古くなった金属製の棚や使わなくなった工具、工場の片隅に積まれた金属の切れ端などを処分するとき、「これは何ゴミだろう?」「面倒だからまとめて処分しようかな」と悩んだ経験はありませんか?
実は、一般的に"鉄くず"と呼ばれている"鉄スクラップ"の多くは、単なる"廃棄物"ではなく、価値ある"資源"です。
"鉄"は、私たちの生活に欠かせない素材であると同時に、非常に優れた環境性能を有するのリサイクルの優等生であり、特に"電炉"で"製鉄"する際の主原料となる"鉄スクラップ"は、自動車や家電だけでなく、私たち大和鋼管のような製造現場でも日々発生しています。
しかし、"鉄スクラップ"と"廃棄物"の区別は分かりにくく、本来は価値があるはずの"鉄"をコストをかけて"廃棄物"として処分してしまっている方も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は、私たち溶融亜鉛めっきパイプの製造メーカーというの視点から、「なぜ鉄スクラップに価値があるのか?」という根本的な理由、そして当社の工場で実際に発生しているスクラップの種類とその仕分け方法まで詳しくご紹介します。
鉄スクラップの価値
"鉄スクラップ"は"廃棄物"ではなく、貴重な"有価物"つまり"資源"であり、"スクラップ業者"とも呼ばれる専門のリサイクル業者に買い取ってもらうことができます。
"スクラップ業者"に買い取られた"鉄スクラップ"は、電炉メーカーに持ち込まれ、再び鉄鋼製品に生まれ変わります。
"鉄スクラップ"は、使い古され錆びていても、電炉法のプロセスを経れば、何度でも新品の鉄鋼製品に生まれ変わることが可能なので、"リサイクルの王様"とも呼ばれています。
一般的に"電炉法"で製造された鋼材は、"高炉法"で製造された鋼材よりもCO2排出量が少なく、"カーボンニュートラル"や"グリーン・トランスフォーメーション(GX)"による"脱炭素社会の実現"に向けて注目されています。
つまり、"鉄スクラップ"を正しく分別し、リサイクルに出すという行為は、処分ではなく買い取ってもらえるという経済的なメリットだけでなく地球の脱炭素化、つまり"脱炭素社会の実現"に直接的に貢献できるという非常に大きな"環境価値"を持っているのです。
鉄スクラップの分類と、身近なスクラップの例
"鉄スクラップ"の価値が分かったところで、次にどのような種類があるのかを見ていきましょう。"鉄スクラップ"は、その発生源によって下記の様に分類されています。
![[JP]鉄スクラップ_発生源別](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E9%89%84%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97_%E7%99%BA%E7%94%9F%E6%BA%90%E5%88%A5.png?width=500&height=281&name=%5BJP%5D%E9%89%84%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97_%E7%99%BA%E7%94%9F%E6%BA%90%E5%88%A5.png)
自家発生スクラップ
"自家発生スクラップ"は、製鋼メーカーなどが製鋼工程や製品加工の過程で発生する"鉄スクラップ"で、此等の分類が"電炉メーカー"の視点で定義されていることから"自家発生"という名称が使われています。
これらのスクラップは、発生した鉄鋼メーカー内で回収され、そのまま同じ工場内で製鋼原料として再利用されることが多いため市場に流通することが少ないです。
工場発生スクラップ
"工場発生スクラップ"は、"加工スクラップ"とも呼ばれ、鉄を材料として活用し建材や自動車や家電等製品等を製造する際に発生する"鉄スクラップ"の事です。
"工場発生くず"と言われることもありますが、主に発生する形態としては、切り板くず・打ち抜きくず・切削くず・切粉などがあり、"鉄スクラップ"として取引される際には、切板くず・打ち抜きくずは"新断"、鋳物生産時のスクラップは"銑屑"、ねじ生産時の切削くず・切粉は"鋼ダライ"などと呼ばれています。
老廃スクラップ
"老廃スクラップ"は、さまざまな鋼構造物や製品が老朽化して、くず化した"鉄スクラップ"です。
多様な形状や耐食性向上為に施された様々な"非鉄"が付着したまま老朽化したものも多いため、"製鋼原料"として使用するには、選別や加工が必要となっています。
![[JP]鉄スクラップの山](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/images/blog/%5BJP%5D%E9%89%84%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE%E5%B1%B1.jpg?width=500&height=375&name=%5BJP%5D%E9%89%84%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE%E5%B1%B1.jpg)
皆さまの身近な"廃車"や"スチール缶"、"スチールラック"などのスクラップは、"老廃スクラップ"にあたります。
これらも元をたどれば、すべて製鋼メーカーが作った鉄鋼製品です。
つまり鉄鋼製品としての役目を終えたこれらの"鉄"を、"資源"である"鉄スクラップ"として"電炉"による"製鋼"の工程を経て再び鉄鋼製品に戻すことで、"鉄"はリサイクルされ循環し続けることができます。
大和鋼管で発生している”鉄スクラップ”の実例
私たち大和鋼管では"工場発生スクラップ"が発生しています。
私たちの工場には、"原コイル"をスリットし、溶接で発生する"ビード"を切断し、鋼管の管端の安全性を確保する"面取り"加工する等、"メッキパイプ"を製造する様々な"工程"があります。
以下ではその各々の"工程"で生み出される"工場発生スクラップ"をご紹介します。
スリット工程: 耳鉄 (みみてつ)

製造するパイプのサイズに合わせて、原コイルを製造するパイプのサイズに合わせて切断する"スリット工程"では、"耳鉄"という"鉄スクラップ"が発生します。
"耳鉄"は、リボンのように長いスクラップで原コイルの両端を切り落としたいわゆる"耳"の部分にあたり、不純物の少ない原コイルから発生するため、非常に品質の高い"鉄スクラップ"です。
溶接工程: ダライ粉①

パイプを丸く成形し溶接する時に発生する"ビード"を切削する際には、"ダライ粉"という"鉄スクラップ"が発生します。
"ダライ粉"とは、一般的には金属類を切削した時に出てくる切り屑の事ですが、メッキパイプの溶接工程では、"ビード"切削時に発生した鋭利な部分があるため、革手袋などを装着せずに触ると手を切る危険があります。
溶接工程の"ダライ粉"は、"ポストジンク"の場合は"メッキパイプ"にメッキを施す前に発生する"鉄スクラップ"なので、コイル状に巻取られた比較的に不純物の少なく品質の高い"鉄スクラップ"ですが、"パーフェクトポストジンク (PPZ)"の場合は、前工程で"片面メッキ"を施されているので、パーマ状で不純物がある程度含まれている"鉄スクラップ"になります。
切断工程:プレス屑

"メッキパイプ"を製造しながら、規格の長さにしていく"切断工程"では、"プレス屑"や"カット屑"と呼ばれる"鉄スクラップ"が発生します。
"プレス屑"は、切断する外径によって大きさも変化し、製造スタート時以外は既にメッキを施され"メッキパイプ"の形状で発生する為、不純物がある程度含まれている"鉄スクラップ"になります。
面取り工程:ダライ粉②

鋼管の安全品質を担保する為に行う、切断した"メッキパイプ"の端面を丸く成形しバリを削る"面取り"工程でも、"ダライ粉"と呼ばれる"鉄スクラップ"が発生します。
"面取り"工程で発生する"ダライ粉②"は、"PPZ"を製造する際の"溶接工程"で発生する"ダライ粉①"と同様に、細かくパーマ状になっており、不純物がある程度含まれている"鉄スクラップ"になります。
鉄スクラップを分別・管理するポイント
"鉄スクラップ”は、純度やその大きさによって高価に買い取ってもらうことができるため、それぞれに"分別"して厳密に管理 する事が、"スクラップ業者"の皆さんの負担を下げ良い価格で回収して貰う上で、極めて重要になります。
私たちの工場で実践している"鉄スクラップ"の分別・管理する方法についてご紹介します。
①各工程ごとに回収する容器を設置
発生する"鉄スクラップ"の品質や形状が異なるため、各工程ごとに回収用の容器を設置し、他の"鉄スクラップ"が混入しないよう管理しています。

②"鉄とそれ以外"で分ける
アルミ缶・銅線・プラスチックなどが混入すると、分別の手間が増えたり"鉄スクラップ"自体の質が劣化するので、回収用の容器には"鉄スクラップ"以外のモノが混入しないよう工場の作業者へ周知することを徹底しています。

まとめ
今回は、"鉄スクラップ"が"廃棄物"ではなく価値ある"資源"である理由と、私たちの工場で発生する"鉄スクラップ"の具体例、そして価値を高める為の分別の方法についてご紹介しました。
役目を終えた鉄製品も、実はまだまだ有効に活用できる貴重な"資源"です。
皆さまのご家庭や職場で"鉄スクラップ"が出たときには、"廃棄物"として捨てる前に"資源"として分別できないかを考えることが、自らの手で地球環境を守ることになり、未来のグリーンな社会を創る大きな一歩につながっていく訳です。
今回のブログ記事に関するご質問や、「こんなテーマについて解説してほしい!」といったご要望がございましたら、ぜひ以下のフォームからお気軽にお寄せください。
最後まで読んでいただき感謝申し上げます。何かご質問や要望等があれば、何時でもご遠慮なくご連絡ください。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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