2025.12.03

JIS規格は公共調達でより重要に?!"JIS規格の総ざらいレビュー"と当社製品のラインアップについて。

日本政府は、2025年11月27日に、公共調達の要件に日本産業規格(JIS)の適合を加えて経済安全保障上のリスクを抑止すると共に、必要に応じてJIS規格を改定し国内の産業競争力の向上にもつなげる方針を発表し、2026年から段階的に"JIS規格の総ざらいレビュー"が実施されることになりました。
リンク:経済産業省_ニュースリリースアーカイブ_「JIS規格の総ざらいレビュー」を実施します

実際にこの方針が鉄鋼業界にどれだけの影響与えるかは未知数ですが、私たちが製造しているメッキ鋼管にも様々なJIS規格の製品が存在し、此れ等をシッカリ把握し活用することが、刻一刻と地政学的な影響をうけて変化する国際経済と、少子高齢化の国内環境下で持続的な成長を実現する上で重要になります。しかし、皆さんの中にも普段購入しているメッキパイプのJIS規格製品について、実務的に必要になる規格の名称やその種類の記号については、詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、大和鋼管で製造しているメッキパイプの製品ラインアップについて、JIS規格を軸に改めてご紹介しますので、その内容をシッカリご確認・ご理解いただいた上で、今後のご商売や取引に有効活用していただければ幸いです。

当社が認証を受けているJIS規格の番号及び名称について

私たちは第三者機関より"JIS G 3444"、"JIS G 3445"、"JIS G 3466"の3種類の規格について認証を受けています。

認証を受けている規格とその"種類の記号"について以下の表にまとめました。

規格名 規格番号 種類の記号

一般構造用炭素鋼鋼管

JIS G 3444

STK290 STK400 STK500
機械構造用炭素鋼鋼管 JIS G 3445 STKM11A STKM12A STKM12B
構造用炭素鋼角形鋼管 JIS G 3466 STKR400 STKR490

丸形鋼管、角形鋼管それぞれで用途別にどのようなJIS規格で製造/販売しているかをご説明いたします。

丸形鋼管

単管パイプ (スーパーライト700以外)

外径48.6mm x 肉厚2.4mmの従来の単管パイプは、"STK500"のJIS規格で製造しています。

コンベア

コンベア用途のメッキパイプについては、受注生産対応となっていますが、お客さまのご要望に合わせて""JIS G 3445 STKM11A/STKM12A/STKM12B"のJIS規格で製造しています。

一般的に機械構造用炭素鋼鋼管 (STKM)は、STKと比較して加工性に優れるため、カーリング加工や絞り加工に適した品質管理を行なっています。

コンベア以外の構造用鋼管

農業資材/テント材/標識柱などコンベア用途以外のメッキパイプについては、"STK290"や"STK400"のJIS規格で製造しています。

汎用性が高く外径肉厚比の高い (外径34.0mm x 肉厚3.2mmなど)サイズは加工性に優れる"STK290"、それ以外のサイズに関してはSTK400の規格で製造しています。

※詳細についてはお問合せください。

角形鋼管

ハイテンバタ角

60mm x 60mm x 肉厚1.6mmのハイテンバタ角は、"STKR490"のJIS規格で製造しています。

バタ角

60mm x 60mm x 肉厚2.3mm、50mm x 50mmのバタ角は、"STKR400"のJIS規格で製造しています。

バタ角以外の角形鋼管

農業資材や構造用の角形鋼管は全て"STKR400"のJIS規格で製造しています。

電線管のJIS規格について

私たちが製造/販売している"JIS C 8305 鋼製電線管"については、第三者機関の認証を受けていませんが、独自の品質管理を徹底し、”JIS自己適合宣言”を行なっています。

”JIS自己適合宣言”を行なっている製品なので、JISマークを表示することはできませんが、その製品の品質は"JIS C 8305 鋼製電線管"の規格に基づく性能となっています。

スーパーライト700・STXなどのハイテン鋼管の規格について

700N級以上のハイテン鋼管である"スーパーライト700"や"STX"は、JIS規格ではなく独自の品質管理を行なっています。

その理由は、認証を受けている"JIS G 3444"、"JIS G 3445"、"JIS G 3466"の規格は、引っ張り強度が700N/㎟以上の種類が存在しないためです。

"スーパーライト700"や"STX"の引っ張り強度や伸びといった機械的性質は全て当社が設定しており、その基準を満たすように品質管理を徹底して行なっています。

種類

機械的性質

設計基準強度
(短期許容応力度)
[N/㎟]

引張強さ
[N/㎟]

降伏点
又は
耐力
[N/㎟]

伸び
[%]

スーパーライト700

 軽量単管パイプ

700以上

570以上

10以上

(490)

STX (700N)

ハイテン鋼管(厚み2.0mm以上)

700以上

570以上

10以上

(490)

STX (700N)
建築構造用

570以上
760以下

10以上 490

STX (780N)

ハイテン鋼管(厚み1.2、1.6mm)

780

-

-

(546)

JIS規格に基づいた当社製品の分類について

当社が製造および販売している製品の用途別ラインアップとJIS規格との関係性は、以下の図のようになっていますので、改めてご確認いただければ幸いです。

[JP]丸パイプのJIS

[JP]角パイプのJIS

常時在庫しているストック品について

私たちは丸パイプの外径φ25.4.1〜φ76.3、角パイプの50x50/60x60/75x45等様々なサイズやJIS規格のメッキパイプを製造しており、一部のサイズは、通常在庫して販売しています。

以下が、通常在庫しているメッキパイプです。急な案件で納期がタイトな場合等でも、早目に対応できますので、今後のご商売に鋭意ご活用頂ければ幸いです。

単管パイプ

表面仕様 規格 外径x肉厚x長さ 加工仕様
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 1,000 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 1,500 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 2,000 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 2,500 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 3,000 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 3,500 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 4,000 ピン有/無
ポストジンク STK500 48.6 x 2.4 x 4,500 ピン無(在庫品薄)
ポストジンク STK400 48.6 x 2.4 x 5,000 ピン有/無
ポストジンク STK400 48.6 x 2.4 x 5,500 ピン無(在庫品薄)
ポストジンク STK400 48.6 x 2.4 x 6,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 1,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 1,500 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 2,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 2,500 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 3,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 3,500 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 4,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 4,500 ピン無(在庫品薄)
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 5,000 ピン有/無
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 5,500 ピン無(在庫品薄)
ポストジンク スーパーライト700 48.6 x 1.8 x 6,000 ピン有/無

バタ角

表面仕様 規格 外径x肉厚x長さ 加工仕様
パーフェクトポストジンク STKR400 50 x 50 x 1.6 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 50 x 50 x 1.6 x 5,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 50 x 50 x 1.6 x 6,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 50 x 50 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 50 x 50 x1.6 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR490 60 x 60 x 1.6 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR490 60 x 60 x 1.6 x 6,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 60 x 60 x 2.3 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STKR400 60 x 60 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド

農業資材(通常材)

表面仕様 規格 外径x肉厚x長さ 加工仕様
パーフェクトポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 4,800 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 5,500 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 5,500 スエージ
パーフェクトポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 6,060 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 4,000 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 5,500 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 5,500 スエージ
パーフェクトポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 6,060 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 6,100 プレーンエンド
ポストジンク STK400 42.7 x 1.6 x 4,000 プレーンエンド
ポストジンク STK400 42.7 x 1.6 x 4,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 42.7 x 1.6 x 6,060 プレーンエンド
スーパーカラー STK11A相当 22.2 x 1.2 x 5,500 楕円スエージ 白 小200入
スーパーカラー STK11A相当 19.1 x 1.2 x 5,500 楕円スエージ 白 小200入

農業資材(ハイテン材)

表面仕様 規格 外径x肉厚x長さ 加工仕様
ポストジンク STX(700) 31.8 x 2.0 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STX(700) 31.8 x 2.0 x 6,100 プレーンエンド
ポストジンク STX(700) 31.8 x 2.0 x 6,400 プレーンエンド
ポストジンク STX(700) 31.8 x 2.0 x 6,700 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 25.4 x 1.2 x 5,500 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 25.4 x 1.2 x 6,400 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 31.8 x 1.6 x 5,400 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 31.8 x 1.6 x 6,400 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 31.8 x 1.6 x 6,700 プレーンエンド
パーフェクトポストジンク STX(780) 42.7 x 1.6 x 6,400 プレーンエンド

その他メッキパイプ

表面仕様 規格 外径x肉厚x長さ 加工仕様
ポストジンク STK400 25.4 x 1.2 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 25.4 x 1.6 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 31.8 x 1.2 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 31.8 x 1.6 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 34.0 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
ポストジンク STK290 34.0 x 3.2 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK290 34.0 x 3.2 x 6,000 プレーンエンド
ポストジンク STK400 38.1 x 1.6 x 4,000 プレーンエンド
ポストジンク STK400 38.1 x 1.6 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 38.1 x 1.6 x 6,000 プレーンエンド
ポストジンク STK400 38.1 x 1.6 x 6,060 プレーンエンド
ポストジンク STK400 42.7 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
ポストジンク STK290 42.7 x 3.5 x 5,500 プレーンエンド
ポストジンク STK400 48.6 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
ポストジンク STK400 60.5 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
メッキ STK400 21.7 x 1.9 x 6,000 プレーンエンド
メッキ STK400 27.2 x 1.6 x 6,000 プレーンエンド
メッキ STK400 27.2 x 1.9 x 6,000 プレーンエンド
メッキ STK400 27.2 x 2.3 x 6,000 プレーンエンド
メッキ STK400 27.2 x 2.8 x 6,000 プレーンエンド

在庫リストDL

まとめ

今回は、大和鋼管で製造しているメッキパイプのラインアップを、改めてJIS規格を中心に整理整頓してご紹介しました。

日本政府が2026年から段階的に実施する"JIS規格の総ざらいレビュー"をきっかけに、当社の製品ラインアップを”JIS規格”を軸に再確認してみましたが、実に様々な製品が存在するため、此れ等をシッカリ把握し活用するには、十分な準備・段取を行い経験・習熟を積む必要があることを実感しました。

ご指定のJIS規格に合わせたメッキパイプを製造することや、用途に合わせた規格のメッキパイプをご提案することは、受注生産であれば当社でも可能ですので、ご興味のある方は、以下のお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

新規CTA

最後まで読んでいただき感謝申し上げます。何かご質問や要望等があれば、何時でもご遠慮なくご連絡ください。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

執筆者紹介

田中 辰弥
田中 辰弥
大和鋼管工業(株)企画部企画 課長。理工学部で得た知見を応用し、メッキパイプの構造解析に情熱を注ぐエキスパート。NETIS登録申請やハウスの構造診断といった高度な技術分野を担いながら、西日本での豊富な営業経験を活かした現場/顧客視点で、信頼性の高い技術情報を発信。

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