ハイテン鋼管を加工する方は必見。市販のドリルで"STX780"の"穴あけ加工"はどこまで可能か?!

鋼材への"穴あけ加工"において、作業の安全を確保し効率を向上するためには、素材の強度に合わせた適切な"ドリル"を選定することが非常に重要です。

当社が製造するハイテン鋼管"STXシリーズ"におきましても、これまで"STX700"クラスまでの製品では"穴あけ加工"の実績がございましたが、さらに強度の高い"STX780"における穴あけ加工については、当社では詳しい検証及び共有が未実施でした。

その為、"ハイテン材"の加工に苦戦している加工業者さまやご購入を検討されているお客さまへ、"STX780"の"穴あけ加工"に適切な"ドリル"の選択肢をご提案ができていないという課題がありました。

そこで今回は、"STX780"のサンプルを用いて実際に"穴あけ加工"の検証を実施しました。

その結果を踏まえて本ブログでは、"ハイテン材"における適切なドリル選定の重要性と、実際の加工現場で起こりうる注意点を詳しく解説しますので、皆さまの"穴あけ加工"における、安全性及び効率性の向上のご参考にしていただければ幸いです。

高張力鋼管"STX780"とは

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まず"STX"とは、従来製品に対してより"しなやか"で"強靭"な特徴を持つ、当社独自の"高張力鋼管"、いわゆる"ハイテン鋼管"の総称です。

その中でも特に"STX780"は、引張強さ780N/㎟以上という非常に高い強度を誇り、その強度を維持したまま肉厚を1.2mmや1.6mmへ薄肉化することで実現した画期的な製品です。

 "STX780"は、特に農業用ビニールハウスのアーチ材や各種構造物などに採用されており、軽量化と高強度が同時に求められる様々な分野で採用が広がっています。

しかし、その圧倒的な"STX780"の強度の高さゆえに、現場における曲げ加工、穴あけ加工などの際に扱いが難しいとの声をいただくことも事実です。

曲げ加工-スプリングバック-1ブログ:STXは扱い辛い?!ハイテンパイプの加工性/スプリングバック/施工性について。

【検証】"STX780"の穴あけ加工検証

今回は"STX780"の"穴あけ加工"が、実用レベルでどこまで可能であるかを詳しく確認すべく、刃具としては"月光ドリル8.5mm"を選定し、以下の条件で検証を実施いたしました。

検証対象

STX780φ25.4mmx1.2mmx500mm、φ31.8mmx1.6mmx500mm

使用工具

刃具にステンレスなどの難削材の加工に優れる"月光ドリル 8.5mm"を選定し、切削油は不使用

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検証内容 各サイズのサンプル管端から30mm~40mm付近へ1箇所、合計4箇所穴あけ加工を実施
検証場所

本社工場1号加工棟、穴あけ加工機

B.穴あけ検証用作業場_20260623jpg

検証実施者

弊社物流加工部メンバー

穴あけ作業 STX780φ25.4mmx1.2mmx500mm STX780φ31.8mmx1.6mmx500mm
  B.25.4穴あけ中写真_20260623

 

B.31.8穴あけ中写真2_20260623

 

穴あけ完了写真 スクリーンショット 2026-06-29 16.38.38

 

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加工効率、ドリルの消耗について

検証内容をご覧いただくと分かるとおり、難削材向けの"月光ドリル 8.5mm"を使用することで、"STX780"への穴あけ自体は可能であることが実証されました。

しかし、実際に現場で作業を行う観点からレビューしますと、手放しでおすすめできる状態ではございません。

まず、一番の問題は加工効率の悪さです。 STK400材などのメッキ鋼管と比較すると、新品のドリルであっても穴を1箇所開けるのに20秒〜25秒かかります。 高い強度に阻まれドリルがパイプに入っていきづらいためです。

次に課題として確認できたのでは、ドリルの消耗具合です。

今回の検証では切削油不使用という条件下ではありますが、合計4箇所の穴あけを行っただけで、ドリルの刃先にかなりの消耗が確認されました。

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強靭なハイテン材を削り出すため、切削工具に対する負荷は私たちが想定していた以上に大きかったことが分かりました。

ステンレス加工にも活用される"月光ドリル"であっても、想定以上に早く消耗してしまうのは、現場のコスト管理において大きな懸念点だと認識しています。

検証結果からの考察

今回の検証結果から、"STX780"に対する穴あけ加工は、適切なドリルを使用すれば技術的には可能であると結論付けられます。

例えば、現場での組み立て時に数箇所の穴あけが必要になった場合に行う程度であれば"月光ドリル"で十分に対応可能です。

一方で、連続して数十〜数百箇所の穴あけを行うような大量加工においては、作業時間の増大のみなわず”ドリル”の消耗により交換コストが高くなってしまう可能性もので、市販のドリルは必ずしもオススメできません。

せっかくハイテン材を採用し製品の軽量化や材料コストの削減を図ったとしても、加工コストでメリットが相殺されてしまう可可能性が高い為です。

もし大量の穴あけ加工を検討される場合は、当社としては以下を改善策を想定しています。

  • 切削油を使用する。

  • 穴あけ加工機の回転数を調整し、ドリルの消耗と作業時間を最適化する。

  • 別の材質や刃先形状が異なるドリルを、特注を含めて検討・選定する。

  • 打ち抜きやレーザー加工といった、切削以外の加工方法を検討する。

まとめ

今回は、これまで検証実績のなかった"STX780"に対する穴あけ加工検証の結果をご報告しました。

市販のドリルでも、難削材の加工に優れるタイプを用いることで、"穴あけ加工"自体を行なうことは可能ですが、加工効率やドリルの消耗を考慮すると、大量加工には適さないというのが現状です。

そのため"ハイテン鋼管"の性能を最大限に活かすためには、その強靭な特性を正しく理解し、用途に合わせた適切な工具と加工方法を選択することが不可欠となります。

当社では、製品を採用するメリットだけでなく現場での取り扱い方法や注意点などお客さまの業務に直結する"為になり、役に立つ"情報の発信に努めております。

"ハイテン材"の加工にお悩みの加工業者さまや、製品の検討や購入において不安や懸念を抱いたお客さまは、いつでもご遠慮なくどんな些細なことでもお気軽に、以下のフォームもしくは営業担当に直接お問い合わせいただければ幸いです。新規CTA

最後までお読みいただき感謝申し上げます。引き続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。

執筆者紹介

秋山 佳之
秋山 佳之
"品質管理責任者"として企業の品質戦略を担う、勤続8年目の大和鋼管工業(株)企画部品質保証社員。農学部卒の専門知識と前部署品質管理部での現場経験を基に、環境マネジメントと持続可能なモノづくりに関する情報を発信。環境法令遵守やサステナブルなサプライチェーン構築に役立つ、実務的な知見を提供。

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