2025.10.01

メッキパイプは短くなると何故割高に?!鋼管のカット賃に関する基礎知識。

メッキパイプを購入する機会の多いお客さまの中には、「短いパイプはなぜ割高なのだろう?」や「長いパイプより高くなる場合があるの?」といったような疑問を持っている方もいらっしゃるのではないのでしょうか?


その疑問の答えとしてパイプの価格に含まれる"カット賃"があります。

そこで今回は、メッキパイプに”カット賃”が発生する具体的なメカニズムを詳しく解説します。

メッキパイプのコスト構成を正確に理解し、ご希望にあったパイプを安心して検討・購入いただく上で、ご参考にしていただければ幸いです。

[JP]チップソー切断20250519

”カット賃”が必要になる3つの事例 

”カット賃”は、パイプの製造ラインでお客さまのご希望の長さに合わせる事が難しい場合に、後加工として行われる切断加工の代金として発生します。

”カット賃”が必要になるのは、主に以下の3つのケースですので、ご紹介させていただきます。

①数量が少ない場合

パイプの製造ラインは、設定した長さのパイプを大量に生産するのに適しており、少量のご注文のために都度長さの設定を切り替えると、生産効率が著しく下がってしまいます。

そのため、少量での特寸サイズのご注文があった場合は、標準の長さで製造したパイプから切断加工でご注文の長さにすることになり、”カット賃”が必要になります。

②長さが短い場合

製造ラインでは、直接短いパイプを生産すると切断回数が増える事でラインのスピードが上げられず効率が悪くなってしまう為、一度長いパイプを生産してから切断加工で短くしています。

従って在庫品サイズとしてメーカーが保有している長さの短いパイプにも、実際にはコストとして”カット賃”が含まれていることになります。

③寸法公差が厳しい場合

長さに関して精密な公差が求められる場合にも、別途”カット賃”が発生します。

製造ラインにも公差の基準はありますが、より高い精度を実現するためには、専用の切断機による精密な切断加工が必要となり、標準の長さで製造したパイプを再度切断し直し、要求される公差に対応させています。

 

上記の理由・背景を踏まえ、特寸サイズの製品を受注する際には、下記の図にある判断基準に応じてその可否と対応方法を判断していますので、ご参照いただければ幸いです。


特寸サイズ受注フロー20250926

特寸サイズの受注可否判断と対応方法に関するフロー図

大和鋼管の切断加工 

大和鋼管では、原則として4m未満の長さのパイプに”カット賃”をいただいております。

これは、上記で述べたとおり、長さの短い製品は製造ラインでの直接生産が難しく、切断加工が必須となるためです。

さらに、切断加工時にはお客さまに安全にご使用いただくため、自動切断機でのカットの後、切断面に外側/内側/垂直と"3面面取り"という作業を行っています。

この作業を行うことで、切断面によるケガのリスクを減らし、パイプの扱いやすさを向上させています。

 
[JP]面取り前後

[All][Blog]3面面取り2022.07.25

3面面取り断面図

 

また、手動での切断の際には、安全を考慮してバリ取り作業を行っており、これらの作業で発生するコストも、実は”カット賃”に含まれているとご理解ください。

[JP][Blog]バリ取り

バリ取り


特寸サイズ受注フロー(大和)20250926

大和鋼管の特寸サイズ受注可否判断及び造管・加工・バリ取り作業に関するフロー図

大和鋼管では特寸サイズの対応時、ご依頼の"品種"、"外径x肉厚"、"規格"により造管可能な本数が変動します。詳しくは、以前配信したブログ記事にて解説しておりますので、ぜひそちらもご参照ください。

 ブログ:コスト削減への妙案?!特寸製品による切断歩留まりの改善について。

切断加工の注意点 

また当社で行う鋼管の”切断加工”に関しては、以下の注意点がありますのでご確認ください。

価格に関わる"歩留まり"

歩留まりとは、材料から実際に製品として使用できる部分の割合のことで、”切断加工”では、どうしても使用できない”端材”がロスとして発生し、このロスのコストも、結果的には製品単価に反映されています。

例えば、標準品の5.0mのパイプから4.6mのパイプを1本切り出す場合は、切り出す際に余った0.4mはロスとなりますが、4.6mのパイプの価格にはこの0.4m分の材料費も含まれることになります。

このような理由から、5.0mの標準パイプよりも、加工が必要な4.6mのパイプの方が単価が高くなるといったケースが発生することをご理解ください。

対応できない"長さ"

大和鋼管では、作業員の安全確保のため、短いサイズの対応については、”切断加工”を承っていない場合があります。 ご希望の長さ等がありましたら、予め担当へお問い合わせください。

お客さまにはご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

加工に必要な"納期"

”切断加工”は、ご注文毎に対応するオーダーメイドの工程であり、一定の作業時間が必要となるため、通常の在庫品に比べて納期が長くなる場合がございます。

特に繁忙期には、ご注文が集中してしまい、ご希望の納期に添えない可能性もございます。

重要なプロジェクトでご使用の場合や、まとまった数量をご注文の際には、是非お早めに当社の営業担当者にご相談ください。事前の打ち合わせをいただくことで、当社の営業担当者よりスムーズな納品計画をご提案させていただきます。

 まとめ

今回は、メッキパイプに”カット賃”がかかる際の具体的なメカニズムについてご紹介しました。メッキパイプのご購入を検討する際のご参考にしていただければ幸いです。

当社製品のお見積もりは、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。新規CTA

最後まで読んでいただき、感謝申し上げます。当社では引続き、皆さまの"為になるお役立ち"に繋がる情報を発信してまいります。ありがとうございました。


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