2021.05.19

鋼材は何時どれだけ買うべき?歴史的な”需要なき値上”への対処方法。

先月04月28日に日本製鉄株式会社は、薄板3品の国内店売り、リロール向けの06月出荷からの価格を最大1万5千円値上げすると発表し、05月出荷の1万円値上げに続き2ヶ月連続での値上げとなりました。

これにより熱延コイルの昨年2020年10月から今年2021年06月までの累計値上げ幅は、06月出荷分から実施するトンあたり1万円を含めて、トンあたり合計4万円となります。

日本製鉄薄板3品6月出荷から大幅値上げ

 ©️2021年4月28日発行_日本金属通信2面記事抜粋

また日本製鉄株式会社の値上げの影響と思われますが、日鉄鋼管株式会社も05月17日に07月出荷分から全品種でトン2万円以上引き上げる発表を行う等、国内での足元の鋼材市況は歴史的高値となっています。

一方で、中国をはじめとする世界的な鋼材需要の影響もあり、国際的な足元の鋼材市況および原料価格も歴史的高値となっており、アジアの熱延コイル価格が1千ドル超えになっている状況の中、当面この傾向の継続が見込まれます。

何処まで値上げが続くのか天井が見えない状況下で「今後の状況はどうなるのか?」、「買うタイミングはいつなのか?」等、不安を抱えたり困っている方も多くいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、現状の市況状況を踏まえ”何時が買い時で、どれ位買うべきなのか”当社なりの見解”をご紹介します。

鋼材価格上昇の可能性は?

鉄鋼の主原料である鉄鉱石の価格が8.5%高の1トン230ドルに迫り、今月05月10日に過去最高値を更新しました。高騰の要因としては、中国で鉄鋼生産が増えているのに伴う旺盛な鉄鋼需要や、主要な原材料供給国であるオーストラリアと中国の間の地政学的緊張も一因となっているのではないかと考えられます。

また先日、2021年07-09月における鉄鉱石価格の見通しが発表されましたが、現時点では04-06月の10%超上昇し、更に最高値を更新する見通しであるとのことです。04月の鉄鉱石価格は昨年04月比で212%となっていますが、今のところは更なる上昇が見込まれることから鋼材価格への影響は免れない様相です。

鉄鉱石価格の推移(月次)

 参考文献:鉄鉱石価格の推移_世界経済のネタ帳

尚、鉄鉱石の値上げが”どのくらい鉄鋼製品の価格に与えるインパクトがあるのか”以前ブログ記事でご紹介しましたので、宜しければ併せてご覧下さい。 

日本への輸出量減少の可能性は?

中国鋼鉄工業協会は2021年04月12日に、目標である”2030年の二酸化炭素排出のピークアウト、2060年のカーボンニュートラルの実現”の為、2021年は粗鋼生産能力のある環境保護水準やエネルギー消費効率の低い企業に対して、重点的に減産させる方針を発表しました。

中国は過去一貫して輸出大国でしたが、2016年以降から輸出量を減少、2020年の輸入量は前年比2.3倍と急増している中、今回の発表により輸出減少と輸入増加の継続の可能性が考えられます。

また、中国の財政省と国家税務総局が2021年05月01日から146品目の鋼材輸出に対する増値税の還付率を撤廃もしくは引き下げの方針を示し、国内需要に対応する為、供給の確保を目指している事等から、鋼材輸出が減少に向う可能性が見込まれます。

一方で、中国以外でも熱延コイルの輸出市場は、各国ともに国内販売が堅調であり、オファー自体が限られた状況となっています。特に韓国では2021年05月08日に現代製鉄/唐津製鉄所第1高炉加熱炉付近でメンテナンス中に発生した事故により高炉1基が稼働停止となっており、現時点では第2高炉だけが正常に稼働している状況から、韓国内での販売に影響が生じる可能性は十分に考えられます。このため、株式会社POSCOへ代替の国内供給要請が入ることも予想され、日本への輸出量減少に繋がるのではないかと推測しております。

日本国内の市況について

2021年05月07日に日本製鉄株式会社は、2022年03月期の連結事業利益を4,500億円とする発表を行いました。その中で鉄鋼新聞の記事によると、橋本社長は「内需は前年度の5,200万トンから5,500万トンに増加する見込み」と語り、昨年以上に需要が高くなるという見通しを立てています。

また、価格に関しても「日本の鋼材価格はグローバル比で1万円以上安く陥没している。」と語っており、日本国内の熱延コイルの市況はまだまだ上昇する事が考えられます。

海外に比べて、日本の鋼材価格は安い?

国内の鋼材価格が海外市況に比べて安いと言われていますが、その傾向が顕著に現れている分野が鉄スクラップを原料に製鋼する電炉業界だと考えます。

鋼材の海外市況が高値の為、それを受けた輸出向けのスクラップ買取業者は、国内の電炉業者よりもかなり高い買取価格を提示するようになりました。そして国内の電炉業者は、必要数量のスクラップを確保する為に、輸出向けの買取業者に匹敵する買取価格を提示せざるを得ない状況となり、今月の買取価格は2008年以来の5万円台の高値も出てきています。

先日2021年05月17日に発表された東京製鉄の06月契約の鋼材販売価格1万〜1.8万円の大幅値上げには、このような背景があると考えています。

何時、どのくらい購入するべき?

上記でお話させて頂いた通り、足元では当面値上げの傾向が継続されることが見込まれておりますので、購入のタイミングやどのくらい購入すればいいのかという問への答えは、”今購入すべき”で基本的に”需要見合いプラスアルファ”が正しい判断と考えています。

何故ならこの様に何処まで価格が上昇していくのか天井が見えない間は常に今が買い時ですが、一方で当然価格の反転リスクが何処に隠れているか分からないですし、コレだけ上がると下がる反動も大きい可能性も大いにある訳ですので、常に用心し控え目に需要見合いにプラスアルファの数量を着実に購入する事が適切だと思われるからです。

尚コレは飽くまでも現状を踏まえた我々の見解ですので、最終的な購入のご決断はお客さま自身の状況や環境を考慮した上でご判断頂ければ幸いです。

まとめ

建材市況に今一歩の盛上がりが欠ける中で価格がドンドン上昇する歴史的な”需要なき値上”が継続している中、足元は益々厳しい状況下ではありますが、この環境は暫く継続しそうです。当社が協力できることが御座いましたら、可能な限りの対応をさせて頂きたいと考えておりますので、是非お声掛け下さい。

また、何かご質問や具不明な点等御座いましたらお気軽に下記お問合せフォームよりご相談頂ければ幸いです。今後の市況の変化を見ながらお客さまとコミュニケーションを密にし、互いにWin-Winになれる取組を進めて参れればと考えております。何卒宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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