2021.11.24

値上徹底のプレスリリースのご報告及びその経緯/背景について。

本日11月24日の鉄鋼新聞/産業新聞/金属通信の紙面にて、10月出荷分以降取組んできた単管パイプ・農業用鋼管・電線管など全品種での未達分の値上げの徹底を進めていくプレスリリースを行いました。今回はこのプレスリリースの内容について、詳しく説明させていただきます。

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プレスリリース内容

これまでに母材コイルや亜鉛地金の価格高騰などから、単管パイプ、農業用鋼管、電線管など全品種を10月出荷以降トンあたり1万円以上追加値上げを行なって参りましたが、12月出荷から追加値上げの徹底を進めていきます。また、軽量単管パイプである”スーパーライト700”についても同様にメートル当たり27.5円以上の追加値上げを徹底いたします。

昨年以来の私たち大和鋼管の累計値上げ幅は、単管パイプなどのメッキ鋼管が6万円以上、軽量単管パイプである”スーパーライト700”がメートルあたり165円以上となります。

10月出荷以降の追加値上げの対象は、同社主力のめっき鋼管のほか、主に農業用ハウスで使用されるカラー鋼管の”スーパーカラー” も含めた全品種です。

プレスリリースの背景

母材の熱延コイルは、昨年10月から今年9月までに既に累計で6万円以上の値上がりしている状況です。さらに副資材の亜鉛地金も世界的な電力コストの上昇を背景に 、今年10月には過去10年間で最高値になっています。

私たちは昨年11月から段階的に値上げを実施させていただくと共に、自社による合理化の推進によるコスト削減及び価格上昇の抑制に努めて参りましたが、一般鋼管の市況に比してメッキ鋼管の価格転嫁は遅れており、事業を継続的に且つ安定的に行う上でも今回の値上の徹底が必要との判断に至りました。

国際的な鋼材市況は足元では下落傾向も見られますが、世界最大の鉄鋼生産国である中国が減産や輸出抑制を進めていく傾向は継続すると認識しています。その為、国内の鋼材市況への影響は現状軽微で、鋼材価格は当面の間は高止まりが継続すると見込んでいます。今までのコスト増は自助努力ではこれ以上カバーは難しく、更に母材コイルは自動車産業の復調により今後タイトになる可能性もあります。

その様な状況を踏まえ既にお客様への説明を行い値上げの浸透に努めていますが、今後は更に丁寧に説明を行い理解を得たうえで追加値上げを徹底し、安定供給に必要な採算性の改善を進めて参ります。

昨年10月からこれまでに実施してきた値上げについて

今迄の経緯をより詳らかにご理解いただけるように、以下に昨年の秋からこれ迄に私たちが実施した5回の値上げについてその経緯を纏めさせていただきました。当時のブログと併せてご紹介いたします。

2020年11月販売分からメッキ鋼管および単管パイプ(足場管)全品種について一律でトン5,000円以上値上げを実施
2020/11/11_メッキ鋼管の値上げの理由/背景について

2021年2月より単管パイプおよびメッキ鋼管、スーパーカラーなど全品種をトンあたり1.5万円値上げ
2021/01/27_鋼管メーカー各社の値上げ状況と大和鋼管の値上げ方針について。

2021年5月より単管パイプおよびメッキ鋼管、スーパーカラーなど全品種をトンあたり1万円値上げ
2021/04/28_5月からの鋼管製品の値上げとその背景に関するご説明。

2021年6月より単管パイプ等のメッキ鋼管及びカラー鋼管を含む全品種に対しトン当たり1万円相当の追加値上げ2021/06/02_値上に関するプレスリリースのご説明と今後の見通し。

2021年7月より単管パイプおよびメッキ鋼管、スーパーカラーなど全品種をトンあたり1万円値上げ
2021/06/30 メッキ鋼管等の値上げに関する、当社のプレスリリースについて。

亜鉛地金は過去10年間で最高値に

また亜鉛地金の建値は"エネルギー価格の高騰"を背景に、欧州内の亜鉛地金を製造している3精錬所では通常の操業ができず50%減産する発表を行うなど、大手メーカーが大幅な亜鉛地金の減産を打ち出している状況から足元で高騰しています。

以下のグラフのとおり2021年10月の電気亜鉛建値の月間平均価格は、トンあたり436,400円と過去10年間で最高の価格になっています。

[JP][Blog]亜鉛相場参照:三井金属鉱業株式会社 亜鉛建値 月間平均推移

国内の自動車産業の復調について

国内の自動車メーカーは、世界的な半導体不足やCOVID-19により東南アジアの各国がロックダウンの政策を行なった影響による部品供給不足で、今年5月より数度にわたり生産調整を行なっています。

一方でCOVID-19からの経済回復により北米をはじめとした自動車の主要市場では軒並み需要が高まっている状況です。

経済産業省生産動態統計によると、2021年は日本国内の乗用車(軽乗用車/小型乗用車/普通乗用車)の生産台数が販売台数を下回り、月末在庫数量が減少傾向になり、8月と9月は2ヶ月連続で10万台を切る状況となっています。

[JP][Blog]乗用車 月末在庫数量

参照:経済産業省生産動態統計

更に10月と11月にも同様に自動車メーカーは生産調整を表明していますので、引続き月末在庫数量は減少傾向になる事が考えられますが、12月には半導体不足や部品供給不足の改善が進んだ事もあり、自動車メーカーは12月に過去最高水準の生産台数を計画しています。

つまり12月からはこれまでに生産調整を行なってきた反動で自動車の生産が更に旺盛になり、自動車産業向けの鋼材需要が高まる事が予想されます。

まとめ

今回は値上徹底のプレスリリースの内容及びその経緯/背景について詳しく説明をさせていただきました。

ここでご紹介した鋼材や亜鉛地金の価格だけでなく、様々な物価が高騰し高止まりを続けている状況ですが、私たちは引続き自助努力によるコスト圧縮及び製品の安定供給に努めて参りたいと考えております。

今後は鋼材需要がタイトになる可能性も見込まれますので、先々での製品の確保やお急ぎの対応が必要な場合には、以下のフォームや営業担当者に購入方法や納期/見積等をご相談いただければ幸いです。引続き可能な限り対応をさせていただきますので、何卒宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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