すばやい判断と、地道な改善の両立。
変化のスピードが速い今の時代においてどちらも大切だからこそ、現場で"何をどう進めるべきか?"という意思決定は非常に悩ましい問題です。
その解決のヒントとして注目されるのが"OODA (ウーダ)ループ"や"PDCA (ピー・ディー・シー・エー)サイクル"といったフレームワークですが、「この2つは何が違うの?」、「どう使い分ければいいの?」と迷う方も少なくありません。
今回は、"OODAループ"と"PDCAサイクル"の特徴や違い、状況に応じた使い分けのポイントについて分かりやすく解説します。
日々の業務を進めるヒントとして、是非ご参考にしていただければ幸いです。
"OODAループ"とは?
"OODA(ウーダ)ループ"とは、目まぐるしく変化する状況下で如何に的確に現状を認識し、迅速な判断と行動を繰り返すことで、得たい結果/成果に効果的に辿り着こうとする意思決定モデルです。
元々はアメリカ空軍のパイロットかつ戦術家でもあったジョン・ボイド大佐が、朝鮮戦争時の航空戦を制するために考案した実践的な意思決定のモデルであり、まさに"戦いに勝つための考え方"なのです。
現在では軍事的な分野に留まらず、ビジネスや政治、スポーツなど、さまざまな分野で取り入れられています。
"OODAループ"が注目されるようになったのは、現代が"VUCA(ブーカ)"と呼ばれる時代、すなわち先行きが不透明で将来の予測が困難な時代となったためです。
予測不能な変化にすばやく適応し、有効な結果/成果を繰返し生み出していく為の意思決定を、継続的に実現していくアプローチとして"OODAループ"が普及している訳です。
さてOODAという名称は、"Observe(観察)"、"Orient(状況認識)"、"Decide(意思決定)"、"Act(行動)"という4つのステップの頭文字をとって名付けられました。
一般的な図解では、分かりやすいように上記の4つの段階がシンプルに示されることが多いですが、考案者であるボイド大佐のオリジナルモデルでは、下図のように複数の矢印が引かれています。

出典:Patrick Edwin Moran, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ
その中身を少し厳密に確認してみると、それぞれのプロセスは以下の様になっています。
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Observe(観察): 前回の判断・決定や行動・仮説とその後の変化しつづける環境との相互作用、現在の変化しつづける状況/外部情報/変化しつづける環境との相互作業を、暗黙の指針・統制を踏まえて観察する。
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Orient(状況認識): 観察した情報を、自身の先天的な特性/文化的な背景/過去の経験/新しい情報/分析・統合を掛け合わせて"今何が起きているのか?"を総合的に認識・把握する。
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Decide(意思決定): 状況認識に基づき、取るべき具体的な行動や想定すべき仮説を判断・決定する。
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Act(実行): 判断・決定した行動や仮説を暗黙の指針・統制を踏まえて行動・検証する。
特に注目したいのは、上記の図の中央の巨大な枠で示されている"Orient (状況判断)"の部分です。
ここには観察された内容を単にそのまま処理するのではなく、新しい情報や過去の経験及び分析/統合のみならず、先天的な特性や文化的背景と組合せて、瞬時に直感的且つ総合的に捉える仕組みが示されています。
"OODAループ"の強み
"OODAループ"の最大の強みは、その"スピード感"と"柔軟性"です。
計画(Plan)を起点とする従来の"PDCAサイクル"とは異なり、現場のリアルタイムな"観察 (Observe)"からスタートするため、想定外のトラブルや環境変化にも即座に対応できます。
仮に行動した結果が不適切でも、直ぐに素早く次のサイクルの"観察(Observe)"へ戻る経路を持っているので、変化し続ける状況に応じて連続的に対応できることが、"OODAループ"の”スピード感”と”柔軟性”を生み出す訳です。
先の見通しが立ちにくい現代において、製造や営業の現場からビジネス全体としての危機対応など、状況が激しく変化し続ける場に於いても、不屈に有能に結果・成果を出し続ける上で非常に役立つ意思決定のモデルといえます。
"PDCAサイクル"とは?
"PDCAサイクル"とは、業務の品質向上やプロセスの効率化を継続的に高めるための方法で、その原点は、データに基づいて製造工程のバラツキを抑える"統計的品質管理"にあります。
日本で広まる契機となったのは、1950年代に行われたアメリカの統計学者である”ウィリアム・エドワーズ・デミング”の講演だとされてします。
そしてこの人物は、総合品質管理(TQM)の進歩・普及に優れた功績を残した企業や個人に贈られる、世界的に最も権威ある品質管理の賞の一つである”デミング賞”でも有名です。
現在"PDCAサイクル"は、製造業にとどまらず、企業の経営管理やマーケティング、個人の業務改善に至るまで幅広く活用されています。
また、品質(ISO 9001)や環境(ISO 14001)、個人情報保護(JIS Q 15001)といった各種マネジメントシステムの国際規格や国家規格のベースとしても用いられています。
![[JP]PDCAサイクル](https://www.daiwast.co.jp/hs-fs/hubfs/%5BJP%5DPDCA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB.jpeg?width=358&height=350&name=%5BJP%5DPDCA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB.jpeg)
PDCAという名称は、"Plan(計画)"、"Do(実行)"、"Check(評価)"、"Action(改善)"という4つのステップの頭文字をつなげたものです。
ビジネスにおける具体的な手順は、以下のとおりです。
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Plan (計画): 目標を設定し、具体的な実行計画を立てる。
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Do (実行): 立てた計画に沿って業務を実行し、結果やプロセスを記録に残す。
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Check (評価): 実行した結果を客観的に検証し、評価と原因分析を行う。
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Action (改善): 評価を踏まえ、問題点の修正や見直しを行い、次のサイクルのPlanにつなげる。
この4つのステップを順番に繰り返し、らせん階段を上るように業務改善を進めていくのが"PDCAサイクル"です。
なお、Check (評価)で行うのは"締め切りに間に合っているかの進捗確認"ではなく、"計画通りの効果が出たかどうかの検証と原因分析"である点に注意が必要です。
"PDCAサイクル"の強み
"PDCAサイクル"の最大の強みは、"確実性"と"再現性"です。
現場の直感や個人の裁量に頼るのではなく、データや数値に基づいた客観的な評価と検証を行うため、組織全体でブレのない着実な改善を積み重ねられる訳です。
"PDCAサイクル"は、前提条件や業務のプロセスが比較的安定している環境において、ミスやムリ・ムラ・ムダを減らし、業務品質や生産性を向上させるフレームワークといえます。
"OODAループ"と"PDCAサイクル"の比較と使い分け
両者の違いを整理すると、以下のようになります。
|
OODAループ |
PDCAサイクル |
|
|
主な目的 |
・迅速な意思決定 |
・既存業務やプロセスの着実な改善 |
|
起点 |
Observe(現状の観察) |
Plan(計画の策定) |
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重視する点 |
・判断と行動のスピード |
・確実性・正確さ |
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向いている環境 |
状況が激しく変化し、今後の見通しが立てにくい環境 |
状況や前提が安定しており、今後の見通しが立てやすい環境 |
どう使い分けるべきか?
大切なのは、業務や性質やフェーズに応じて2つのフレームワークを使い分けることです。
例えば、新規事業のように先が読めないものには"OODAループ"で臨機応変に試行錯誤を重ね、方向性が固まって定型化したものは"PDCAサイクル"で品質の維持や効率化を図る、という具合です。
状況に合わせて両方を活用することで、スピードと着実な改善を両立できます。
大和鋼管での実践
私たち大和鋼管でも、こうした考え方のフレームワークを日々の業務に活用しています。
業界の動向や市場のニーズ、そしてお客さまが抱えるお悩みは常に変化し続けています。
そのため当社では、独自の"OODAループ"を"進化し続ける目的へ対応する仕組み"と位置付け、行動指針として意識しています。
具体的には、まず"現場・現物・現実"をシッカリと観察し、過去の経験や習慣、新たな情報などから気付くこと。
判断ののち仮説やテストを経て、お客さまにとって為になり役に立つご提案やスピーディーな対応へとつなげるべく、日々試行錯誤を重ねています。
一方で、よりよいものづくりを続けていくためには、"PDCAサイクル"による継続的な改善も必要です。
当社では、品質マネジメントシステムの国際規格である"ISO9001"に基づき、質の向上に努めています。
また、製品だけにとどまらず、日々の業務や製造工程を含めた全社的な行動において"PDCAサイクル"を着実に回し、継続的な改善を重ねております。
変化に対応する"OODAループ"と、より良いものを追求する"PDCAサイクル"。
いずれも大切にしながら、お客さまに安全/安心して使っていただける製品づくりを、これからも行ってまいります。
まとめ
今回は、"OODAループ"と"PDCAサイクル"の違いについてお伝えしました。
この2つは相反するものではなく、互いに補い合う関係にあります。
変化のスピードが速く、継続的な業務改善も求められる現代においては、状況や目的に応じて両者を適切に使い分けることが重要です。
もし業務プロセスに課題を感じているようでしたら、ぜひ一度これらのフレームワークの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
ブログの内容に関することはもちろん、当社の取り組みや製品に関するご質問がございましたら、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき感謝申し上げます。引き続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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