メッキパイプを取り扱う上で、"結束"の知識は不可欠です。"結束"には複数の種類があり価格も異なる為、自分の予算と希望に合った製品を選ぶ必要があります。
また、"結束"されたメッキパイプを安全かつ適切に扱う為の方法を理解することも重要です。しかし、「"結束"について詳しく知らない」という方は少なくありません。
そこで今回は、"結束"の基本的な知識から安全に配慮した取り扱いのポイントに至るまで、詳しく解説します。ぜひ参考にしていただき、今後の業務にお役立ていただければ幸いです。
"結束"とは何か
"結束"とは、ばらばらの物を紐や結束バンド等で縛って1つにまとめることです。
メッキパイプ製造/販売現場においては、複数のパイプをまとめて固定する為の方法や作業を指します。"結束機"を用いて、"帯鉄"または"ベーリングフープ"と呼ばれるバンドで規定本数ごとにメッキパイプを束ねます。
メッキパイプは個々に取り扱うと作業効率が悪くなるほか、輸送中にばらついてパイプ破損のリスクが高まったり、作業員の足元に転がって安全を脅かしたりする可能性があります。
"結束"によってメッキパイプをひとまとめにすることで、輸送時の安定性を確保し、パイプ同士が擦れ合って傷がつくのを防ぐことができます。また、メッキパイプの運搬や保管等の作業を効率化することが可能です。
このように、複数のメッキパイプを安全かつ効率的に扱うために、"結束"は重要な役割を果たす訳です。
"結束"の種類
当社に於いて"結束"には、主に4つの種類があります。具体的には"正束"、"バラ束"、"小結束"、"ロープ入り"の4つです。それぞれに特徴があり、用途によって使い分けられています。
この項では、それぞれの結束方法について詳しくご説明します。
"正束 (せいそく)"
"正束"とはサイズごとに定められた本数で結束している状態のことです。受注時の基本単位となっているのが、この"正束"です。
"正束"でまとめられているメッキパイプの本数については、フォークリフトのような荷役運搬車両で運搬しやすい重量であり、かつ運搬時にパイプが傷つきにくくなるように各社で設定されています。
大和鋼管で取り扱う"正束"の本数は以下の一覧表の通りとなっておりますので、ご注文の際はこちらをご参照ください。
結束本数一覧表
丸パイプ | |||
外径(mm) | 結束本数 | 外径(mm) | 結束本数 |
25.4 | 150 |
38.1 |
100 |
31.8 | 125 | 57.2 60.5 |
59 |
34.0 | 91 | 76.3 | 35 |
角パイプ | |
外形(mm) | 結束本数 |
50 x 50 | 70 |
60 x 60 | 63 |
75 x 45 | 70 |
なぜ"正束"は六角形なのか?その理由
大和鋼管の"正束"は、六角形の形をしています。六角形にする理由は、地面に置いた時や運搬時に最も安定性を保てる形状だからです。
なお厳密には"正束"は正六角形ではなく、結束した際に一番突き出してしまう角部分のメッキパイプ2本を取り除いています。その理由は、下記の図のとおり"正束"を2束天井クレーンで吊った場合に、"正束"同士がぶつかる面積が小さいと凹みが発生する可能性が高く、角部分のメッキパイプ2本を取り除く事で、ぶつかる面積を大きく凹みが発生する可能性を減らすためです。
"バラ束 (ばらそく)"
"バラ束"とは、"正束"以外の本数で結束されている状態のことです。具体的には、お客さまが指定する本数で結束したものが"バラ束"になります。
"正束"よりもやや少ない本数が欲しい、もしくは少しだけ多い本数が欲しいという場合、ご相談いただければ製品によってご用意が可能です。
注意点として、出荷倉庫や拠点によっては"バラ束"での出荷を行っていなかったり、別途料金が発生したりするケースがありますので、詳細は営業担当者へご確認いただけますようお願いいたします。
"小結束 (しょうけっそく)"
"小結束"とは、"正束"のメッキパイプがさらに5本や10本ごとで小さい束になっている状態を指し、基本的にはお客さまが手で持って運ぶ事を想定しています。
こちらは加工扱いとなり、料金は通常の"正束"よりも割高になりますが、手で持ち運びやすく、"結束"を解いた際にばらけることが少ない為、現場での作業性や効率性をあげることが可能です。
"ロープ入れ"
角パイプや一部の丸パイプについては、パイプのあいだに複数のロープを挟み込む”ロープ入れ”を行っています。この”ロープ入れ”で少し隙間を作ることによって、通気性をよくし水気や湿気を取り除き、白サビの発生を抑制します。
"ロープ入れ"の対象となっている大和鋼管の製品は、全ての角パイプと外径がφ48.6mm未満の常時在庫を行っている"ストック品"です。当社のストック品のサイズ一案を詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、以下のブログをご参考にしてください。
もしお客さまからご要望があれば、通常では対象ではないパイプについても”ロープ入れ”をすることが可能ですので、お気軽にご相談ください。
安全な"結束"の解き方を解説
メッキパイプの"結束"を解く際は、安全に配慮して作業を行う必要があります。具体的には、以下の手順をオススメしておりますので、ご確認ください。
"結束"を解く手順
① 安全性を確保できる服装と道具を用意する
長袖・長ズボンの作業着や手袋等、自分の身体を守る服装に着替えます。
"帯鉄"を切る道具としては、以下の画像のような柄の長いハサミやペンチがオススメです。
② パイプがばらけない状態にする
"結束"を解いた際に、パイプが跳ねたりばらけたりしない状態を作ります。具体的には、"結束枠"を用意したり、ナイロンスリングでパイプの束を吊ったりする方法が挙げられます。いずれも、枠の存在やパイプ自体の荷重によって、全ての"帯鉄"を切ったとしてもパイプが散らばることなく、元の"結束"の形をほぼ保持できます。
③ 立ち入りを制限する
結束を解く人以外が近寄らないように立ち入りを制限し、周囲の安全を確保します。
④ "帯鉄"は真ん中から切る
"帯鉄"は真ん中から切り、両端は後に切ります。この順番であれば、パイプの跳ねる動きを制御しやすくなります。
"結束"を解く際の注意点
メッキパイプは重量がある為、ばらけてしまうと怪我の元になります。また、パイプを固定している"帯鉄"は金属でできており、切った勢いで跳ね上がったり、切り口で手を切ったりする可能性があります。パイプの動きに注意し、周囲の安全を確保した上で作業を行ってください。
担当社員からのコメント
"結束"に携わっている千葉亨さんにお話を伺いました。
──行っている作業内容を教えてください。
"結束"に際してメッキパイプの基本的な寸法や、傷など外観の不具合がないかどうかの確認を行っています。また、柔らかい材質や肉厚が薄いサイズは凹みが出やすいので、"帯鉄"を締める強さの調整を都度行っています。
──作業で気をつけていることは何ですか?
不具合を見つけた際には、直ちに上司に連絡しています。"結束"は製造の最終工程になりますから、ここで不具合を見逃すわけにはいきません。
──お客さまへメッセージをお願いします。
お客さまのご要望を満たせる製品作りの為に、仲間たちと連携協力し合いながら邁進してまいりますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。
まとめ
今回は、メッキパイプに不可欠な"結束"について詳しくお伝えさせていただきました。
メッキパイプを束ね方にも実はさまざまな種類がある為、注文時のご参考にしていただければ幸いです。なお、"結束"を解く際は十分に安全に注意し、作業時の怪我を防ぐようにしてください。
記事内でご紹介した当社製品のお見積もりは無料で承っておりますので、ご希望の方は以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。また、ご質問やご相談も喜んで承ります。
最後までお読みいただき、感謝申し上げます。私たちは引き続き皆さまの"為になるお役立ち"の情報を発信して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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