2022.03.16

ポストジンクが搬送機器に使われる理由?抜群の相性を生む3つの要素。

物流・倉庫業や製造工程の搬送に於いて、効率化や省力化に欠かせないのが、ローラーコンベヤやパレット等の搬送機器を活用することです。

搬送機器は物品を連続的に搬送したり、大量かつ安全に保管することが重要なため、使用する素材も安全/安心であることが必要だと私たちは考えています。

このように搬送機器の分野は安全/安心な素材が求められる業界ですが、私たちの主力製品である”ポストジンク”は搬送機器の材料として数多く採用されています。 

今回はメッキパイプメーカーである私たちの視点で、ローラーコンベヤとパレットに求められる品質について考察し、私たちの”ポストジンク”が選ばれる理由についての見解をご紹介させていただきます。

ローラーコンベヤに求められる品質

ローラーコンベヤは物品を安全に効率よく連続的に搬送する役割を担っています。

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上記の画像のように、ローラーコンベヤにメッキパイプを使用する場合、ローラー部分は搬送される対象の物品と直接触れる状態にあります。

そのため先メッキ鋼管のように溶射部分がある場合には、溶接された鋼管のつなぎ目に金属性の補修を施した溶射部分が摩耗したり剥離し易いので、物理的に壊れたり、放っておくと早期に赤錆が発生したりする可能性が考えられます。

[JP][Blog]ローラーコンベア2022.03.14

さらに国内のコンベヤシステム業者さまは、ローラーコンベヤシステムをEU等の海外へ輸出されているお客さまも多いかと思います。その際にはRoHS2・ELV指令等の特定の化学物質を含んではならないという環境面の規制がある場合もあり、その課題克服が必要になります。

冷凍パレットに求められる品質

物流・倉庫業に於いて保管用のパレットは物品の多様化により様々なシーンで活用されており、中には冷蔵や冷凍等の過酷な環境にさらされる場合も発生しています。

鋼管を使用したパレットは、メッキが施されていない黒管を溶接し構造を作成した後に塗装することにより防錆性能を担保するケースが多いですが、冷凍倉庫などの過酷な環境ではその塗装が剥がれやすい事が課題になります。

この塗装が剥がれる現象は、鋼管と塗装された塗料に温度による伸び/縮みの差があることや低温下で塗料が劣化するために発生します。[JP][Blog]熱膨張係数

そのため温度変化の激しい環境に使用されるパレットは、黒管を溶接し構造を作成した後に塗装するのでなく、メッキパイプを使用して構造を作成するか、黒管を溶接し構造を作成した後にドブメッキをすることが選ばれます。

メッキパイプの溶接は一般的に難しいと言われていますが、コスト面で優位性をもっている為、メッキパイプを使用して構造を作成する業者さまが自ずと多くなっている様です。

ポストジンクが選ばれる理由① 全周メッキとの相性が抜群

私たちのポストジンクは同一ラインで造管を行いその直後に外面メッキも行う独自工程で製造された亜鉛メッキパイプですので、亜鉛メッキが全周均一に施されています。

先メッキ鋼管/ドブメッキ鋼管とポストジンクの断面について、以下の図で比較しました。

断面図 ポストジンク-断面図 先メッキ鋼管-断面図 ドブメッキ鋼管-断面図
耐食性

・外面は全周均一にメッキされている。
・少ない亜鉛付着量で高い耐食性

・溶射部分から錆びることが多い
・メッキ性能は、鋼板に依存する
・内外面ともに均一なメッキ
・亜鉛付着量がかなり多い
 

ポストジンクは溶射部のない全周溶融亜鉛メッキのため、先メッキ鋼管と比較してローラーコンベヤの用途に適しています。また、ドブメッキ鋼管と比べて同等の耐食性で亜鉛付着が少ないため溶接がし易いという特徴があります。

上記比較の内容を詳しく確認したい方は、以下のリンクよりブログ記事を確認してください。

 リンク:大和鋼管ブログ_ポストジンク鋼管の強味とは?!工業製品向けの用途について。

ポストジンクが選ばれる理由② 環境に優しい

ポストジンクは、以下表にまとめた六価クロムやなどの禁止物質の濃度は、規制濃度以下でありRoHS2指令に適合しているため、安心して輸出向け製品に使用する事ができます。 

禁止物質 規制濃度(閾値) ポストジンク

1,000ppm 30ppm以下
水銀 1,000ppm 50ppm以下
六価クロム 1,000ppm 0ppm
PBB(ポリブロモビフェニル) 1,000ppm 50ppm以下
PBDE(ポリブロモビフェニルエーテル) 1,000ppm 50ppm以下
カドミウム 1,000ppm 20ppm以下
DEHP(フタル酸ジニエチルへキシル) 1,000ppm 含まない
BBP(フタル酸ブチルベンジル) 1,000ppm 含まない
DBP(フタル酸ジブチル) 1,000ppm 含まない
DIBP(フタル酸ジイソブチル) 1,000ppm 含まない
 
さらに、2021年から内面塗装を水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”に切替えました。
 

ミズエコ_ロゴマーク水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”は外観が美しくさびに強いだけでなく、通常塗料と呼ばれるのに必須な成分である有機樹脂が入っていない内面用塗料に替わる”水系処理剤”です。

 

内面塗料とミズエコの比較

水性亜鉛無機コーティング”ミズエコ”への切替えにより、製造工程で人体に有害な大気汚染の一因となる揮発性有機化合物VOCをほとんど発生させない為、製造者や利用者のみならずより地球にもやさしい製品が実現しました。  

ポストジンクが選ばれる理由③ 様々な規格に対応

ご要望のサイズにより一般構造用炭素鋼鋼管であればSTK290/STK400/STK500/STKR400/STKR490、機械構造用炭素鋼鋼管であれば、STKM11A/STKM12A/STKM12BといったJIS規格に対応しています。

一般構造用炭素鋼鋼管  (JIS G 3444)
種類の記号 引張り試験 曲げ試験 へん平試験 主な用途
引張り強さ
N/㎟

降伏点または
耐力
N/㎟

伸び % 曲げ角度 内半径
(Dは管の外径)

平板間の距離
(H)
(Dは管の外径)

11号試験片
12号試験片

STK290 290以上 - 30以上 90° 6D 2/3D 農芸用、構造用
STK400 400以上 235以上 23以上 90° 6D 2/3D 農芸用、構造用
STK500 500以上 355以上 15以上 90° 6D 7/8D 足場管、仮設部材
 
一般構造用角形鋼管  (JIS G 3466)
種類の記号  引張り強さ
N/㎟

降伏点または耐力
N/㎟

伸び % 主な用途 

5号試験片

STKR400 400以上 245以上 23以上 バタ角、農芸用 
STKR490 490以上 325以上 23以上
 
機械構造用炭素鋼鋼管  (JIS G 3445) 
種類/記号 引張り試験 曲げ試験 へん平試験 主な用途
引張り強さ
N/㎟

降伏点または
耐力
N/㎟

伸び % 曲げ角度 内半径
(Dは管の外径)

平板間の距離
(H)
(Dは管の外径)

11号試験片
12号試験片

11種A/
STKM11A
290以上 - 35以上 180° 4D 1/2D コンベア、テント
12種A/
STKM12A
340以上 175以上 35以上 90° 6D 2/3D
12種B/
STKM12B
390以上 275以上 25以上 90° 6D 2/3D
 
通常在庫を行なっているサイズとJIS規格については、以下の見積りフォームに一覧表がありますので、ご興味のある方はご確認をお願いいたします。 

※STKMは全サイズ受注生産です。

メッキパイプのご相談はこちら︎

まとめ

今回はメッキパイプメーカーである私たちの視点で、ローラーコンベヤとパレットに求められる品質について考察し、私たちのポストジンクが選ばれる理由についての見解をご紹介させて頂きました。

私たちは、搬送機器メーカーさまと直接打合せし、納入仕様について協議したうえで受注生産を行うことも可能です。

詳しく話を進めたい搬送機器メーカーの方や、搬送機器メーカーさまへ提案営業をしたいという特約店さまがいらっしゃいましたら、以下のフォームから気軽にお問合せしてください。以上、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

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