2021年4月上旬にIMF(国際通貨基金)は、2021年の世界の経済成長率を6.0%に上方修正し、数十年ぶりの高水準になる見通しを立てています。
さらに、世界鉄鋼協会は2021年4月15日に2021年の世界の鋼材需要の見通しを前年比5.8%増の18億7千400万トンになる上方修正を発表し、鋼材需要も増える見込みです。
鉄鋼業界ではこの様に鋼材の需要が増える中、供給面では世界的な環境問題等を背景に中国を中心に減産の対応が進み、需要と供給のバランスがこれまでにないレベルで崩れ、鋼材価格が高騰しています。
このような状況を踏まえて私たちは、本日(2021年4月28日)に鉄鋼新聞/産業新聞/金属通信にて値上げをプレスリリースしました。今回はこの発表についての詳細と、私たちの行動についてご説明させて頂きます。
2021年5月出荷分よりトンあたり1万円の値上げ
母材のホットコイル価格の高騰により5月出荷分から単管パイプおよびメッキ鋼管、スーパーカラーなど全品種をトンあたり1万円値上げすることを発表しました。
その理由は、今後も需給のひっ迫によりホットコイルの数量を確保する事が難しい環境が継続し、それに伴い国内のホットコイル価格は当面値上げ局面が続くとみられ、その様な環境下でお客さまへの安定供給を行うには、私たちも販売価格を上げる事が必須と判断した為です。
昨年の11月からの累計の値上げはトンあたり3万円
これ迄私たちはホットコイル価格値上がりや資機材コスト/亜鉛価格の上昇などを踏まえ、昨年11月にトンあたり5千円、今年2月にトンあたり1万5千円と合計トンあたり2万円の値上げを実施して来ました。
一方で、高炉メーカーのホットコイルの価格は、昨年10月から今年5月までにトンあたり合計で3万円以上値上がりをしています。
今回5月出荷分から実施するトンあたり1万円の値上げで、累計の値上げはトンあたり合計3万円となります。更に今後のホットコイル価格上昇次第では、追加の値上げも検討していく方針です。
今後の見通し
足元で世界の鉄鋼生産量の約6割を占める中国の政府が2021年の粗鋼生産量の削減方針を示し鉄の供給量が少なくなる一方で、COVID-19から復活しつつある鉄鋼需要はまだまだ旺盛であり、今後も中国をはじめとする世界的な鋼材需要などを背景にホットコイルの高い価格レベルは続くものとみられます。
その影響から海外のホットコイル市況は足元では強い需要と価格上昇が顕著であり、厳しい経営環境にある日本の高炉各社は足元の収益を確保する為により高い価格で売れる海外市場に目を向けざるを得ず、自ずと国内市況も海外に引っ張られる状態がより明確になって来ており、当面この傾向は継続する事が見込まれます。
私たちは、この様な情勢の中で引続き鋼材の動向を注視しつつ、先ずは数量を確保し安定供給を実現する為にお客さまの値上げへの理解の浸透に努めて参りたいと考えております。
まとめ
世界経済が徐々にコロナ禍から復活してくる過程で、鉄の世界では圧倒的な存在となった中国が環境問題という大きな問題に主体的に関わる中で世界の鉄鋼市況も日本の鉄鋼市況も今迄にない局面を迎えている様です。
その様な環境下で私たちは、シッカリと進化し続ける目的を把握した上で、日本及び世界の鉄鋼市況という全体性への感性を高めながら、お客さまへ丁寧に説明をして理解を得ながら、安定供給の為の値上げに真摯に取組んで参りたいと思います。
その上で当社お取引先のお客様に対し、製品値上げに関する更なる情報の提供や同行での説明等、当社が協力できることが御座いましたら、可能な限りの対応をさせて頂きますので下記のお問合せフォームより気軽にご相談下さい。ご理解とご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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