「メッキパイプの製造には、どんな機械や設備を使っているのだろうか?」
「メッキパイプはどのような流れで造られているのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方に、メッキパイプの製造工程を深掘りしながら、ご紹介させていただくブログをシリーズでお届けしています。
第2回の今回は、メッキパイプ製造において最も重要な工程といえる"継(つなぎ)"について解説します。ぜひご一読いただければ幸いです。
なお、前回の第1回の記事では、"継"の前工程である"スリッター"について詳しく解説しています。こちらも併せてぜひご覧ください。
【第1回】"スリッター"ってどんな機械?!メッキパイプ製造の前工程の設備を詳しく解説。
"継"とは
"継"とは、"スリットコイル"を"帯鋼"と呼ばれる板の状態にし、先に解いたものの端に"つなぐ"ことで、"帯鋼"を1つにつなげ合わせる一連の作業を指します。
もう少し詳しくお伝えすると、まず素材である"原コイル"は裁断されて"スリットコイル"となり、コイル状に巻かれた状態になっています。こちらを機械に設置して解き、真っ直ぐに伸ばして"帯鋼"に変えます。
”コイルエンド”と呼ばれる先に伸ばした"帯鋼"の端と、”コイルトップ”と呼ばれる新たに伸ばした"帯鋼"の端を溶接して、1つの長い"帯鋼"が繋がっている状態にする訳です。
つまり"継"を行う理由は、製造ラインを連続稼働できる状態に材料の形を変更することです。
"帯鋼"が1つにつながることで、新たな"スリットコイル"を解くたびに製造ラインをいちいち停止することなく動かし続けられる訳ですが、”帯鋼”を繋ぐ時間を確保する必要がありますので、その方法は以下で確認してみてください。
"継"の具体的な工程を解説
私たちの工場では、"継(つなぎ)"は主に以下の作業工程から成り立っています。
- アンコイラー(伸ばし)
- シャー(せん断)
- ウェルダー(溶接)
- アキュームレーター(貯め)
それぞれについて詳しく解説させていただきます。
"アンコイラー"(伸ばし)
この工程では、"アンコイラー"という機械で巻かれた"スリットコイル"を解きます。解かれた"スリットコイル"は巻きグセや反りを真っ直ぐに伸ばされて、次の工程に送り出されます。
大和鋼管の製造ラインの一つでは、"コイル台"と呼ばれる台に"スリットコイル"を複数個載せ、"コイルカー"という機械で1個ずつ取り出し、"アンコイラー"に設置しています。
実際に"継"を担当している喜佐見さんによれば、「"コイル台"に"スリットコイル"を載せる際に、コイルエンド同士が重なり合ってしまうと、その部分が引っ掛かって取り出せなくなってしまうので、載せ方を工夫しています」とのことでした。
"シャー"(せん断)
この工程では、せん断機(シャーリングマシン)を用いて、"スリットコイル"のトップとエンドを切断します。切断面の具合が溶接の出来に直接影響を及ぼすことから、定期的に作業員がせん断機の刃物に傷や摩耗がないかをシッカリと確認します。
"ウェルダー"(溶接)
"ウェルダー"とは溶接機械のことで、この設備を使って"スリットコイル"のトップとエンドを溶接する工程を"ウェルダー"と呼んでいます。当社では作業者が溶接トーチを使って手動で溶接する場合と、機械によって自動で溶接する場合があります。
溶接の設定は"スリットコイル"の材質や肉厚、帯幅に合わせて行いますが、より良い溶接ができるように、作業者が状態を確認しながら都度設定を微調整しています。
"継"を担当している喜佐見さんから、溶接で気をつけているポイントを以下の通り教えていただきました。
「溶接面に段差ができてしまうと、溶接そのものの強度が下がってしまいます。溶接が弱いと、その後の工程で溶接が切れて製造ラインを止める原因になったり、切れなかったとしても各設備に大きなダメージを与えてしまったりする可能性があるので、溶接面に段差ができてしまった場合は速やかに溶接のやり直しを行い、後の工程に迷惑がかからないように注意しています。」
"アキュームレーター"(貯め)
"アキュームレーター"とは、作業する時間を確保する為に"スリットコイル"を貯める装置です。
この機械の中にはいわばクネクネと曲がりくねった通り道があり、ここを"帯鋼"が通っていくと、単純に真っ直ぐ進んでいくよりも時間を要する為、いちいち製造ラインを止めることなく、この後に控えているメッキ作業等を行える仕組みです。前がつかえないように、後から来るものはあえて回り道をして、スムーズな流れを作っているという訳です。
当社のアキュームレーターは守秘性の高い工程を含む為にお見せできませんが、下記の動画では、横型の"アキュームレーター"でどのように"スリットコイル"を貯めているかを確認できます。ナレーションは英語ですが、ご興味のある方は是非ご覧下ください。
引用元:Youtube_XFX Tube Mill Machinery
大和鋼管の"パーフェクトポストジンク(PPZ)"
大和鋼管では製造ラインにさまざまな工夫をこらしており、さらに技術力とこだわりを持った担当者達が携わることによって、高品質なメッキパイプを製造しています。
独自のライン設備"ダイワZプロセス"で造られる"パーフェクトポストジンク(PPZ)"は、耐久性や美しい表面肌に加え、とにかく錆に強いことが特徴のメッキパイプです。
その理由は、外面だけでなく内面にも施された溶融亜鉛メッキ。さらに当社独自のトップコートで厳重に錆のリスクからパイプを守ります。また、曲げ加工によるメッキの割れや剥離も起きにくい為、加工性も抜群です。
当社が自信を持ってお届けする製品を、ぜひお試しください!
→"パーフェクトポストジンク"の詳細はこちら
まとめ
今回は、造管の為に"スリットコイル"を"1つの帯鋼"につなげ合わせて、インラインメッキ鋼管の連続操業を可能にする"継"の工程について詳しくお伝えさせていただきました。
記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。
次回は、メッキパイプの形を作っていく"運転"の工程についてご紹介します。お楽しみにしていただければ幸いです。ありがとうございました。
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