突然ですが、メッキパイプはどのように製造されているのでしょうか?
どんな機械や設備を使って、どのような流れで造られているのか、ぼんやりとイメージはできても詳しくは知らないという方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこで、メッキパイプの製造工程について、深掘りしながらご紹介させていただきます。
今回は、材料を切断する為に欠かせない"スリッター"を取り上げます。お客さまのご要望に沿った正確なサイズのメッキパイプを作るには、まず"スリッター"がとても大切な工程の一つです。ぜひご一読いただければ幸いです。
"スリッター"とは材料の切断機
"スリッター"とは、ロール状に巻かれた材料を任意の幅に”裁断”して巻き取る機械のことで、”裁断”の英訳である”スリット”を行う設備を意味しています。
”裁断”の対象となる材料には紙やフィルムや不織布及び金属等があり、各製造・加工業において、それぞれが製品に適した仕様の"スリッター"を導入・活用しています。
メッキパイプの製造現場においては、ロール状にした帯状の鋼板である"原コイル"を、製造するメッキパイプの外径に合わせて切断できる"スリッター"を使っています。
例えば、私たち大和鋼管の独自のインラインメッキ鋼管の製造工程である"ダイワZプロセス"をフル活用する為に、その前工程として"スリッター"を導入し活用しています。
"スリッター"の仕組み
"スリッター"の上刃と下刃の間に材料を通し、上下の刃を噛み合わせることによって”裁断”できるようになっています。なお、刃といっても文房具のカッターや包丁のような形状ではなく、円盤状になっています。
"原コイル"搬入から"スリッター"までの流れ
メッキパイプの材料である"原コイル"搬入から、"スリッター"を通し”スリットコイル”に加工するまでの流れはどのようになっているのか、簡単にご説明します。
- "原コイル"を本社工場に搬入する。
- "原コイル"の品質・状態を確認する。
- "スリッター"で裁断/スリットする。
- 裁断/スリットされたコイルを巻き取る。
- 巻き取った”スリットコイル”を"ホイストクレーン"で保管場所に移動する。
まずは、"原コイル"を工場に搬入します。この時に受入検査を実施し、コイルの番号や肉厚・幅・材質が適正かをシッカリと確認します。通常、"原コイル"が搬入されてから数日内に裁断されます。
"スリッター"で裁断を行う前には、その"原コイル"が本当に担当者が指定している"原コイル"で間違いがないかどうかを再度確認します。
材料に問題が無いと確認できたら、"スリッター"の上刃と下刃の間に"原コイル"を通し、指定された幅に”裁断”しています。この幅は、製造されるメッキパイプの外径と肉厚と熔接で突き合わせる幅によって厳密に決まっていますので、誤ったサイズにならないように十分注意する必要があります。
"スリッター"で裁断したコイルのことは"スリットコイル"と呼び、"リコイラー"と呼ばれる機械を使って巻き取ります。
最後に、巻き取った"スリットコイル"を"ホイストクレーン"という機械で運搬し、次の工程である造管に備えて所定の保管場所に移動します。これで"スリッター"を用いた裁断工程は終了です。
大和鋼管が自社工場に"スリッター"を導入している理由
企業によっては"スリッター"を導入せず、"コイルセンター"と呼ばれる流通加工業者から切断済みの"スリットコイル"を仕入れて製品を製造する場合もありますが、私たち大和鋼管は自社工場に"スリッター"を設置しています。
その理由として、"コスト"と"融通性"が挙げられます。
まず"コスト"については、自社工場に"スリッター"があれば、必要なのは"原コイル"にかかる費用のみです。一方で、"コイルセンター"から材料を仕入れる場合は、”裁断”にかかる費用や"スリットコイル"を運ぶ運賃も必要となってきます。
つまり、設備投資の回収に必要な数量以上の鋼板を”裁断”するのであれば、当社のように自社で”スリッター”を導入する方がトータルとして割安になる訳です。
また、"融通性"については、生産計画予定が急遽変更となった場合にも、社内外の条件が整えば、自社工場に"スリッター"があることで対応できる可能性が広がります。
製造工程の1つ1つに、お客さまのお役に立つメッキパイプをご提供する為の意味があります。ぜひ私たちのメッキパイプをお手に取っていただき、その品質や使い勝手をお確かめいただければ大変嬉しく思います。
当社ストック品のご案内
しかし、お客さまから緊急に短納期や急な案件の要請が入った場合、”原コイル”の厚みを変更できない事やコイルの幅の関係でロスが大きくコストが嵩んだりしてしまうので、"スリッター"でお客さまの全てのご要望に応えることはできません。
短納期や急な案件で、迅速な対応が必要な場合には、私たちのメッキパイプで通常在庫されている”ストック品”を本社工場にて多数ご用意しておりますので、こちらをぜひご活用ください。
単管パイプの通常在庫サイズ一覧
角パイプの通常在庫サイズ一覧
農業用パイプの通常在庫サイズ一覧
STXの通常在庫サイズ一覧
メッキパイプの通常在庫サイズ一覧
まとめ
今回は、材料である鋼板を”裁断”する機械である"スリッター"について詳しくお伝えさせていただきました。
料理でいえば下拵えにあたる作業に不可欠な"スリッター"。正確なサイズのメッキパイプを作る為に、今日も"スリッター"は動き続けてくれています。
記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。私たちは引き続き皆さまの"為になるお役立ち"の情報を発信して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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