2024.07.03

賢者の起動⑤ 発動について

大和鋼管の中村です。前回の安全ブログでは、「如何に“0災害の追求”を“真っ当、前向き”に進めていくか?」という問いに対し、“先導”によって”賢者”を起動し、“真っ当、前向き”に“0災害の追求”を進めていく取組について説明させて貰いました。
参考ブログ: 賢者の起動④ 先導について

今回は、共感・探索・革新・先導・発動の五つの方法のうちの最後となる、「“発動”を以て“賢者”を起動する」というアプローチを解説して行きたいと思います。

先ずここでいう“発動”は英語の“Activate”に相当する意味合いで、“発動機”を始動させる様に、自身のエンジンを掛けるイメージです。

前述のとおり我々の脳は、本能的に常に何か悪い事が起こらないかを想定し警戒する様になっています。一方で、自身が問題がない環境に居たり心地良く感じたりしている際にはその状態を維持すべく、なるべく何もしない事を自ずと選択してしまいます。

そして“0災害の追求”に於ては、この選択は大きな阻害要因になります。

例えば、仲間が集中して仕事に取り組んでいるが安全防具が少し外れていたり、一生懸命作業をしているが少し無理な姿勢をしているのを見かけたとします。その際には、指摘をするために声を掛けることが憚られたり、億劫に感じたりする事がありますが、これは極めて自然なことです。

その様な時に「“発動”を以て“賢者”を起動する」には、脳科学者の中野信子さんが語っている二つの方法として、“儀式を決めておく”と、“とりあえずやってみる”があります。
参考リンク: 世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた

一つ目の“儀式を決めておく”は、皆さんもよくご存知のメジャーリーグでプレーしていたイチロー選手がバッターボックスに立った際の動作や、ラグビー日本代表だった五郎丸選手がキックをする際に行う“ルーティン”と同じで、自身が能力を発揮できる状態を再現できる状態を、動作を切掛けに作っていく方法です。

職場で此等の“ルーティン”を行う際には、チョッと大きな動作をする事は難しいと思いますが、例えば“フゥー”と一息深く息を吐く、または自身の親指と人差し指の先を擦り合わせて感覚を確かめる等の小さな動作で十分です。

二つ目の“とりあえずやってみる”という「“発動”を以て“賢者”を起動する」アプローチは、苦手な作業ややりたくない取組をする際に効果を発揮します。作業が遅れていて焦って不安全な行動をとってしまう事を避ける意味で、“0災害の追求”に有効です。

人間の脳は一度作業を始めると初めはストレスを感じがちになるのですが、5分ほど作業を継続すると徐々にその作業に慣れて、集中力のスイッチが入り、生産性がグッと向上します。

チョッとややこしい感覚ですが、“どうせ5分たてば今の嫌な気持ちはなくなるんだ”と思ってストレスの高い仕事や作業を始めると、本当に自身の頭や体がその状況に慣れて、寧ろ心地イイ感覚になり仕事が捗る訳です。

何れのアプローチに於ても、ポイントとなるのは“頭と心と体”のうち”体”です。

我々の脳は究極には二つの事を同時に処理できません。つまり“考える”と“感じる”を同時に行う事はできないので、自身の嫌だと思う“考え”を、儀式やルーティンで“体”を動かした際に感じた“感覚”で止めて“集中”のスイッチを入れて、とりあえず体を動かして5分間作業をする事で、次第に嫌だと思う考えを薄めて”集中”していく事が「“発動”を以て“賢者”を起動する」方法です。

“0災害の追求”というリスク管理と、“儲け続ける会社にする”価値貢献を両立する為には、常に集中力を失わないと同時に、集中しすぎない”程よい緊張感”の実現/継続が問われます。

集中しすぎている仲間に一言声を掛ける勇気を持つ為にも、また、過剰に無理をせず“程よい緊張感”を自ら実現/継続する為にも、「“発動”を以て“賢者”を起動する」アプローチを有効に活用して、自身の自己管理の能力を深めて行ければと思います。

このブログでは、可能な限り私自身の経験と知見を皆さんに共有しながら、率直なご質問/ご提案/リクエストを頂き、一緒に“0災害の追求"の更新に挑み、行動していきたいと考えています。

今回の“安全ブログ"の内容や我々の“0災害の追求”の取り組みについて、ご質問/ご提案/リクエストがございましたら、下記のリンクよりご連絡ください。本件に関するご質問/ご提案/リクエストはこちら

最後までお読み頂き感謝申し上げます。これからも“0災害の追求”に関わる、“為になり、役に立つ”情報を皆さんに共有して参りたいと思いますので、引続き宜しくお願い致します。ありがとうございました。ご安全に。

大和鋼管工業株式会社
代表取締役社長
中村 慎市郎


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