私たちの提供するポストジンク/パーフェクトポストジンクは、造管と溶融亜鉛メッキを連続一貫製造する独自製法のダイワZプロセスにより製造される溶融亜鉛メッキ鋼管ですが、お客様から「亜鉛メッキは、合金メッキと比べると耐食性が落ちるんでしょ?」と聞かれる事があります。
合金メッキは亜鉛メッキと比べて耐食性が高いと単純に認識されがちですが、実は犠牲防食が働きにくくなります。
この犠牲防食を勘案すると必ずしも合金メッキが亜鉛メッキよりも耐食性が強いと言い切れない状況が考えられます。そこで今回はその犠牲防食について、亜鉛メッキと合金メッキの比較試験を実施しましたので、ご紹介させて頂きます。
あれ、犠牲防食ってなんだっけ?
まずおさらいになりますが、犠牲防食とは亜鉛メッキが施された鉄であれば、亜鉛メッキにキズが発生して素地の鉄が露出してしまっても、イオンになりやすい亜鉛が鉄よりも先に溶け出して電気化学的にキズ周辺を保護する為、鉄の腐食は進行しなくなります。
この作用が犠牲防食です。以前のブログで詳しく説明していますのでご参照ください。
ブログ:2020年7月14日_犠牲防食とは亜鉛と鉄の弁慶/牛若丸な関係?!亜鉛メッキのユニークな強味。
比較試験の概要は?
今回の試験方法は、ポストジンクと一般的にガルバリウムと呼ばれる日本工業規格JIS G3321(溶融55%アルミニウム-亜鉛鋼板)に相当するパイプをそれぞれ以下の図のように外面メッキを0.5mm/1.0mm/2.0mmの幅で削りとり塩水噴霧試験を行いました。

試験の結果は?
以下の試験結果から確認できるとおり、ポストジンクの場合は1,000時間まで白サビが発生した状態のままで0.5mm/1.0mm/2.0mm幅のスリットに対し犠牲防食が働き赤サビが進行し辛い事が分かりますが、合金メッキのガルバリウムの場合は15時間で赤サビが発生し、特に2.0mm幅のスリットに対し犠牲防食の効果は認められず、1,000時間では赤サビが進行している事が分かります。

合金メッキを選ぶ際、気を付けるべきことは?
ガルバリウムという合金メッキは確かにそれ自体の防錆能力は高いのですが、足場に使う単管パイプの様に金属製のブラシ等で汚れをとるケレン処理があったり、農業用パイプハウスの様にビニールを固定する止め材等とスレて傷が付きやすい環境では、試験と同様に赤サビの進行を防ぎにくくなる懸念が発生しますので要注意です。
また、ガルバリウム以外にもZAMやスーパーダイマ等色々な合金メッキが存在しますが、犠牲防食効果がある亜鉛の含まれている量は、合金メッキの種類によって異なります。
更に此等の合金に使われているアルミやマグネシウムは単価が高い為、それ自体の防錆能力の高さを踏まえて付着量を少なくしている事もあるので確認が必要となります。
まとめ
今回は、比較試験の結果を元に亜鉛メッキと合金メッキどちらが良いのかご紹介させて頂きました。
何れも合金メッキは鉄の板である鋼板の状態でメッキされている為、パイプにすると必ず溶接部に溶射が施されています。
ポストジンク/パーフェクトポストジンクは、他にも溶接部がなく均一にメッキされている等の特徴もありますので、詳しく製品の特性について知りたい方はお気軽に下記お問合せフォームまたは担当営業までご連絡を頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。