世の中に様々なモノが溢れ行き交う現在では、安全意識の向上やより高い製品品質への要望により、一つひとつの製品が何からどのように造られ現在に至っているのかを、より正確に把握する”トレーサビリティー”が求められています。
私たちが製造/販売するメッキ鋼管も、大量生産される鉄の板である”鋼板”をパイプの外径に併せて裁断し、パイプ形状に形を変えた上でメッキを施し必要な長さに切断されていますが、現状では出荷される荷姿である束単位でロット管理がなされています。
一方で、ユーザーの皆さまがパイプを使用するのは飽くまでも一本単位であり、もし何か問題や懸念が起こった際には、そのパイプがどのような材料を使って何時どのように製造されたのかを効率よく調べ正確に確認するには、かなりの労力と時間を要してしまうのが正直なところです。
そこで今回は、皆さまにお届けする製品を更に安全/安心にご活用いただくために、私たちが新たに取り組む”パーフェクトロットトラッキング”によるトレーサビリティー強化の取組について説明をさせていただき、ご理解を得た上でご協力をいただきたい内容をご案内させていただきます。
パーフェクトロットトラッキングとは?
"パーフェクトロットトラッキング"とは、当社で製造するメッキパイプ一本一本に対して、原材料の情報のみならず生産に関わる設備や工程の状態などのあらゆる情報を紐付け総合的にトラッキングしようとする、私たちが現在開発中のトレーサビリティーの仕組みです。
トレーサビリティの鍵となる”DataMatrixコード”とは?
"パーフェクトロットトラッキング"のシステムを導入する製造ラインでは、製品1本毎に管端から300±30㎜の位置に8×17㎜の”DataMatrixコード”の刻印がレーザーマーカーで施されます。
このDataMatrixコードは、ランダムな10桁の数字となっておりお客さまの情報は一切含まれていませんが、使用された原材料や製造工程や設備等の情報と紐付ける事が可能な仕組みになっています。
表面にマーキングされるDataMatrixコード
そのため亜鉛メッキがされた製品の表面には上の写真のような刻印がレーザーでマーキングされますが、白サビ等を防止するコーティングはこのマーキングの後に行われる為、防錆性能が低下しないことが確認されています。
パーフェクトロットトラッキングで実現できること
従来のロットトラッキングは、出荷されるパイプの荷姿と同じ束単位で材料を中心に行なわれており、生産情報については必要に応じて随時日報と照らし合わせることで状況を把握していましたが、”パーフェクトロットトラッキング”の仕組みが実現すれば製品一本単位でリアルタイムにトラッキングする事が可能になります。
つまり万が一メッキパイプが原因でお客さまの製品に問題/課題が発生した場合でも、その原因を特定するまでのスピードと精度が格段に上がり、素早く適切に対応/対策を講じる事ができるようになる訳です。
また、従来であれば何らかの問題が発生した場合には製造ロット毎に製品を全量回収しなければなりませんが、”パーフェクトロットトラッキング”は一本一本に生産の情報が記録されているため、回収しなければならない製品の特定が可能になり、回収する数量を抑えらえ、効率や環境負担を削減する事ができるようになります。
更に私たちのメッキパイプを加工し製品化される製造メーカーさまや原材料を供給される鉄鋼メーカーさまで、この”パーフェクトロットトラッキング”の情報をご活用いただくと、お互いに材料や製造条件を相互に参照しあって分析/統合する事ができるようになり、自社製品の品質や生産性の向上をより効率的/効果的に実現していくことも可能になります。
パーフェクトロットトラッキングの現状と今後の課題
しかし、"パーフェクトロットトラッキング"は未だ開発中且つ発展途上の仕組みであり、現在当社の有する2つの製造ラインの内で一つのみで対応が可能な状態です。
そのため、現時点では当社の製造する全ての製品に対しではなく、当面は以下の製品サイズにのみ部分的にマーキングを開始させていただき、徐々に効果/成果を見極めながら対象範囲を広げていく予定ですので、その旨ご理解とご協力をいただければ幸いです。
該当する製品サイズ一覧
PZ25.4×1.2 | PZ25.4×1.6 | PZ25.4x2.0 | PZ25.4×2.3 | STX25.4×2.0 |
PPZ25.4×1.2 | PPZ27.2×1.9 | STX31.8×2.0 | PPZ31.8×1.6 | PZ34.0×2.3 |
PZ34.0×3.2 |
SL48.6×1.8 |
PZ48.6×2.4(足場管) | PPZ48.6×2.4(足場管) |
また私たちのメッキパイプを塗装して道路標識や車止及び景観製品等を製造されている場合、刻印の凹凸に空気や汚れなどの異物が残ると塗膜が発泡し、品質上の問題につながる可能性があります。
その場合は、お客さまのご要望に沿って事前に塗装のテストを行うことや、ご指定をいただいた上で刻印を行わないようする事も可能ですので、当社の営業担当にご指示いただくか、以下のお問合せフォームよりお問合せいただければ幸いです。
まとめ
今回は品質管理/保証の一環であるトレーサビリティーの強化として、私たちが新たに取り組んでいる”パーフェクトロットトラッキング”の仕組をご紹介/ご説明させていただくと共に、発展途上の取組である事へのご理解と品質保証の実現にあたってのお願いについてご案内させていただきました。
この”パーフェクトロットトラッキング”によるマーキングは、来月9月製造の”スーパーライト700”から開始させていただき、その他のサイズについてはマーキングへのご了承をいただいたものから順次開始していく予定です。
以下に”パーフェクトロットトラッキング”による製品のマーキング関するご案内の書類を準備いたしましたので、必要に応じてダウンロードをいただき、お取引さまへご案内等にご活用いただければ幸いです。
また本件に関して皆さまがお取引さまへ説明を行う支援を、当社が行わせていただくことも可能ですので、ご質問やご要望、ご確認事項等があれば、以下のお問合せフォームからお気軽にご相談ください。
皆さまにお届けする製品を更に安全/安心にご活用いただくための品質管理向上への取組となりますので、何卒ご理解/ご協力を宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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