2020.07.06

メッキパイプの寿命と加工性は何で決まる?!”合金層”と”純亜鉛層”について。

以前のブログ記事で、”ポストジンク/パーフェクトポストジンクと先メッキパイプの違いと溶射部の赤サビについて”ご紹介しました。

一方で、「じゃあポストジンク/パーフェクトポストジンクはドブメッキと比べると耐食性はどうなの?」と、疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか?ここでポイントになるのは”合金層”と”純亜鉛層”の厚さ、そして”犠牲防食”です。

そこで今回は、この”合金層”についてどういったモノなのか、詳しくご説明します。

ポストジンク/パーフェクトポストジンクについて

当社製品のポストジンクは、全周に均一メッキが施されており、内面は水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”で溶接部もしっかり覆われています。

一方で、パーフェクトポストジンクは、内外面亜鉛メッキが施されておりますが、内面の溶接部は基本プレメッキの鋼管と同様にメッキはされていません。

「じゃあ、内外面が全部がメッキされているドブメッキが一番いいんじゃないの?」と思われた方も多いと思いますが、実はそうではありません。そのヒントになるのは”合金層”と”犠牲防食”の二つになります。

合金層とは?

亜鉛メッキは、鉄と亜鉛が分子レベルでくっつく化学反応を起こしており、この鉄と亜鉛の混じっている部分を”合金層”と呼びます。

合金層の特性は、”どれくらいメッキするのに時間を掛けるか”で変わり、”ゆっくりメッキ”をすると”合金層”の部分が厚くなり、”早くメッキ”をすると”合金層”が薄くなります。

[JP][Blog]メッキ層

上記の図をご覧の通り、ドブメッキは”純亜鉛層”より”合金層”が厚くなっているのに対し、ポストジンクは”合金層”より”純亜鉛層”が厚くなっています。

実はサビを起こさない防錆性能は、鉄と亜鉛が混じっている”合金層”ではなく、亜鉛だけの”純亜鉛層”の厚さで決まります。つまり、鉄と亜鉛が混じっている”合金層”は”その鉄の部分がサビてしまう”ので、防錆性能という意味では不確実と言えます。

何故、合金層が薄いのか?

ドブメッキのパイプは、生産プロセスの特性からメッキを施す時間が数十秒〜数分ほど掛かってしまいます。一方で、ポストジンク/パーフェクトポストジンクは、メッキを施す時間が数秒と極めて短いため、”合金層”が薄くなります。

そのため、下記表の通りメッキ時間が短いポストジンク/パーフェクトポストジンクは、”純亜鉛層”が厚く”合金層”が薄くなり、ドブメッキは逆にメッキ時間が長くなるため、”純亜鉛層”が薄く”合金層”が厚くなってしまう訳です。

耐食性(ミズエコ)このように、私たち独自のメッキプロセスの特性を活したポストジンク/パーフェクトポストジンクは、”合金層”を薄く”純亜鉛層”を厚くする形で内外面の亜鉛の付着量をそれぞれ調整できるので、合理的にお客さまのメッキパイプへの防錆性能の要求を満たすことができます。

特にパーフェクトポストジンクの耐食性能は、土木技術研究センターによってより少ない亜鉛付着量でもドブメッキと同等以上の耐食性がある事が証明されています。

 参考文献:(一財)土木研究センター 建設技術審査証明

長持ちの秘訣も、加工性向上も合金層と純亜鉛層の厚さ!!

ポストジンク/パーフェクトポストジンクで採用しているメッキ工程に数秒しか掛けない瞬間メッキの製法は、”純亜鉛層”が美しく光沢を持つ表面になったり、”合金層”が薄く化学的に不確実な部分が少なくなります。

そしてこの”合金層”を薄く”純亜鉛層”を厚くする形は、メッキパイプへの防錆性能が高いだけではなく加工性が高くなる利点もあります。

まとめ

”合金層”が厚ければ錆びにくくなると思っておりましたが、鉄と亜鉛が混じっている為、純亜鉛層が厚い方が良いんですね。また、”犠牲防食”につきましては、別途ブログでご紹介しておりますので、是非下記リンクよりご覧ください。

 ブログ記事:犠牲防食とは亜鉛と鉄の弁慶/牛若丸な関係?!亜鉛メッキのユニークな強味。

さらに、ポストジンク/パーフェクトポストジンクについてご質問や知りたい等ございましたら、お気軽に当社までご相談ください。よろしくお願い申し上げます。

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