2024.05.22

賢者の起動① 共感について

大和鋼管の中村です。前回のブログでは、「如何に”0災害の追求”を”真っ当、前向き”に進めていくか」という観点で、”精神的な健全さの向上”つまり”メンタルフィットネス”の必要性に触れました。

そしてその具体的なやり方については、共感・探索・革新・先導・発動の5つの方法を以て「”賢者”を起動する」というアプローチがあり、私自身このやり方を日々の操業や経営に実際に活用しています。
参考ブログ: 賢者の起動について

今回はその一つ目の”共感”について、自身の経験も含めて詳しく説明できればと思います。先ず”共感”を改めて大辞林でしらべてみると、以下の様に説明されていました。

きょうかん 【共感】
(名)スル
① 他人の考え・行動に,全くそのとおりだと感ずること。同感。「―を覚える」「彼の人生観に―する」
② 〘心〙〔sympathy〕他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
③ 〘心〙〔empathy〕 →感情移入(かんじよういにゆう)

この説明を読んで私が思い出したのは、アドラー心理学の代表的な書籍である”嫌われる勇気”の中で、「相手の眼で見て、耳で聞いて、心で感じる事が”尊敬”」と述べていることです。

ここで私は、”共感”と”尊敬”は、とても似ていると気付きました。

前回紹介したPositive Intelligence社の提供するメソッドによると、実際にわれわれ一人ひとりが”共感”を実現するには、”自身や相手の中に、5歳から13歳の子供の頃だった姿をイメージする事が効果的だとしています。

具体的な方法としては、自身の5歳から13歳の時の写真を見ることを推奨しています。その頃の自分の感覚・感情を思い出したり、相手のその頃の姿を想像し「何をみて、何を聞いて、どう感じた」のかに思いをめぐらしたりする事で、”共感”が起動されます。

幼児教育や子育ての権威でもある”花まる学習会”の高濱先生によると、人の成長を”蝶”に例えると、生まれてから5歳頃までがタマゴ期、6歳から9歳位までがイモ虫期、9歳から11歳位からがサナギ期で、12歳頃以降が成虫期だとしています。

この考え方を転用すると、”共感”という”賢者”を起動するには、自身がイモ虫だったころから蝶の成虫になる迄の、まだ人格が固まっていない時期の自身を思い出したり、相手を想像する事が近道になるのだと考えられます。

実際に以下の様に私自身の3歳/9歳/12歳位の写真を並べてみると、私の場合は右側の12歳の写真がもっとも”共感”を起動しやすい様に感じました。

此等の知見を踏まえて大和鋼管の経営陣は、会社で業務用に活用する”Google Workspace”のアカウントのアイコンを、自身の5歳から13歳だったころの写真に変えています。

つまり誰かからメールを受け取った時に送り主のその頃を想像したり、アイコンを共有しているSuGuSuPaという自社開発の会議システムを活用する際に、相手への”共感”を起動できる切掛けを作ったりしている訳です。

実際に此等の方法で”共感”を起動しようとすると、私は自分自身に対しても相手に対しても、少し”寛容”になれる気がします。何故なのでしょうか?

私が思うには、我々は思春期頃から急速に社会との関わりを増し、学校や部活での経験、アルバイト等の中で自身と他者を比べたり、組織の中で役割を担って行動したり、集団として目標に取組み苦難を共にしたり、達成の喜びを分かち合ったりします。

此等の取組みを通して我々は、達成感や充実感といった喜びも得られますが、同時に失望や苦難及び劣等感なども生み出します。

一方で、それ以前の5歳から13歳頃までの自分、つまり人格形成が始まってから未だ社会との繋がりが希薄で、自己中心的な頃の自分はとても”不完全”ですが、同時に自身にとっては極めて素直で正直で、愛おしい存在です。

大人になった誰もが経験しているその時期の自分を思い出し、またその時期の相手を想起する事で、我々は各々の存在価値の核になっているモノに気付き、自身や相手に対してやさしい気持ちになれるのだと思います。

”0災害の追求”を求められる製造現場では、常に”最も厳しい現実を直視する規律”を更新し、ヌケモレなく徹底的に事故や労災を起さない”完全”を目指す事が要求されます。

そういった緊張感の高い環境の中で互いに”共感”を以て”賢者”を起動し、相手の”不完全”を”寛容”に受け止めた上で、一緒に”0災害”という”完全”を目指す事が、各々の頭と心と体の健全さを維持/向上させ、”0災害”の実現へ繋がっていくのだと思います。

このブログでは、可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有しながら、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂き、一緒に“0災害の追求"の更新に挑み、行動していきたいと考えています。

今回の“安全ブログ"の内容や我々の“0災害の追求”の取り組みについて、ご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡ください。本件に関するご質問/ご提案/リクエストはこちら

最後までお読み頂き感謝申し上げます。これからも“0災害の追求”に関わる、”為になり、役に立つ“情報を皆さんに共有して参りたいと思いますので、引続き宜しくお願い致します。ありがとうございました。ご安全に。

大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎


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