イラン情勢で"メッキパイプ"はどうなる?!中東危機・ホルムズ海峡閉鎖の影響と日本の鉄鋼市況の今後についての考察。

2026年02月28日に、米国とイスラエルがイランへの大規模な戦闘作戦を開始し交戦が行われている中で、今後の日本の鉄鋼業界にどのような影響が出てくるか気にされている方も多くいらっしゃると思います。

現時点では依然として様々な情報が錯綜しており、今後どの程度の期間に情勢がどう推移していくのかが極めて見通しにくい状況にあるため、多くの方が漠然とした不安を抱えつつも、具体的に何をすべきか判断しかねているのではないでしょうか?

もちろん当社も同様に先行きが見通し辛い状況ではありますが、今回は現在のイラン情勢が今後の日本のメッキパイプ市場どのような影響を与えるのかについて、微力ながら当社なりに考察してみましたので、ご紹介させていただきます。

ホルムズ海峡封鎖による影響

まず、今回の抗争におけるイランの報復措置の影響でペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ"ホルムズ海峡"は、実質的に封鎖に陥っています。その為、日本も下記のようにさまざまな影響を受ける可能性が指摘されています。

石油・ガソリンへの影響

"ホルムズ海峡"は、中東湾岸諸国で産出される石油や液化天然ガス(LNG)を輸送する際の海上交通の要衝となっており、封鎖が長引くことで、世界中のエネルギー供給に打撃を与える可能性があります。

日本は、主にサウジアラビア・アラブ首長国連邦・クウェート・カタール等の中東地域から多くの原油を輸入していますが、その大部分が"ホルムズ海峡"を通過されるため、影響は着実に出てくる想定できます。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト
参照:独立行政法人日本貿易振興機構  中東情勢の悪化に伴い、ホルムズ海峡の通航が停止状態

現時点で資源エネルギー庁の燃料供給基盤整備課よると、日本には約251日分・8ヶ月相当分の原油の備蓄しているのですが、今後の展開が極めて不透明なため、経済的な影響は全くもって楽観できない状況に陥っています。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト 石油備蓄の現況

つまり、今回のイラン情勢に伴う"ホルムズ海峡"の実質的な封鎖状態により、原油・ガソリン価格の大幅な上昇が見込まれることから、日本国内においても直接的な電気代やガソリン代自体の高騰のみならず、間接的な輸送コストの増加によって、産業全体へ幅広く影響が及ぶことが懸念されます。

 石油タンカー

鉄鉱石への影響

イランは、中東地域では群を抜く鉱産国であり、通称"IMIDRO"で知られ"イラン鉱山開発公社"によれば、鉄鉱石・石炭・金・鉛・亜鉛・銅をはじめ、実に68種もの鉱物が賦存しており、その価値は米ドルで約7,000億㌦に上るとされています。

あまり知られていませんが鉄鉱石に関しても、イランは世界9位の生産国であり、その埋蔵量は約27億㌧にのぼり世界埋蔵量の1%を占める為、今後の価格動向や需給バランスにも影響を与える可能性があります

参考:世界の鉱業の趨勢 2015

 鉄鉱石

亜鉛への影響

またイランは、亜鉛の埋蔵量がおよそ約3億㌧で世界1位と推定され、その採掘に関しては、中国・カザフスタン・インドに次いで世界4位となっています。

イラン政府は、アングラーン鉱山(Angouran)やメディアーバード鉱山(Mehdiabad)といった有力な亜鉛鉱山を保有しており、戦争の情勢悪化や政治的不安定な状態が、これら鉱石の輸出に影響を与える可能性があるとされています。

2025年時点でイランは、中国向けに亜鉛精鉱を輸出しているため、制裁や紛争で供給が止まることで中国国内での亜鉛精鉱の不足が深刻化し、国際的な亜鉛価格に上昇圧力をかける可能性があり、その影響は日本にも波及する恐れがあります。

更に、亜鉛の精錬には原油や各種燃料が不可欠であることから、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギーや物流のコスト上昇によって、亜鉛精錬コストが増大するリスクが高まっていると考えられます。

参考:イラン産業ガイドブック

亜鉛

今後の日本の鉄鋼市況への影響に関する考察

先ず中東リスクの高まりは、上記の様にさまざまな資源の国際価格を押し上げる要因となっており、特に日本は石油輸入の中東依存度が高いことから、価格・供給両面で直接的な影響を受けやすい構造にあります。

加えて、イランの生産・輸出動向が不透明な状況が続くことで、エネルギーおよび物流コストの上昇懸念が一段と強まっており、日本の鉄鋼市場においても、今後の動向に注意を払う必要がある訳です。

また、鉱物資源を豊富に保有しているイランの紛争が長期化することでその友好国である中国・ロシア等への経済的影響は大いに発生し、間接的にではありますが、鉄鉱石や亜鉛などの鉱物資源を輸入に頼っている日本のメッキパイプ市場にも少なからず影響が生じると考えられます。

更に緊迫したイラン情勢が長期化すれば、地政学的リスクへの警戒感から資源インフレにとどまらず、世界的に景気後退が進行するリスクが高まり、物価上昇と景気後退が同時進行する"スタグフレーション"に陥る懸念が一段と強まる訳です。

此等の極めて不透明で不安定な状況を踏まえると、我々は、先ずは足元でシッカリと原料・物流コストの勘案はもちろんのこと、今度想定される鋼材価格の上昇圧力を踏まえて採算性を確保する必要があると同時に、更にインフレ抑制の為の金利上昇や地政学的リスクの高まり・継続に伴う景気後退を想定し、速やかに在庫調整を行うという難しい舵取りを、各社が的確且つ速やかに行う必要があると認識しています。

まとめ

今回は、イラン情勢により、日本のメッキパイプ市場がどのような影響を受けるか、今後にどう備えていくべきかを、当社なりに考察してみました。

イラン情勢の長期化次第では、原油や鉱物資源の供給バランスが大きく崩れると同時に、直接的・間接的にインフレと景気後退が同時進行する可能性が高まり、日本の鉄鋼市況及びメッキパイプ市場もさらに不安定になる事が予想されます。

成熟する日本の鉄鋼市場でお客さま・お取引先・パートナー各社とのWin-Winを実現するには、先ず各々が持続可能な採算性を確保すると共に、密に連携して業界全体で迅速且つ丁寧に需給バランスを調整する事が求められる訳です。

従って皆さまにとっては、メッキパイプが必要な時期や数量が明確になり次第、早めに手当てしておくことが重要だと思われますので、具体的な案件の検討や必要な見積もり対応等がありましたら、以下のフォームよりお気軽にお問合せください。

 

新規CTA

最後までお読みいただき感謝申し上げます。

今後とも微力ながら、少しでも読者の皆さまの"為になり役に立つ"情報提供を念頭に、積極的な取組を続けて参りますので、何かお気付きの点や気になる事がございましたら、何時でもご遠慮なくご連絡をいただければ幸いです。

ありがとうございました。

執筆者紹介

小原 学
小原 学
"施設園芸技術指導士補"の資格を持つ、勤続15年目の大和鋼管工業(株)企画部企画社員。大阪支店での豊富な営業経験から、農業資材/電線管の業界動向と現場での活用ノウハウに精通。資格に裏付けられた専門知識と顧客視点の融合で、読者の皆さまの業務効率化/製品選定に直結する実用的な情報を提供。

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