"鋼管"という資材において、何より大切なのは"現場と使う人の安全/安心"ですが、耐食性や丈夫さといった品質は、実際に目で見ただけでは確認できません。
「カタログの数字は立派だけど、過酷な現場で本当に安心して使えるの?」と、疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、鋼管メーカーが製品の"真の実力"を証明する為に行っている"サイクル試験"について詳しく解説します。ぜひご参考にしてください。
"サイクル試験"とは?
![[JP]サイクル試験機](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F.jpg?width=500&height=375&name=%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F.jpg)
"サイクル試験"とは、製品が実際に使用される環境を想定し、"温度変化"や"湿潤"と"乾燥"及び"塩水噴霧"等の異なる環境条件を組み合わせ、試験体に繰り返し与え続ける事で、製品の耐久性を評価する試験です。
"JIS規格(日本産業規格)"においても、温度と湿度を変化させる試験(JIS C 60068-2-38)や、塩水を霧状にして散布する試験(JIS C 60068-2-52)等、具体的な試験方法が規定されています。
私たちが日常的に手にする様々な製品は、こうした過酷な"サイクル試験"をクリアする事で、その品質と安全性が裏付けられている訳です。
鋼管における"サイクル試験"
![[JP]サイクル試験機2](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F2.jpg?width=500&height=375&name=%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F2.jpg)
鋼管の場合、"サイクル試験"で確認したいのは錆への強さ、すなわち耐食性で、過酷な環境下での腐食を人工的に促進させる事で、製品の性能を確認します。
従来の耐食性試験は、試験体に絶えず塩水を吹き付け続ける事で腐食の進行を早める"塩水噴霧試験"が一般的な手法でした。
しかし、実際に製品が使用される環境はもっと複雑です。
雨や雪にさらされたり、太陽光によって乾燥させられたり、夜間に冷却されたりといった様々な環境変化が繰り返され、それが製品の劣化に大きな影響を与える訳です。
そこで、より現実に近い環境変化をシミュレーションし、実態に近い腐食状況を短期間で再現する為に考案されたのが"複合サイクル腐食試験"で、英語の"Cyclic Corrosion Tester"の頭文字をとって、"CCT"とも呼ばれています。
"JIS H 8502 めっきの耐食性試験方法"において、「サイクル試験 (Cyclic Test)とは、自然環境に近似し且つ促進する目的で、腐食液の噴霧/乾燥/湿潤 の雰囲気を繰り返して行う試験」と位置付けられています。
"サイクル試験"を行うメリット
"サイクル試験"には、複数の大きなメリットがあります。
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短期間で経年劣化の予測ができる
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弱点の早期発見と品質改善につながる
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お客さまへの客観的な根拠が提示できる
それぞれについてご説明します。
短期間で経年劣化の予測ができる
実際の使用環境では数年かかる経年劣化を、試験機の中で数週間〜数ヶ月に凝縮して再現できます。これにより、製品の寿命予測や材料の良し悪しを短期間で判断できます。
弱点の早期発見と品質改善につながる
机上の想定ではなく、実態に近い経年劣化を再現して調べる事で、改良すべきポイントを見つけ出せます。
試験によって得られたデータは、製造プロセスの改善や新製品開発における重要なフィードバックとなり、品質トラブルのリスクを最小限に抑える事ができます。
お客さまへの客観的な根拠が提示できる
「この鋼管は錆びにくいです」という主観的な言葉だけではなく、「"サイクル試験"の結果、赤錆発生までおよそ◯年かかる」といったお客さまの安心感と納得感につながる具体的なデータを提示できます。
"サイクル試験"の方法
![[JP]サイクル試験機1](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F1.jpg?width=500&height=354&name=%5BJP%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%A9%9F1.jpg)
"サイクル試験"は、専用の試験機を用いて行われます。
鋼管の場合、一般的には"塩水噴霧"→"乾燥"→"湿潤"の条件変化を"1サイクル"として設定し、これを繰り返します。大和鋼管では、9サイクルから最大120サイクルまでの間で回数を設定しています。
具体的な試験の手順は以下の通りです。
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まず、 指定された濃度/温度の塩水を霧状にして試験体に吹き付け、腐食を促進させます。
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次に、高温の空気を送り込み、表面を乾燥させます。塩分が濃縮されるので、腐食がさらに加速します。
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試験体を高い湿度にさらし、結露を発生させます。水分が供給される事で、錆の成長が進行します。
これらの条件変化を繰り返す事で、試験体に実際は数年かかる負荷を短時間で与え続ける訳です。
大和鋼管が行った"サイクル試験"の結果
私たち大和鋼管では、主力製品であるメッキパイプの品質保証において、この"サイクル試験"を重要な工程と位置づけています。
以下は、環境負荷を低減させた"ミズエコ"仕様の"ポストジンク"と、"先メッキパイプ"の防錆効果の比較を行った"サイクル試験"の事例です。前述した"JIS規格"に基づいて試験を行い、耐食性を比較しました。
複合サイクル試験概要

複合サイクル試験結果
結果は以下の通りとなりました。

サイクルが増える毎に赤錆が発生していきましたが、"ミズエコ"を使用した試験体の赤錆が抑えられているのがお分かりいただけるかと思います。
(参考)複合サイクル試験と暴露試験の相関表
![[JP][Blog]サイクル試験対応表](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%5BBlog%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E8%A1%A8.png?width=731&height=264&name=%5BJP%5D%5BBlog%5D%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E8%A9%A6%E9%A8%93%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E8%A1%A8.png)
性能の良さを言葉だけでお伝えするのではなく、目に見える根拠をお示しする事が、私たちメーカーの責任だと考えています。
こうした客観的な試験データを公開する事で、お客さまがそれぞれの現場の状況に照らし合わせ、納得した製品を選んでいただきたいと思っております。
まとめ
今回は、"サイクル試験"について詳しくお伝えしました。
鋼管の品質に於いて特に耐食性は、直ぐその善し悪しを確認できないからこそ具体的な根拠が求められるのですが、"サイクル試験"は実環境に近い過酷な状況を具体的に再現できるので、製品の性能を見極める極めて効果的な手法といえる訳です。
私たちは地道で厳格な試験を積み重ね、お客さまの現場で長く安全/安心に使い続けられる製品を提供し続けます。
当社製品の耐食性データや具体的な試験結果の詳細についてご興味がある方は、以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただき感謝申し上げます。何かご質問や要望等があれば、何時でもご遠慮なくご連絡ください。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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