2020年12月の後半より、この冬の厳しい寒さやテレワーク需要等で電力の消費量が上がっている事と、火力発電所の保有する天然ガス(LNG)の在庫が減少している事を背景に、卸電力市場は前年の20倍以上も高騰し市場連動型料金プランでは電気代が10倍以上となっている事が社会問題になっています。
一方で、SDGsの目標7"エネルギーをみんなに そしてクリーンに"では"7.2:2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる"というターゲットが含まれており、環境リスクの少ない再生可能エネルギーを増やすという地球規模の課題もあります。
再生可能エネルギーの中で太陽光発電は、小規模から大規模なものまで様々あり公共団体、企業、個人等様々な事業者が参入し易い分野です。
そこで今回は、再生可能エネルギーとして今後の拡大が期待される太陽光発電ついて、現状と今後の予測についてご紹介致します。
日本は火力発電が大半を占めている
経済産業省が発表した2019年度のエネルギー源別の発電電力量をまとめました。
令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績(速報)5ページ(資源エネルギー庁)をもとに作成
出典:令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績(速報)(資源エネルギー庁)https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/stte_gaiyou2019_sokuhou.pdf
上記のグラフから石炭や天然ガス等の化石燃料が75%以上を占め、日本は火力発電に依存している事が分かります。
特に水力/太陽光/風力/地熱/バイオマスを合計した"再エネ発電"の割合はおよそ18.0%と先進国に比べて低い傾向にある為に更なる導入拡大が求められています。
太陽光発電を普及させる政策について
これまでに日本では太陽光発電を増やす為に様々な政策が取られてきました。
2009年11月に「余剰電力買取制度」が始まり、一般家庭で使い切れなかった電力を電力会社で買い取る事が始まりました。
2013年7月には、再生エネルギーの全量買取制度がからスタートし公共団体、企業、個人等様々な事業者が、この分野へ参入する事で設備容量が大幅に増えました。
これらを踏まえて2010年から2019年迄の太陽光発電電力量の推移について以下のグラフにまとめました。
令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績(速報)5ページ(資源エネルギー庁)をもとに作成
出典:令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績(速報)(資源エネルギー庁)https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/stte_gaiyou2019_sokuhou.pdf
上記のグラフより、2014年~2015年の上昇が最も大きく各政策が結果/成果を出しており、太陽光発電電力量は年々着実に増えている事が分かります。
売電価格について
一方で売電価格は、以下の表のように年々減少傾向であり、資源エネルギー庁は将来的に10kW以上(事業用太陽光)は2025年迄に7円まで抑える方針を出しています。
※出力抑制は、出力制御機器の負担分を考慮したもであるが、2020年以降は廃止されている。
売電価格が年々減少するので、「今更太陽光発電を設置してもメリットがない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし"技術の向上に伴った導入コスト/維持コスト低減"や、前述の"電気の価値の高騰"を背景に、売電目的ではなく自己消費する電気代の削減の為に太陽光発電を採用する傾向が強まってくる事が考えられます。
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