2024年02月06日に、日本製鉄は"高炉水素還元技術Super COURSE50の試験炉において加熱水素吹込みにより、
これは、”
参考:高炉水素還元技術Super COURSE50 の試験炉において加熱水素吹込みにより、世界最高水準となる高炉CO2 排出量33%削減を確認
2024年現在は、世界的にも”カーボンニュートラル”の考えが更に浸透し、
そこで今回は、”カーボンニュートラル”を実現する為に、
脱炭素化は鉄鋼業界にとって大きな課題
鉄鋼業はCO2 排出量が大きく、
出典:国立研究開発法人国立環境研究所_日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2018年度)(速報値)
また、鉄鉱石から製銑を行う高炉メーカーは、主に以下の3つのプロセスで二酸化炭素が排出され、1~3のプロセスを合計すると1トンの鋼鉄を製造するのに1.
- 製鉄工程における化石燃料に由来する電気の使用
- 製鉄工程における化石燃料に由来する加熱の実施
- コークスに含まれる”炭素”を使用した、鉄鉱石/酸化鉄の還元
つまり、”酸化鉄”が主成分である鉄鉱石をコークスに含まれる”炭素”で還元する高炉法では、仮に化石燃料を使用しないクリーンな電気エネルギーや熱エネルギーを使用しても、製銑の工程で以下の簡略式で示すよう
2Fe2O3(鉄鉱石/酸化鉄) + O2(酸素) + 4C(コークス)
→ 4Fe(銑鉄) + 4CO2(二酸化炭素)
水素還元製鉄とは?
高炉メーカーは、カーボンニュートラルを実現する為に、鉄鉱石をコークスで還元するのではなく、”炭素”の代わりに”水素”を用いて鉄鉱石を還元する"水素還元製鉄"の開発に取り組んでいます。
鉄鉱石を”水素”で還元する事で作られる鉄は、以下のようにCO2排出量が実質ゼロと見なす事ができます。
Fe2O3(鉄鉱石/酸化鉄) + 6H2(水素)
→ 2Fe(鉄) + 3H2O(水)
しかし、"水素還元製鉄"の技術を安定的に運用するには、下記のような技術や社会インフラの面で多くの課題が存在しています。
- ”水素”による還元反応は吸熱性の化学反応である為、炉の温度が下がってしまい銑鉄を精製する効率が悪くなる。
- 爆発性を有する”水素ガス”を、大量に安全性を担保して加熱をする技術が現在では確立されておらず、技術開発の難易度が高い。
- 従来の製法では、石炭と鉄鉱石が物理的に高炉内の通気性を維持する役割を担っているが、個体である石炭を気体である”水素”に置き換えることで、通気性が悪化し炉内の燃焼効率が悪くなってしまう。
- ”水素ガス”は地球上に殆ど自然の状態では存在しないので人為的に作る必要があるが、”水素”を大量に生成し供給する産業及び社会基盤が未整備である。
- これ迄は”水素ガス”の生成には化石燃料がされており、その工程で二酸化炭素が発生してしまう為、”カーボンフリー”で大量の”水素”を生成方法が必要になる。
今回、冒頭でご紹介した"Super COURSE50"という技術は、既存の高炉設備を活用して、コークスに含まれる”炭素”を”水素”へ完全に置き換えないものの、鉄鉱石の一部を”水素”で還元する事により、”二酸化炭素排出量”を削減するという技術です。
グリーンスチールとは?
CO2等の”温室効果ガス”の発生しない方法、
上記でご紹介した"水素還元製鉄"も"グリーンスチール"の一部であり、他には天然ガスを還元材としてシャフト炉により製鋼している神戸製鋼所の"Kobenable Steel"や、鉄鋼製造プロセスにおけるCO2排出削減量を割り当てた鉄鋼製品である日本製鉄の"NSCarbolex Neutral"、JFEスチールによる"JGreeX™"等があります。
まとめ
今回は、”カーボンニュートラル”を実現する為に、
私たちも鉄鋼業界の一員として、可能な範囲から”脱炭素社会”の実現に貢献していきたいと考え
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