メッキ製品のコストを削減するには、溶接等を加工を行った製作物に”ドブメッキ”を施すのではなく、既にメッキされた市販の”溶融亜鉛メッキ鋼管”を活用する方法があります。”ドブメッキ”を行う工程が丸ごと削減できる為、大きなコストダウンに繋がります。
しかし、「そもそも”ドブメッキ”とはどんな工程なのか?」、「市販の”溶融亜鉛メッキ鋼管”を活用しても本当に品質は大丈夫なのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、”ドブメッキ”の基本的な工程をご紹介した上で、”溶融亜鉛メッキ鋼管”をどのように活用しコスト削減できるのかを知る上でのご参考にしていただければ幸いです。
”ドブメッキ”の基本的な工程とは?
”ドブメッキ”の基本的な加工工程は、大きく分けて以下の通りです。
- 脱脂処理
- 酸洗処理
- 水洗
- フラックス処理
- 乾燥
- メッキ
- 冷却
それぞれについて、詳しく解説します。
脱脂処理
”脱脂処理”とは前処理の1つであり、油脂汚れを落とす目的で行います。素材となる鉄鋼には、成形加工や輸送のあいだで表面が錆びるのを簡易的に防ぐために防錆用の油を塗布しますが、その油が原因で表面にゴミや汚れが付着することから、そのままではメッキを行うことができません。そこで、メッキする前の作業として素材表面を清浄な状態にする訳です。
脱脂の方法には、有機溶剤を用いる方法やアルカリ脱脂剤を使う方法がありますが、環境や人体への配慮から、現在は汚れを乳化させて落とすアルカリ脱脂が主流となっています。
小物かつ複雑な形状で容易に脱脂ができない素材の場合は、仕上げに電流を流して電解脱脂を行い、油脂汚れを徹底的に落としてから、脱脂剤を水で洗い落とします。
酸洗処理
”酸洗処理”とは、”脱脂処理”の後に行う酸類を用いた前処理です。金属素材の表面には、メッキを行うのに邪魔なサビやスケール(酸化膜)等の酸化物が発生していることが多い為、酸類を使ってこれらを除去します。
酸洗には”塩酸”がよく使われますが、素材となる金属や落としたい酸化物の種類によって、”硫酸”や”混酸”が用いられることもあります。
水洗
”脱脂処理”や”酸洗処理”といった作業を行うごとに、シッカリと”水洗”を行います。処理液を洗い落とし、次の作業に影響しないようにする為です。
フラックス処理
”フラックス処理”とは、素材表面を完全に綺麗な状態にし、かつ亜鉛の密着性を良くする為に、酸洗処理した素材を”フラックス溶液”に浸して表面に”フラックス層”を形成するものです。
”フラックス溶液”とは”塩化亜鉛”や”塩化アンモニウム”、またはこれらを混合した”塩化亜鉛アンモニウム”の水溶液を指します。
乾燥
素材をシッカリと”乾燥”させます。これは”フラックス”の水分を飛ばすだけでなく、”亜鉛”が水分で弾かれることなく”フラックス”の乾燥粒子と混ざり合い、素材表面に密着する事も目的としています。
メッキ
前処理がすべて終了し、素材が適した状態になったところで、”メッキ”を施します。
冷却
”メッキ”した後は、素材の”冷却作業”を行います。熱を持ったまま放っておくと、”鉄”と”亜鉛”の反応が進み、”合金層”が厚くなり"純亜鉛層"が薄くなります。”鉄”と”亜鉛”が混じり合った”合金層”は、”亜鉛”のみで構成されている”純亜鉛層”と違って組織構造が不安定であり、”メッキ”の剥離やサビの発生に繋がってしまいます。そこで、”冷却”する事によって”合金層”の厚みを抑え"純亜鉛層"の厚みを確保している訳です。
溶融亜鉛メッキ鋼管でコストダウン?!
予め”メッキ”を施されている”溶融亜鉛メッキ鋼管”を使って製品を製作すれば、基本的には”ドブメッキ”の工程を全て省略できます。
前項でお伝えした通り、”ドブメッキ”の工程では”メッキ”を施す為に様々な処理剤や技術が組み合わさり、施工が行われていますが、製作物の形状によってハンドリングにスキルを要し作業に多くの時間が掛かったり、”メッキ”の均一性の確保が難しかったりする為、どうしてもコストが増大しがちです。
一方で予めメッキを施された”溶融亜鉛メッキ鋼管”を使って製品を製作する場合は、切断や穴あけを行った部分は補修等を施す必要がありますが、製作工程の作業負担や時間を大きく軽減する事が可能で、”メッキ”の均一性も容易に担保できます。
人手不足対策や時間効率アップを実現する方法として、ぜひ市販の”溶融亜鉛メッキ鋼管”の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
"パーフェクトポストジンク(PPZ)"の強みとは
当社では品質にこだわった溶融亜鉛メッキを用いると共に、独自のライン設備"ダイワZプロセス"によって、素材面と技術面の両方から”錆に強く使い易い鋼管”へアプローチしています。
リンク:独自のライン設備「ダイワZプロセス」
そのラインで製造される"パーフェクトポストジンク(PPZ)"は、当社独自の製造ラインで造管される"溶融亜鉛メッキ鋼管"です。仕様に応じて”ドブメッキ”と同等以上の耐食性の確保が可能なだけでなく、溶接し易いという特徴も併せ持っています。
その理由は、"メッキ層"の質の良さにあります。亜鉛メッキは"メッキ層"が厚いほど、溶接時に気孔欠陥(ブローホール・ピット)やスパッタの問題が起き易くなってしまいます。逆に言えば、"メッキ層"が少なくなれば、それだけ溶接作業がし易くなります。
一方で亜鉛のメッキ層において耐食性に有効な部分は純亜鉛層です。"PPZ"では、耐食性に有効な”純亜鉛層”を確保しつつ、"合金層"の厚みのみを減らす事に成功したことから、より質の高い"メッキ層"で"ドブメッキ"と同等レベル以上の耐食性を維持できています。
当社が自信を持ってお届けする"PPZ"を、ぜひお試しください!
→“パーフェクトポストジンク(PPZ)”の詳細はこちら
"PPZ"に関する以下のブログ記事も、ぜひ併せてご覧ください。
ブログ:”パーフェクトポストジンク”はどうスゴい?!その耐食性/防錆性の秘密や活用用途を詳しく解説。
ブログ:メッキ鋼管の溶接をしたいんだけど・・・。その難しさと作業上の注意点について。
まとめ
今回は、"ドブメッキ"の基本的な加工工程をお伝えすると共に、当社の提供している"溶融亜鉛メッキ鋼管"の最高峰、"PPZ"についてもご紹介しました。ぜひ、貴社製品の製造に"PPZ"の活用もご検討いただければと思います。
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