2024.02.21

"鋼板"の様々な種類と、当社の"熱間圧延鋼板"への拘りについて。

鋼材の中でも板状に加工された"鋼板"は、2023年に国内で生産された普通鋼材の約75%を占める私たちに最も身近な鋼材です。

[JP][Blog]鋼材生産高

データ引用:一般社団法人日本鉄鋼連盟_鉄鋼生産速報_暦年

私たちが製造している”メッキパイプ”も、"熱間圧延鋼板"と呼ばれる”鋼板”を原材料として使用していますが、その”鋼板”にも実に様々な種類があります。

今回は、”鋼板”の様々な種類をご紹介した上で、当社が”熱間圧延鋼板”を原材料として使用している理由と私たち独自の製造工程についてご説明します。

鋼板の種類と製造工程

”鋼板”は、”スラブ”と呼ばれる鉄の塊を薄く引き延ばす事で製造されます。そして”鋼板”をコイル状に巻き取ったモノは"帯鋼"や"鋼帯"もしくは”コイル”と呼ばれます。

”鋼板”の中でも代表的な”熱間圧延鋼板”、”酸洗鋼板”、”冷間圧延鋼板”、”表面処理鋼板”についてそれぞれの製造工程を簡単にご紹介します。

①厚みが20cm以上ある”スラブ”を”連続圧延”と呼ばれる工程で加熱しながら引き延ばし、厚さがおよそ1.2mm〜25mm迄の”熱間圧延鋼板”が作られます。巻き取られた”熱間圧延鋼板”の表面に鉄が酸化した"黒皮"と呼ばれる黒い膜がついています。また”熱間圧延鋼板”を巻き取ったモノは”ホットコイル”と呼ばれます。

②”熱間圧延鋼板”を酸で洗って表面の”黒皮”を落とした鋼板は、”酸洗鋼板”と呼ばれ、”酸洗鋼板”を巻き取ったモノは”酸洗コイル”と呼ばれます。

③”酸洗鋼板”に熱を加えず常温でさらに圧延された鋼板が”冷間圧延鋼板”です。冷間圧延鋼板は、圧延される工程では熱を加えず常温で加工されますが、圧延された後に品質を調整する為の"焼きなまし"もしくは”焼鈍”と呼ばれる熱処理が行われる事が多いです。”冷間圧延鋼板”を巻き取ったモノは”冷延コイル”と呼ばれます。

④”酸洗鋼板”や”冷間圧延鋼板”に様々な金属のメッキや塗装が施された鋼板は”表面処理鋼板”と呼ばれ、それらを巻き取ったモノは”メッキコイル”と呼ばれます。

 

[JP][Blog]C.鋼板フローチャート20240219

上記でご紹介したそれぞれの鋼板について特徴をまとめました。

熱間圧延鋼板

・表面に鉄が酸化した”黒皮”と呼ばれる黒い膜がついています。

・加工する際には、表面の"黒皮"を落とさなければならない為、他の”鋼板”と比較して加工性は劣ります。

・他の”鋼板”に比べて工程が短い為、価格は安い傾向にあります。

酸洗鋼板

・”熱間圧延鋼板”とは異なり表面に”黒皮”がついておらず、加工性にも優れます。

・表面には一般的に防錆の為の油やニスが塗られています。

・”熱間圧延鋼板”に比べて工程が長い為、価格は少し高い傾向にあります。

冷間圧延鋼板

・”酸洗鋼板”と同様に表面に黒皮がついておらず肉厚も薄いので、極めて加工性に優れます。

・表面には”酸洗鋼板”と同様に一般的に防錆の為の油やニスが塗られています。

・”熱間圧延鋼板”及び”酸洗鋼板”に比べて工程が長い為、価格は更に高い傾向にあります。

表面処理鋼板

・目的に応じて”熱間圧延鋼板”や”酸洗鋼板”及び”冷間圧延鋼板”に様々な表面処理が施される為、種類が豊富です。

・他の鋼板と比べて価格は高価になります。

鋼板の流通形態

続いて、製造された”鋼板”がどのようにして私たちの身近な製品になるのかをご紹介します。

製造された”鋼板”は運びやすくする為に、コイル状に巻き取られは"原コイル"と呼ばれ、”コイルセンター"という比較的大規模な流通加工業者によって、必要な大きさの板材に加工された後に各メーカーに流通します。

”コイルセンター”に導入されている加工を施す為の設備は、主にスリッター/レベラー/ブランキング/シャーリングの4つが挙げられます。

  1. スリッター      : "原コイル"を伸ばし、指定された幅に切断し、再度ロール状に巻き取る加工設備
  2. レベラー          :  伸ばした"原コイル"に圧力をかけ反り/曲りを平らに矯正しながら切断する加工設備
  3. ブランキング :  伸ばした"原コイル"を型で打ち抜いて様々な形状の鋼板を製造する加工設備
  4. シャーリング :  レベラー等で切断された比較的大きな鋼板を、更に小さい寸法に切断する加工設備

[JP]コイルセンターの図

 また、”原コイル”から必要な鋼板を自社で加工できる機能を持っているメーカーは、”原コイル”を直接仕入れしているケースもあります。

鋼板の流通形態を以下の図にまとめました。

[JP][Blog]C.鋼板の流通図20240215 (2)

私たちが熱間圧延鋼板を原材料として使用している理由

冒頭でもご紹介しましたが、私たちは熱間圧延鋼板を原材料として、独自のライン設備である”ダイワZプロセス”にて造管と溶接亜鉛メッキを一体化させた製法で”メッキパイプ”を製造しています。

[JP]PZパイプ製造工程図_Cap_mizueco

”ダイワZプロセス”に於けるメッキ前の工程では、コスト優位性の高い”熱間圧延鋼板”から品質の高い”メッキパイプ”を製造する為に、メッキする前に行う酸洗等の”前処理”の工程に、様々な工夫を施しています。

また、自社で”原コイル”を加工する”スリッター”を持つ事で、”コイルセンター”を介さずに原材料を調達し、更なるコストダウンも実現しています。

まとめ

今回は、”鋼板”の様々な種類をご紹介した上で、当社が”熱間圧延鋼板”を原材料として使用している理由と私たち独自の製造工程についてご説明しました。
 
私たちの”メッキパイプ”についてご興味のある方がいらっしゃいましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご相談ください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。私たちは、これからも皆様の為になるお役立ちを充実して参りたいと思います。引続き宜しくお願い申し上げます。
 

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