2021.09.08

単管パイプの市況と価格はどうなる?!鋼板の輸入量を踏まえた今後の考察について。

以前のブログでもご紹介しましたが、2021年04月に世界シェアの5割を越える粗鋼生産量を誇る中国が、環境対策としての二酸化炭素削減を背景に2021年の生産量の削減方針を明確に示しました。

しかし、2021年中国の上半期(01~06月)の粗鋼生産量は5億6,330万トンで前年と比べて11.8%増加しており、昨年より粗鋼生産を抑える為には、下半期の粗鋼生産量を5億200万トン以内に抑えなければなりません。これは上半期粗鋼生産量の11%にあたる6,100万トンの減産を実現しないと達成できない目標です。

これにより懸念されるのが、中国からの輸入に限らず、日本が輸入している鉄鋼製品が手に入りにくくなる事です。

今回は私たちの視点で、単管パイプの原料となる鋼板の輸入量推移から、今後の単管パイプの市況動向についての考察をご紹介させて頂きます。

鋼板の輸入量は減少傾向

2017年08月から2021年07月までの3年間の鋼板の輸入量を韓国と台湾のみピックアップして以下のグラフにまとめました。韓国と台湾のみピックアップしたのは、この二カ国からの輸入量が日本の鋼板輸入量の約95%を占めるからです。

鋼材の輸入量※財務省貿易統計データより作成

このグラフを見ると、2017年08月から2020年04月までは月間およそ80,000トン前後で推移していましたが、2020年の下半期(07月〜12月)からは80,000トンを上回った月はありません。

2020年の輸入量の大幅な縮小は先ずは新型コロナウィルス感染によって需要の縮小が大きな要因だと私たちは考えていますが、その後は厳しい行動規制によりコロナ禍を先行して脱し経済活動を活発化している中国が、2021年に入っても回復需要に見合った増産を行わず、自国優先の供給政策や高騰する鉄鋼製品価格の抑制に走った事も相まり現在に至っていると認識しています。

今後の予想

冒頭でも説明しましたが、世界最大の粗鋼生産国である中国は、二酸化炭素削減等の環境問題を背景に2021年下期からは大幅な粗鋼生産量の削減を行う方針です。この背景には世界最大の人口を抱える国としての環境対策への宿命と責任感がある一方で、米国との競争の中で環境技術面での覇権を強化したいとの思惑も感じられます。

そして中国は、2021年8月より鉄鋼製品の輸出時にかかる関税を引き上げました。これは、中国国内の経済成長を止めない為に、鉄鋼製品供給を自国の能力で確保する事が目的です。それに併せて中国鋼鉄工業協会(CISA)は2021年08月19日に鉄鋼の輸出総量を制限し、低品質の鉄鋼製品の出荷を減らすことを提案しています。

2019年の鉄鋼製品の輸入比率は日本はおよそ9%に対して韓国は30.5%と高く、そのおよそ半分の輸入元が中国となっています。韓国は中国から輸入する鉄鋼製品が減る為、韓国国内の需要に対して自国の生産能力か中国以外の輸入元から供給しなければならない状況になり、実際に韓国鉄鋼業界の中核に位置するポスコは需給のタイト化及び鉄鋼製品価格の高騰を背景に記録的な収益を上げています。

また二酸化炭素削減等の環境問題は世界共通の課題である為、韓国も直ぐに現在の設備で粗鋼生産量を大きく伸ばすことは不可能ですし、日本と同様に少子高齢化が韓国でも進んでいる事を勘案するとその選択肢は取り辛いことは明らかです。この傾向は台湾でも基本的には同じだと考えられます。

この様に中国の粗鋼生産量の削減は近隣諸国で玉突きのように供給不足/需給のタイト化という形で連鎖すると共に、持続可能な開発目標SDGsや環境/社会/ガバナンスを評価して投資をするESG投資の世界的な流れを踏まえると、今迄の常識であった”上がったモノは必ず下がる”というサイクルが必ずしも機能せず、鉄鋼製品価格の高止まりが長期化する事がにわかに想像できます。

また日本国内の単管パイプメーカーは韓国や台湾から鋼板を輸入しているところも多い一方、韓国を中心とした単管パイプ製品の日本への輸出に関しても供給面/価格面の両方で厳しい状況が生じる為、鋼板と同様に供給がタイトな状況が長期化する可能性が高いと私たちは考えています。勿論此等はすべて需給バランスで変化していきます。

まとめ

今回は環境対応という世界的なメガトレンドを背景に大きく粗鋼生産に関して方針を転換した中国と、その影響を受けている韓国/台湾から日本への鋼板輸入量の推移を踏まえ、今後の単管パイプの需給/価格動向について考察してみました。

世界シェア5割越を誇る中国の粗鋼生産方針の転換により、世界的に鋼材の需給はタイト化は長期化する事が想定され、日本では単管パイプについても材料となる鋼板及び製品の輸入が絞られる傾向が続く為、需給バランスによる変化があっても当面は品薄の傾向を維持し、価格も高止まりする可能性が高いことが予想されます。

幸い大和鋼管は材料となる全ての鋼板の調達を日本製鉄から行っており輸入鋼材の影響は直接受けない為、もちろん足元の状況では中々万全とは行かないのですが、こういう時だからこそ製品の供給に関しては可能な限りお客さまの為になるお役立を実現して行きたいと考えております。

もし急な引合いで単管パイプが欲しいけども手に入らない、見込んでいた仕入れが想定外に遅れて困っているという方々がいらっしゃいましたら、是非お気軽に以下の見積りフォームからご相談頂ければ幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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