2025.03.12

”与信限度額”はどうやって見直す?!”決算書の読み方”についての基礎知識。

3月は多くの企業の年次決算の時期です。仮設資材販売店や鋼材販売店で営業を担当している方々は、取引先の”決算書”を確認して”与信限度額”を見直しを実施する方もいらっしゃるかと思います。

しかし、決算書に含まれる"損益計算書"や"貸借対照表"などには、数字が並んでいるので「どこの数値を確認して”与信限度額”を見直しすれば良いのか?」と、悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、仮設資材販売店や鋼材販売店で営業を担当している方々に向けて、われわれなりの”決算書”の読み方について、ご紹介します。

先ずは、”決算書”を読む”目的”を明確にする。

”決算書”を読む場合には、まず”目的”を明確にする事が重要です。

今回は、「与信限度額を見直しを実施する」という”目的”を設定していますので、過去の”決算書”との比較を行う事で、”与信限度額”を検討する事ができます。

しかし、「新しく取引を始める為に、与信限度額を新たに設定する」という”目的”で”決算書”を読む場合には、該当する会社の”決算書”ではなく、業種や会社規模の近い会社の”決算書”や”与信限度額”と比較しながら考える事が必要になります。

つまり”決算書”を読む目的によって、準備する資料の”質”や”量”が異なる事に、注意が必要になる訳です。

”決算書”を読む時に重要な3つの分析

上記を踏まえ、「与信限度額を見直しを実施する」際に重要となる、”決算書”を読む上で3つの分析をご紹介します。

①成長性の分析

”成長性”の分析とは、売上や利益が前年と比べてどのくらい増減したかを確認・比較することです。売上や利益が前年よりも増加していれば、成長している企業であると考えられます。

”成長性”を細かく分析する際には、お客さまの企業だけでなく、業種全体や競合他社の成長性も分析する事で、業界全体の動向を把握するなどより深く考察する事ができます。

②キャッシュフローの分析

”キャッシュフロー”とは、 「現金の流れ」 のことです。”キャッシュフロー計算書”には、企業に現金が入ってくる"収入"と現金が出ていく"支出"の流れが表されています。”キャッシュフロー”には以下の3つの種類があります。

  • 営業キャッシュフロー:本業で得た現金や使用した現金
  • 投資キャッシュフロー:機械や設備、不動産などへ投資した現金や投資で得た現金
  • 財務キャッシュフロー:銀行などから借りた現金や銀行などへ返した現金

”キャッシュフロー分析”では、各項目で増減がどのように変化しているのかを把握します。

”営業キャッシュフロー”はプラスの数値になっている事が望ましいですが、”投資キャッシュフロー”は積極的な投資を行っている場合にはマイナスとなり、”財務キャッシュフロー”も銀行などへ返済が多くなっていればマイナスになるため、一概に大きければ良い/小さければ良いという数値ではありません。

”キャッシュフロー”を把握して、本業の業績と経営状況を正しく理解する事が重要です。

③安全性の分析

”安全性”の分析とは、短期的な支払い能力を数値で比較する分析です。

企業は売上や利益が伸びている状況でも、支払い能力が足りなくなると、黒字でも倒産してしまう場合があります。そのため、短期的な支払い能力を判断するには、企業の支払能力に関わる”安全性”の分析を行う必要があります。

ここでは、”安全性”の分析を行う場合に使用される代表的な"流動比率"と"当座比率"についてご紹介します。

流動比率

”流動比率”とは、企業が1年以内という短い期間で支払わなければならないお金に対して、すぐに使えるお金や資産がどれくらいあるかを示す指標です。

簡単にいうと、「会社がちゃんとお金を払えるかどうか」をチェックするための数字です。”流動比率”は以下の計算式で表されます。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 x 100%

  • 流動資産:1年以内に現金にできるもの(例:現金、売掛金、棚卸し資産、手形、有価証券など)
  • 流動負債:1年以内に支払わなければならないもの(例:買掛金、短期借入金など)

”流動比率”は、一般的に高い数値ほど安全性が高く、200%以上が好ましい数値となります。しかし、日本では”流動比率”が200%以上ある企業は少ない事が現状です。

当座比率

”当座比率”とは、企業が「すぐに現金にできる資産」だけで、短い期間(1年以内)に支払わなければならないお金をどれくらいカバーできるかを示す指標です。”当座比率”は以下の計算式で表されます。

当座比率 = 当座資産 / 流動負債 x 100%

  • 当座資産:すぐに現金にできるもの(例:現金、売掛金、手形、有価証券など)

"当座比率"は、"流動比率"と似ていますが、違いは 「本当にすぐに現金にできる資産だけ」を考える という点で、”流動比率”よりも厳密に短期的な支払い能力を数値化する事ができます。

また、”流動比率”と同様に高い数値であるほど安全性が高く、一般的には100%以上が望ましいと言われています。

”決算書”以外の情報も重要

”与信限度額”を見直す場合には、”決算書”で得られる定量的な情報も重要ですが、お客さまの特徴や日々の営業活動で得られる定性的な情報や自身の営業活動の方針も重要です。

特に、”決算書”に記載されている数値の背景などは、お客さまへヒアリングしてその理由や一過性のものなのか正しく判断しておく必要があります。

まとめ

今回は、仮設資材販売店や鋼材販売店で営業を担当している皆さんに向けて、決算書の読み方ついての基本的な内容をご紹介しました。

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