKM11A
STKM12A
STKM12B
STKM12C
STKM13A
STKM13B
STKM13C
STKM14A
STKM14B
STKM14C
STKM15A
STKM15C
STKM16A
STKM16C
STKM17A
STKM17C
STKM18A
STKM18B
STKM18C
STKM19A
STKM19C
STKM20A

 

一般構造用角形鋼管(JIS G3466)

種類の記号
STKR400
STKR490

製管方法及び仕上げ方法とは?

"製管方法"とは、"電気抵抗溶接"や"鍛接"など鋼管の製造方法を指します。また仕上げ方法とは切断後に成形などを行う仕上げの方法を指します。

製管方法の記号

製管方法 記号
継目無し S
電気抵抗溶接 E
鍛接 B
自動アーク溶接 A

仕上げ方法の記号

仕上げ方法 記号
熱間仕上げ S
冷間仕上げ E
電気抵抗溶接のまま G

 寸法とは?

"寸法"とは、丸パイプの場合では"外径"、"厚さ(肉厚)"、"長さ"を指し、角パイプの場合では"辺の長さ"、"厚さ(肉厚)"、"長さ"を指します。
 
そして、機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)に於いて、特別に”寸法許容差”を定める場合には、その内容の明記も求められます。

注文書の記入例

"種類の記号"、"製管方法及び仕上げ方法"、" 寸法"を具体的に注文書へ記入する際の例をご紹介します。

規格

記入例

一般構造用炭素鋼鋼管

STK500ーEーG 48.6 x 2.4 x 6,000mm

機械構造用炭素鋼鋼管

STKM12BーEーG 48.6 x 1.6 x 5,500mm

(寸法許容差を入れる場合)

STKM12BーEーG 48.6 (±0.18mm) x 1.6 (±0.15mm) x 5,500mm(0〜+50mm)

一般構造用角形鋼管

STKR400ーEーG 60 x 60 x 2.3 x 6,000mm

まとめ

今回は、一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G3444)、機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G3445)、一般構造用角形鋼管(JIS G3466)の規格改正に伴い、「注文者によって提示される情報」の箇条が設けられた背景を推察し、その内容について詳しく解説しました。
 
当社は、今回のJIS改正を踏まえて、受発注の体制を検討しております。詳細が決まりましたら、営業担当もしくは当社より改めてご案内させていただきます。
 
本件に関して、何かご質問や分からない事がありましたら、以下のフォームより気軽にご相談ください。
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最後までお読みいただき心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


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